2012-05-08
■[新書]勝間和代と大槻ケンヂが対面した評価経済社会
- 作者: 勝間和代
- 出版社/メーカー: ディスカヴァー・トゥエンティワン
- 発売日: 2012/04/28
- メディア: 新書
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- 作者: 大槻ケンヂ
- 出版社/メーカー: 白夜書房
- 発売日: 2012/04/28
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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- 作者: 岡田斗司夫
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2011/02/25
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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勝間和代の『「有名人になる」ということ』と大槻ケンヂの『サブカルで食う』を同時に読んだけど、超面白かった。自分の体験談を書いてるからってのもあるけど、この二冊はすごく似てる。
岡田斗司夫が提唱する評価経済社会の実践編って感じ。まぁ大槻ケンヂは結果的にって感じだけど、すごく勉強になった。
僕はテレビドラマにおける「人間のキャラクター化」にすごく興味があるんだけど、勝間和代も大槻ケンヂも結果的に自分をキャラクター化するゲームに巻き込まれていって才能と運とトライ&エラーの繰り返しによって環境に最適化してきたが、やがて飽きられてオワコン化した。
そんな自分を直視してるのがこの二冊で、二人とも、冷静に自分の人気が落ちていく過程とか、逆に盛り上がってく姿を分析してるのが凄いんだよな。
逆にいうとそれができない人は消えていくということなんだろうな。
ただ二人ともまず別で実績があって、その上で有名人というフィールドに挑んでるわけで、その前提を踏まえないで評価経済って言っても意味がない気がする。
それにしても、勝間和代がテレビに露出するきっかけが情熱大陸だったってのは面白いなぁと思った。
ちょっと前に安藤美冬が情熱大陸に出演してノマドの人として賛否を巻き起こしたけど、勝間和代が書いてることを踏まえると、あの番組って文化人がメディアにキャラクター(とそこに付随する物語)をプレゼンするための装置なんだなって改めて思った。逆にいうと大槻ケンヂはともかく、今だにテレビが有名になることのゴールなんだなぁってのは好き嫌いは別にして事実なんだろうな。
あとは、勝間和代が連載をまとめたものは薄くて本としてダメだとか、自分の本の内容が薄くなってきてることに気づいてたとか、分析してるのが痛いけど凄くて、この人の全部晒してしまえる臆面の無さが一番の才能ではないかと思った。
大槻ケンヂはサブカルで食ってく条件として、「才能と運と継続」を上げてる。
面白いのはこの三つが必要というのではなくて、この三つのどれかが必要で、才能が無い人でも運があれば、才能も運もなくても、ずっと続けていればチャンスは訪れるかもしれない。訪れなくても中の下、あるいは中の中くらいまではいけるという書き方をしていること。
ここら辺どこまでもポジティブな勝間和代とは似てるけど違ってて、そもそもサブカルやアングラに行くこと自体が正規のルートじゃない邪道で、ある種の撤退戦なんだって感じがした。
その意味でこの本が面白いのは、大槻ケンヂの才能と人気がピークを過ぎて、(時期的にはだいたい99年以降)筋肉少女帯を解散して特撮をやりながら小説を書いてた時期の話で、そこからアニソンに出会うまでをどうしのいできたかは面白かった。僕自身が大槻ケンヂにハマってたのはそれ以前の90年代で、それ以降はわりと静観してたんだけど、確かにここ最近の大槻ケンヂは面白いと思ってて、才能よりも、現実を直視する客観性こそがこの人の最大の武器だったんだなぁと思った。
対して勝間和代が言っている有名になる方法は、実はわりとシンプルで
まずは自分の得意分野を持ってから、編集者やテレビ局に売り込んで、それを元に仕事の範囲を広げながら、トライ&エラーを繰り返して、顧客と市場のニーズに対して自分を最適化させていくってことだけなんだよね。
まぁ、それだけのことをできる人がほとんどいないから凄いんだけど。
(この辺りは僕が読んで感じた雑感。目次を引用すれば、より正確に伝わると思うけど、新書の目次を引用するのってあんまり好きじゃないんで、各自調べてください)
どっちも、自覚的か無自覚にかは別として同じようなルートを辿ってるけど、勝間和代の有名人になるというゲームがせいぜい4年くらいだとしたら大槻ケンヂの方は20年近い歴史があるわけで、その差はどうしてもあるよなぁと思う。実は、今まで勝間和代の本って読んだことなかったんだけど、それはビジネス本自体に興味がないってことを差し引いても、目次を読めばなんとなく内容がわかった気になっちゃうから、読もうって気になんなかったからなんだよね。
この本もすごく理路整然としてて、それは凄いって思う一方で、小見出しだけ読めば内容がわかる本ってどうなのって感じはある。多分あの理路整然としたところがこの人の味なんだろうけど、同時に信用しきれないところで、もっとそこから外れた割り切れない複雑な感情みたいのがあるはずで、それも含めて小説みたいな形式で書いたらいいのになぁと思った。
それこそ蜷川実花が岡崎京子の『ヘルタースケルター』を映画化するけど、あんな感じで蜷川実花がこの本を映画化すればいいんじゃないか。とか勝手に思った。
でもまぁ、もしかしたら、本当に理路整然とした思考しかない人かもしれないけど。
たぶん、この二人が直面したこと程、極端じゃないにしても、同じような評価経済社会にみんな生きてて、そのゲームにこれから巻き込まれていくんだよね。
そこでは誰もがプチ有名人で、その知名度を自分のパワーにどう変換するかが問われてくというか。
昔、「将来何になりたい?」って聞かれた女子高生が「有名人になりたい」って答えてるのをテレビで聞いて、笑ったけど、SNSやツイッターで人気が可視化された瞬間に、一つのパワーとして機能するようになって、それが冗談じゃ済まなくなってるんだよな。
そういう時に、こういう体験談を元にしたこの二冊はすごく参考になるので同時に読むことをおすすめします。
個人的にはマツコ・デラックス版『「有名人になる」ということ』をいつか読みたいね。
追記
人間のキャラクター化って面でいうと、市場とお客さんの要求(これはテレビ局の要求だったりするけど)に最適化しすぎると、自分が作り上げたキャラクターに大抵の人が呑まれてしまい、みんなが飽きた時に修復不能になってしまうんじゃないかと思う。勝間和代が仮に一度失敗したとしたら、お客さんのニーズを信用して適応しすぎたことにある気がする。有名人になることは後戻りできない道だと勝間和代は書いているけど、あれは一度定着したキャラクターは中々変更が利かないってことなんだろうなぁ。
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