遅くなりましたが、
更新できていない3話を今週中に
記事にしていきたいと思います。

672『夜ガイ』

1.夜ガイ(1)

「心臓の点穴からみても…
 次が最後の攻撃となるな…」

マダラにはガイが八門全てを開ききる様子が見えました。
ガイも最後の死門を痛みに耐えきり
完全開放するまで時間がかかりましたが、
これで悔いを残すことなく、
本当に最大最後の一撃となりそうです。

一方、六道仙人との接触により、
完全に回復したナルトとサスケは
いまにも出撃する構えです。
ナルトの右手には太陽、
サスケの左手には月が
それぞれ紋章として刻まれています。
六道仙人と接触を果たした証でしょう。

さて、場面は再び戻ってガイ。
さらに猛々しい蒸気を噴き出し、
何もせずとも周囲を吹き飛ばしてしまう様子。

「あの構え…夕象じゃない……。」

夕象以上の技であることを感じとったリー。

「ガイ…」

カカシはガイの最期になるであろう勇姿を見、
アカデミー入学の時を思い返します。

「あ! 初めまして…
 うちの子がこれからアカデミーでお世話になります…。」

カカシとその父サクモ。ガイとその父ダイ。
彼らがアカデミーの入学に際して、
軽く会釈をかわします。

「仲良くしてやって下さいね。」

礼儀正しいサクモに対して、

「イヤ。それは無理ですな!」

ときっぱり(?)断るようなダイ。
予想外の無礼にちょっと困惑するサクモですが、

「イヤ…。父さん。違うんだよ。
 今回こいつは――
 アカデミーの試験に落ちたの。」

とカカシが説明したことで、
ようやく納得します。

「そ…それは失礼しました。
 アカデミーの前だったもので、つい…」

とサクモ。

「ガハハハ。そういう訳なんですよ!!」

と豪快に笑って見せるダイ。

「そこ笑うとこなの?」

そんなダイに突っ込むカカシ。

「コラ。カカシ失礼だぞ!」

そんな息子を窘めるサクモですが、

「父さんの方がもう失礼かましちゃってるでしょ。」

とこの年ごろからもう憎たらしいほど冷静です。

「だいたいこいつは、
 忍者アカデミーに入ろうとしてんのに、
 忍術使えないみたいだし…
 どう考えたって…。
 …と…そろそろ行かないと
 時間に遅れちゃうよ。父さん。」

そして思ったことをすぐに口に出してしまう
年頃でもあります。

「では…」

息子の非礼に狼狽しながらも、
時間を考え、その場を去ろうとしたサクモ。

はたけカカシだったな!」

その時、口に笑みを浮かべながら、
カカシを呼び止めたガイ。
気付いて振り返ると、

「応援ありがとう!!!」

と親指を上に突き立て、
不敵に笑うガイの姿は。
言葉を失うカカシですが、
サクモはガイの人柄を見抜き、
息子の頭に手を当て言います。

「カカシ…。アカデミー入学が決まったからって、
 うかうかしてられないよ。
 このままいくとあの子はお前より強くなる。
 補欠の発表はまだだろ…?
 アカデミーもバカじゃない…。
 彼の名前を聞いて、覚えておくといい…。
 いいライバルになるよ。」

月日は経ち、父の言った通り、
カカシのライバルであり続けたガイ。
持てる限りの力を出し、
あのマダラと対等にわたりあっています。

2.夜ガイ(2)

「このチャクラ…!
 認めてやろう!
 体術において…オレの戦った者で、
 お前の右に出る者は一人としておらん!!」

最終奥義《夜ガイ》を繰り出したガイ。
もはや何者にも彼を止めることはできません。

「流!!!」

ガイの掛け声とともに、
ガイを覆っていた高熱の蒸気が、
マダラに向かって龍の如く飛んで呑み込みます。

「何!?
 空間がねじ曲がっただと!?」

と驚くマダラ。
あまりのチャクラ質量に
空間が押しのけられたように感じたマダラ。
つまり測地線x(\tau)に関する方程式


\frac{d^2x^{\mu}}{d{\tau}^2}+{\Gamma}^{\mu}_{\alpha \beta} \frac{dx^{\alpha}}{d{\tau}}\frac{dx^{\beta}}{d{\tau}}=0

の解が直線から曲線に強制的に書き換えられたわけです。
その威力は凄まじく、ガイが通った地面は須らく割れ、
周囲にあった全てを空間ごと弾き出します。
すべての尾獣を取り込んだマダラすら、
防御不可能かつ甚大なダメージを負い、
十尾の神樹に衝突するまで吹き飛ばされます。

「ハハハ…死ぬところだったぞ……
 此奴め!」

ガイの最後の攻撃も虚しく、
マダラを仕留めきれていなかったようです。
とは言っても六道チャクラを結集させても、
命からがらといった様子のマダラ。
力を出しつくし、八門から全ての生命チャクラが
消えそうになっているガイ。

「風前の灯火だが…
 楽しませてくれた…礼だ…。
 灰になる前に――
 オレが殺してやる……!」

そう言って漆黒のチャクラの球体を
ガイに投げつけます。

「求道玉を蹴るだと…!」

そのとき颯爽とガイの助けに入ったのはナルト。
漆黒の球体――求道玉と言うらしいですが、
おそらくは尾獣玉に匹敵するであろうこの球体を
蹴っただけで弾き飛ばして、
死に際のガイにそっと手を翳します。
風前の灯火だったガイのチャクラが
再び燃え出します。

「ナルト…。
 イヤ…なんとなく前と違うな…」

とマダラもナルトの力が異なったものに
変わったことに気付きます。

「ああ…自分でも不思議に思うってばよ…。
 今なら…全部を変えられそうだ!」

尾獣たち、そして六道仙人から力を託され、
ナルトはみんなの力を以て
再びマダラの前に立ちはだかるのです。