未採集種があるから浮かばれない
先週オオトラを採った.
いや,採れてしまったといったほうが妥当か.
ともかく,二匹目のドジョウを狙いに(あくまでオオトラ狙いではなく)同じ場所に行くつもりだった.
あの知らせを聞くまでは.
「○○までの道は昨晩の大雨で通行止だそうです」
マジか.目の前が真っ暗になる.いや出発する前に知れてよかったのか.
しかし山籠もりするつもりでガソリンも入れたし物品も買い込んでしまった.今更近場でお茶をにごすわけにもいくまい.
考えろ,考えろ,,,あ,あ,お,お,,,アカアシオオアオ!?これだ!!!
アカアシオオアオなんて駄物である地域がほとんどだが,福島県では中通りで散発的に採れているにすぎない.
これは狙う価値があるだろう.
さっそく県北地域に住むカミキリ屋さんに連絡すると,過去採れた場所を案内してくれるという.助かります!!
現地へ向かう道すがら,阿武隈高地に足を伸ばして アノ チビオオキノコを狙うのもいいかな..などと思った.
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山を越え海を越え,いや海はねーわ,峠を越えるとそこは中通り.さっそくロケハン.
うーん,確かにクヌギが植わっており,樹液もダラダラ出ており,,と申し分ない条件だ.
しかし案内人曰く「木採りでは採れるまい……」みたいなことをしきりに言ってくる.えぇ,アカアシオオアオだぞ?そんなに厳しいのか……?
しかし九州での厳しい状況を目の当たりにしているので,分布の端ではそうなのか??
夕方になり南会津からもう一人のカミキリ屋さんが駆けつけてくる(通行止のくれてきた人であり,ぼくが呼んだのだ.遠いところからありがとうございます).これで怖いものなしだ!
そして夜になる.まずは1か所目...
ゴキブロス,いやゴキブリがたかっているだけだ.
クワガタもカブトムシも全部ゴキブリに見える.
もぉーダメだ.
場所を変え,2か所目.
樹液が出ているクヌギは多い.一本一本見ていく.
稲妻のように赤いゴキブリが樹幹を走る.
ゴキブリだ!!!
あ,まちがえた,アカアシオオアオだ!!!!
やっぱりいた!いや,でも,嬉しいぞ.
その後もちょくちょくはいるが,なかなか多くはないようだな.
しばらくして,満足したと言い残しお二人とも帰ってしまった.
いや,ぼくは満足していないが...まあ独り占めするかーと思い一人でもう一回山に突っ込む.
日が暮れてからある程度時間が経ったほうがいいのだろう,今までの苦労はなんだったんだというくらいハチャメチャにいた.
こんなに多いなら最初の場所でもいけるだろうと思ったが,いなかった.
アカアシオオアオ探索はこれで切り上げ,明日の採集地へと向かうべく車を走らせた.
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おはようございます.今日は阿武隈高地へやってきました.
狙うは アノ チビオオキノコ こと,アブクマチビオオキノコTritoma kubotai.
なんとなんと,福島の阿武隈の名を冠しているのです!!!他にはアブクマチビシデムシとアブクマナガチビゴミムシとアブクマナガゴミムシくらいしか知らないぞ(全てチビだのゴミだの入ってるな……).
さてそのアブクマチビオオキノコ,どんなむしかと言うとググってください.
図鑑的なことを言えば,アシグロタケ類につき,上翅は黄褐色で真ん中に大きな黒い紋がどーんとあるチビオオキノコです.
ひとことで言えばカッコいい.それだけだ.
さてさてそのアブチビはどこにいるのかというと,さっぱり分からない.
最初に目をつけた林道(タイプ産地?)はネット上に転がってる写真を見る限り探せる面積が広くないように思えたので,その近くの別の場所を適当に探すことにした.
というわけで車をアチコチぶつけながら(路面状態が最悪!)その場所に着いた.
車を降りる.目の前でアシグロタケっぽいのが. え?
なんか付いてる.もしかして?もしかしちゃうのか?????
それは夢にまで見たアブクマチビオオキノコTritoma kubotai.
まじかまじか採れちゃったよ……いいのかこんなんで……
時間はまだまだ朝っぱらである.これで必死こいて夕方まで探索できると思います?
モチベーションが保てねえよ.
道沿いをぷらぷら歩きながら別のアシグロタケを探すがなかなか見つからない.
もうよくね?と言ってくる自分に最初は抗えたが,そのうち勝てなくなってきて……
いい子の時間に帰りました.
まあ,今回は珍しく狙いのものが首尾よく採れたから良かったのです.