米が資産凍結 ソマリアの武装勢力に

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081121-00000095-san-int

 【ワシントン=山本秀也】米財務省は20日、無政府状態が続くソマリアイスラム武装勢力アルシャバブ」の指導者3人に対し、米国内の資産凍結など制裁措置を発動した。同国沿岸を支配するアルシャバブは、沖合での海賊行為を資金源としている疑いが強まっている。

 アルシャバブは、幹部が逃亡したソマリア武装組織「イスラム法廷会議」の残存勢力を中心に組織され、暫定政府軍やアフリカ連合(AU)平和維持部隊への攻撃を続けている。

 国際テロ組織アルカーイダとの関連も指摘され、財務省当局者は「ソマリアの政府職員や民間人を標的にした誘拐、殺人の元凶であり、国際金融システムから排除されるべきだ」と語った。

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アルシャバブという言葉は始めてみた気がします。調べてみると先月に解説されてました。
イスラム過激派の温床 ソマリアの現状リポート
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081002-00000569-san-int

 ソマリア沖での海賊行為が治まらないのは、ソマリア自体が全土を実効支配する政府を持たない無政府状態にあるからだ。現在も暫定政府軍とイスラム原理主義武装勢力との戦闘が続き、経済的に破綻(はたん)しているだけではない。横行するテロや誘拐、海賊行為によって得られた金がイスラム武装勢力の資金源となっているとみられ、ソマリアが新たなテロ勢力の温床になっていると懸念する声も多い。現地からの報道をもとにソマリアの現状をまとめた。(シンガポール 宮野弘之)

  ■独裁と内戦の歴史

 アフリカ北東部、「アフリカの角」と呼ばれる部分にあるソマリアの歴史は内戦に彩られている。第2次世界大戦前、イギリスの植民地だった北西部と、イタリア領だった南部とが1つとなり、1960年にソマリア共和国として独立した。しかし、独立後も南部を中心に部族間、地域間の抗争が続いてきた。

 69年にクーデターで権力を掌握したバーレ大統領は社会主義独裁政権を率いたが、91年にアイディード将軍派によって追放され、以来、内戦が本格化した。

 国連ソマリア活動(UNOSOM)を受けて、92年からは米軍を中心とする多国籍軍が展開。しかし、93年にアイディード将軍派幹部の逮捕に向かった米軍ヘリが撃墜され、米兵が街中を引き回される映像が世界中に流れたことで米軍は撤退を決めた。この経緯は米映画「ブラックホーク・ダウン」に詳しい。

  ■エチオピアの進攻

 一方、94年に首都モガディシオイスラム教徒を中心に結成されたのが「イスラム法廷連合」だ。イスラム法に基づく秩序の回復と国家統一を掲げた彼らは、長い戦乱に苦しむ国民の支持を受けて勢力を拡大、首都を支配下に置いた。

 しかし、イスラム法廷連合はエチオピアと対立するエリトリアからの支援を受けていたため、エチオピアが反発。2004年にケニアで同法廷連合を除く各勢力による亡命暫定政府が発足すると、エチオピア軍は06年12月、暫定政府軍とともにソマリアに進攻、モガディシオを奪還する。

 英BBC放送によると、イスラム法廷連合の主要幹部がエリトリアに逃走後、残された若者を中心に編成されたのが、イスラム武装勢力アルシャバブだ。同勢力は急激に勢力を伸ばし、モガディシオを含む中南部で政府軍や駐留するアフリカ連合(AU)の平和維持軍への攻撃を続け、今年8月にはソマリア第3の都市で南部の主要港キスマユを制圧した。

  ■海外テロ組織

 無政府状態ソマリアにアルカーイダが新拠点を設置して「アフガン化」することを警戒する米国は、米中枢同時テロ直後から隣国のエチオピアとの関係を強化し、ソマリアに展開するエチオピア軍を後方支援しながら東アフリカでの対テロ戦を続けてきた。

 ブッシュ米大統領は2002年、エチオピアのメレス大統領らとホワイトハウスで会談して反テロでの共闘を確認した。06年のエチオピアによるソマリア侵攻の際には特殊部隊の一部を派遣するなど、「米国は侵攻を容認する以上の協力をした可能性もある」(BBC)といわれる。

 米国との共闘は、東部の国境周辺でソマリア系住民の独立紛争を抱えるエチオピアにとっても願ってもないことだった。エチオピアソマリアは、同地域をめぐって1988年の和平合意まで何度も戦争状態に突入していた。

 一方、エチオピアに協力する米国は、ソマリアイスラム武装勢力アルシャバブのリーダーがアフガニスタンのアルカーイダのキャンプで訓練を受けていることなどを指摘、国務省が発表する「海外テロ組織」のリストにあげている。さらに、ソマリア自体が、イスラム過激派の訓練を行っているばかりか、ケニアタンザニアで起きた米大使館爆破事件の容疑者らをかくまっていると批判する。

 また、ケニアのナイロビで海賊問題を追っている東アフリカ船員支援計画の代表も、ロイター通信に「ソマリア沿岸は彼らに支配されており、海賊行為で得た金は、すべてアルシャバブの活動資金になっている」と指摘している。

 これに対し、アルシャバブのスポークスマンは、アルカーイダとの関係を否定し、エチオピア軍の影響力を排除するのが目的として、国際テロ組織とは無関係と主張する。

 アルシャバブはまた、制圧したキスマユ周辺に残っていたイタリア植民地時代のキリスト教会を破壊し始めている。スポークスマンは、AP通信に「すべての宗教施設をモスク(イスラム教礼拝所)に建て替えるのが目的」と主張する。

 しかし、国連高等弁務官事務所(UNHCR)によると、モガディシオだけで今年に入って16万人もの住民が国外に脱出するなど状況は悪化する一方だ。

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アフリカ情勢については、下の「ご近所さん」に登録している空野雑報さんが詳しいのですが、全てに目を通せていませんので(といいますか通しても情勢が複雑で…)、
最新情報は↓をごらんください。
Nur AddeはYusufを非難する:ソマリア内政・和平事情
http://blog.goo.ne.jp/teiresias/e/5259bfe2b14c50ec2d5627fbc721af66