三上延著 『 ビブリア古書堂の事件手帖7 』 を読む

 今週、電車の中で読んだのは、この書き下ろし文庫だ。
 この『 ビブリア古書堂の事件手帖 』シリーズは、1〜6まで読んでいて、続編を待っていた。
          
 この文庫シリーズは、古書店を舞台に、古書を巡ってのミステリーというか、それを、古書についての豊富な知識を駆使しての謎解きが面白い。
 さらに、僕が気に入っているのは、なんといっても古書の知識に触れられることだ。
 第一巻では、夏目漱石漱石全集・新書版』、小山清『落穂拾ひ・聖アンデルセン』や太宰治『 晩年』など。
 第二巻では、福田定一『名言随筆 サラリーマン』や足塚不二雄『UTOPIA 最後の世界大戦」など。
 第三巻では、ロバート・F・ヤングたんぽぽ娘』や宮澤賢治春と修羅』など。
 第四巻では、江戸川乱歩の数々の作品。
 第五巻では、手塚治虫ブラックジャック」や寺山修司「われに5月を」が出てくる。
 第六巻では、太宰治『晩年』。
 そして、
 今回のビブリア古書堂の事件手帖7~栞子さんと果てない舞台 ~』は、劇作家シェイクスピアの古書を巡る謎解きだった。
 このシリーズ、この第七巻で完結なのだが、実に楽しませてくれた。
 本好きな方で、さらにミステリー好きな方には、お薦めのシリーズだ。

 第七巻がどんな内容なのかは、これから読む人の邪魔になるので省くが、ここに出てくるシェイクスピアについて、僕が知らなかった事も含めていろいろと書かれていたので、ちょっとだけ記しておく。
*劇作家として有名なシェイクスピアは、日本では安土桃山時代から江戸時代初期に活躍した人物。その時代の劇作家の作品が、いまでも上演され続けているというのが凄い。
シェイクスピアは、52歳で亡くなっているが、没年はなんと徳川家康と同じだ。
*有名な『ヴェニスの商人』は、明治16年に日本語で初めて翻訳されていて、19年には『人肉質入裁判』として本になっている。確かに、借金の抵当が自分の肉1ポンドで、その金貸し悪徳商人との裁判沙汰の内容だから、この題名は肯ける。
シェイクスピアの『オセロー』という作品題名が、ゲームの「オセロ」の語源なのだそうだ。主人公とその妻の肌の色や、登場する人物たちがめまぐるしく寝返る展開から、表と裏が白黒の石で陣地取りをするゲームの名前になったようだ。