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三十路でアニメ このページをアンテナに追加 RSSフィード

2010-06-06

[] 放課後ティータイム解散待望論

週刊誌などに寄稿したマンガ評を集めた著書『マンガホニャララ』の中で、ブルボン小林は、マンガ家、ひいては作家という人たちは、物語のエンディングをどのようなものと捉えているのか、その気分をこう分析している。

あらゆる時間芸術の作り手にとって「終わりたい」というのは表現の欲求に「ない」のだと僕は考える(中略)。綺麗に終わらせたいという気持ちはあっても、それは欲ではなく見栄のようなものだ。

この「綺麗に終わらせたい」という見栄ゆえに、キレイに見得を切ってみせたマンガのひとつに、あずまきよひこ『あずまんが大王』があるように思う。


今さら説明するのもなんだが『あずまんが〜』は、新年度を迎えた4月、「とーーーっても優秀なので」さる高校の1年生のクラスに編入してきた10歳児・ちよちゃんと、そのクラスメイト(16歳の子たち)の日常を描いた4コママンガ。その作品世界ではキチンと時間が流れ、次の春、ちよちゃんたちは2年生になった。3年生の3月には卒業し、高校最後の春休みを迎えている。そして、それと同時に連載を終了した。


下世話な読者としては「売れてんだから『サザエさん』のように作中時間を完全に止めて、ちよちゃんたちにずっと高校生をやらせとけば、もっと儲けられるのに」などとも考えてしまうが、あずまは、高校生活の終わり=物語の終わりとばかりに、潔く幕を引いた。


さて、ボクは『バンド臨終図巻』の著者のひとりだ。そんな地獄の墓堀人には、今、『あずまんが〜』ばりにキレイな見得を切ってほしいマンガがある。


かきふらい『けいおん!』だ。


『けいおん!』の世界では『あずまんが〜』同様、作中時間が進むようになっている。物語序盤、高校1年生だった唯たち4人の軽音部員は、翌春、2年生に進級。新入生の梓を部に迎え、秋の文化祭直前には5人で結成したバンドに「放課後ティータイム」という名前をつけている。そして今、梓を除く放課後ティータイムのメンバー4人は高校3年生。ついこの間、アニメ版では「進路どうする?」なんてエピソードを放映していた。


このまま物語が進めば、4人は近く高校を卒業することだろう。そのとき軽音部に残るのは、現在2年生の梓だけ。「『けいおん!』など終わってしまえ!」というわけではもちろんないが、唯たち3年生の卒業は、『けいおん!』が見得を切るいいタイミングではあるはずだ。


そして、もし見得を切れば、放課後ティータイムは当然解散する(活動の場=マンガ自体がなくなるのだから)。『バンド臨終図巻』では200バンドの解散の経緯を取り上げたが、あらためて読み返してみるに、学齢の終わり=バンドの終わりという道を選んでいるのは、ザ・フォーク・クルセダーズくらいのもの*1。結構なレアケースだ。


放課後ティータイムといえば、自身の名義でリリースされたアニメ版『けいおん!!』のオープニングテーマ「GO! GO! MANIAC」がオリコン週間シングルチャート1位に輝いている。非実在青少年による非実在バンドとはいえ、ナショナルチャート1位を獲得した面々が「いやぁ、学校を卒業したんで」「部活引退したからさぁ」なんて理由で道を違えたら、スゴくカッコいい。ある意味ロックだ。万が一『バンド臨終図巻』が文庫化でもされようものなら、絶対に追加収録したい。


先日そんなことをTwitterでブツブツつぶやいていたら、id:mae-9さんから「一番新しい『まんがタイムきらら』(『けいおん!』の掲載誌)を読んだヤツ曰く、どうも大学編に続く可能性をほのめかしてるらしいよ」なんてリプライをちょうだいしてしまった。


繰り返すが『けいおん!』の連載終了を切に望んでいるわけではない。が、墓堀人として、そして「『けいおん!』はコミックスとアニメでチェック派」として、ちょっとガッカリしたのは間違いない。ネタバレ禁止!(笑)


マンガホニャララ

マンガホニャララ


あずまんが大王1年生 (少年サンデーコミックススペシャル)

あずまんが大王1年生 (少年サンデーコミックススペシャル)


けいおん! (1) (まんがタイムKRコミックス)

けいおん! (1) (まんがタイムKRコミックス)


バンド臨終図巻

バンド臨終図巻

*1:フォークルは、大学生だった加藤和彦の就職活動のために解散したものの、その後「帰って来たヨッパライ」と「イムジン河」がラジオで人気を呼んだため、2カ月後に再結成、メジャーデビューしている。しかし、再結成時に大学を休学した北山修に復学の意向があったため、活動は時限付き。1年後に再解散した。つまり、二度も“学生であるがゆえ”に解散している。これはこれでかなりオモロい。詳しくは、書籍を手に取り、id:endingさんによる良テキストをご覧いただきたい。