2009-07-01から1ヶ月間の記事一覧

Manga はすべて大文字

今や日本を代表する文化となった漫画(Manga)。米国でも日本のコミックが英訳されて販売されています。米国でも子供たち(?)に人気があるのは、週刊少年ジャンプで連載されている忍者漫画「NARUTO-ナルト-」でしょう。いかにもジャンプ的な「友情・努力・…

ニッチ保守性(Niche Conservatism)

ニッチ保守性(Niche Conservatism)という用語の定義と使用について勉強してみました。 ニッチ(生態的地位)とは、種が生息可能で、個体群を維持できる状態のことを指します。その状態には、非生物的な要因(気候など)と生物的な要因(競争、捕食)の両方…

久しぶりの報告

欧州から帰ってこられたRさんと2ヶ月ぶりにお会いしました。仏国立自然史博物館での仕事と、母国英国へ帰郷されていたそうです。時差は11時間もあったようで、ハワイと欧州では昼夜逆転といってもよいくらい遠い場所です。日本だとわずか5時間ですから(厳密…

社会性昆虫のいなかった島:外来スズメバチの脅威

ハワイ諸島は、太平洋の真ん中から出現した海洋島で、しかも他の陸地から数千kmも離れているため、そこにたどりつく生物はごく限られていました。例えば、ハワイくらい温暖な地域ではどこでもいるアリ類が分布しなかったと言われているのはその一例でしょう…

島での道具使用と食性進化

ガラパゴス諸島のような海洋島では、興味深い食性が進化することがあります。以前に紹介した、イグアナやゾウガメの糞を食べるガの幼虫はそのひとつでしょう。 ガラパゴスで放散したダーウィンフィンチにも興味深い採餌方法や食性をもつ種が進化してきました…

停電への備え

昨日の夕刻(現地日時22日5時半頃)に停電がありました。ちょうど帰宅したところだったので、エレベーターに閉じ込められなくて良かったーとひと安心。しかし、去年のクリスマスの10時間をこえた Blackout を考えると、うかうかしてはいられません。うちの…

ダーウィンフィンチの研究者

島嶼部での適応放散の例として、鳥類では、ガラパゴス諸島のダーウィンフィンチ類とハワイ諸島のハワイミツスイ類が有名です。ハワイミツスイ類の適応放散は美的にもその規模もすばらしいのですが、多くの種がすでに絶滅してしまっています。一方、ダーウィ…

米国学生のツール Facebook

以前、学生から「Facebookに登録していないの?」と聞かれました。何のことやらと、ウェブで調べてみると、SNSの一種で、米国の学生向けに作られたのがはじまりのようです。 Facebookの解説(Wikipedia) http://ja.wikipedia.org/wiki/Facebook 確かに見知…

適応放散と非適応放散

「適応放散(Adaptive radiation)」という用語は、海洋島のような特異な生物相を説明する上でしばしば使われます。 一般には、同一地域において、単一祖先から多様な生態的地位(Niche)に適応した種に繰り返し分かれていくことを意味しているように思いま…

セミの鳴かない夏と島

大学院生の頃、京都の雑木林に毎日のように通っていました。初夏から秋にかけて、さまざまなセミの鳴き声を聞くことで季節を感じていました。 5月のハルゼミにはじまり、6月下旬からはニイニイゼミ、7月中下旬からはヒグラシ、アブラゼミ、8月に入ってミンミ…

オランウータンの種分化と生物地理

ジャレッド・ダイアモンドの「The Third Chimpanzee(第三のチンパンジー)」は、チンパンジーが2種(チンパンジーとボノボ)現存するということから近縁のヒトが第三のチンパンジーであるというたとえでした。オランウータンがヒトと最も近い現存する霊長類…

ヒトに最も近いのはオランウータン?:異説・珍説の扱い方

自然現象を説明するメカニズムは一つとは限りません。多くの仮説の中から、もっともらしい説明こそがそのメカニズムとして一般に解釈されています。 「99・9%は仮説:思いこみで判断しないための考え方 」 という本でも、科学における仮説について簡潔に説明…

バックアップの重要性

個人ウェブサイトを更新しようと思ったのですが、更新どころか閲覧もできません。どうも、Yahoo!ジオシティーズでシステム障害が起こっていたようです。おおかた復旧しているようですが、私のページはいつまでも閲覧できません。ハードディスク自体が故障し…

論文投稿のとりさげ

最近、論文投稿のとりさげというのをはじめてしてみました。つまり、論文を雑誌の編集局に投稿したのですが、査読者のコメントに十分に対応することができないと判断し、自ら投稿をとりさげたということです。 いろいろ不満があって、時間の無駄と思い、別の…

外来種が定着する/しないメカニズム:散布体の導入圧(Propagule Pressure)

野に放たれた(逃げ出した)外来種のうち約10%が野外に定着するという法則があります(外来種の10%ルール)。 では、なぜ一部の外来種だけが定着に成功し、他は失敗するのか。 そのメカニズムに関する仮説として、天敵解放仮説(Enemy Release Hypothesis)…

世界の島々にみる世界遺産(自然遺産)

日本の代表的な海洋島である小笠原諸島を、世界遺産(自然遺産)の登録候補として近々申請を行われるようです(ニュース)。 自然遺産は、IUCN(国際自然保護連合)の評価によって、以下のいずれかの項目または複数の項目に該当する地域が指定されています(…

海洋島での外来種定着頻度

島への人の行き来によってどれだけの種が持ち込まれ、定着しているのでしょうか。ハワイのような人口が多くひっきりなしに人が行き来する島では調査するのは困難でしょう。 しかし、海洋島の中には、その隔離度の高さと地形から人を滅多に寄せつけてこなかっ…

外来種の10%ルール

外来種というのは、本来生息していない場所で、(1)人によって持ち込まれた種(Imported)、(2)そのうち野外に逸出した種(Escaping)、(3)完全に定着した種(Establishing)、(4)さらに害虫や害草など環境にも影響を与える種(侵略的な種 Becomi…

島が大きくなると生態系機能も変化する

島の面積は、種数、種分化、食物連鎖、動物の体サイズなどさまざまな生物学的要素に影響を与えることが知られています。島の面積が大きくなると、植物群落など群集構造もまた変化することもあるようです。島の生物群集が変われば、生態系の中での生物と環境…

外来種同士の新しい関係

虫好きの人にとってはツノゼミはとても気になる昆虫です。熱帯域ではツノゼミの多様性や個体数が多いことはよく知られていますが、その存在はアリとともに認識されると言ってよいでしょう。アブラムシとアリ、カイガラムシとアリの共生関係と同様、ツノゼミ…

ゾウは泳ぐ:島への分散説からネッシー説まで

現存する最大の陸上動物といえばゾウでしょう。現在はアフリカとアジアに分布しています。島に分布するゾウといえば、現在はスリランカ(セイロン島)、ボルネオ島、スマトラ島から知られていますが、かつてはいろいろな島に分布していたことが(新生代後期…

海洋島のカエル(2)いかに海を渡ったのか

「カエルを含む両生類はもともと海洋島には分布しない」というのが定説でした。しかし、海洋島での固有種の発見によって、カエルも近距離(数百km)なら海を渡っての分散が可能であることがわかってきました。 とはいえ、両生類が(成体でも幼体でも)数百Km…