雇用に保護主義台頭、英・米・豪・アジアで「外国人排除を」

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090322-00000171-yom-int

 世界同時不況で各国の失業率が高まる中、自国民の雇用を優先し、外国人労働者の受け入れを制限する「雇用の保護主義」が台頭しつつある。

 職を失った外国人労働者が本国へ還流する動きも広がっているが、国に帰っても仕事がなく、一家で路頭に迷う「労働難民」化も深刻化している。

 英国東部のイミンガム近郊にあるリンゼー石油精製所。雪が舞う1月末に、従業員が「英国の仕事は英国人労働者のものだ」と書かれたプラカードを手にデモ行進を繰り広げ、ストに突入した。発端は、精製所の新規プロジェクトにイタリア人とポルトガル人労働者の採用を決めたことだ。抗議活動は英全土の石油精製所や発電所に拡大し、会社側が英国人に採用枠を割り当てる妥協案を示したことで、ようやく沈静化した。

 世界規模で働く場が加速度的に失われる中、各地で外国人労働者を排除する世論が拡大している。英紙フィナンシャル・タイムズが欧米6か国で3月上旬にかけて行った調査では、英国やイタリア、スペインなどで8割近い人が「失業した外国人は出て行ってほしい」と答え、「仕事を奪う外国人」への警戒感が強まっている

 各国の政策にも「雇用の保護主義」が表れてきた。移民を積極的に受け入れてきた豪州は今月、8年ぶりに受け入れ目標を下方修正し、熟練労働者を現行の13万3500人から14%減らす方針を決めた。資源高に沸き、失業率が30年間で最低だった昨年から一変、足元の雇用は悪化している。

 エバンズ移民相は「自国民に優先的に雇用機会を与えるのは、ラッド政権の明確な方針だ」と強調した。

 インドネシアやネパールなどから200万人を超える外国人労働者が働くマレーシアも1月、電機・電子産業などの急激な業績悪化を踏まえ、サービス、電機・電子、繊維の3業種でビザの発給や更新に応じないことを決めた。同国のサイドハミド内相は本紙に対し、「外国人労働者は汚い(dirty)、危険(dangerous)、困難(difficult)の3Dに限定する」と言ってはばからなかった。

 インドでは、オバマ米大統領の発言に波紋が広がっている。「看護師を輸入しなければならないという考えは理解に苦しむ」−−。大統領は5日、医療問題を巡る議員らとの会談でこう述べ、50万人以上が見込まれる看護師不足の問題は、米国内で解消すべきだとの考えを示した

 米国で働くインド人看護師はフィリピンに次ぐ1万5000人以上。インド南部ハイデラバードのアポロ看護学校では、米国行きを夢見る生徒から失望の声が上がっている。

 オニラ・サリンス校長は「米国では15倍以上の収入が得られる」と、家族への送金などに大きな影響が出ることを心配する。

 「外国人労働者はバッファー(雇用の調整弁)に過ぎないと認識している」

 シンガポールのリー・シェンロン首相は昨年12月、外国人特派員との会合で言い切った。好況時に労働コストの安さが重宝された外国人労働者は、未曽有の経済危機で漂流を始めた。

同様記事ありますね
【オーストラリア】【記者コラム】<IT>高まるインド人の存在感に反発も
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090323-00000204-nna-int

 情報技術(IT)分野に関する長期就労ビザ(サブクラス457)の出身国別発給数で、インドが急増していたらしい。2008年度は前年度の2,790人から27%増えて、3,840人に達していたという。

 2位以下に続いたのが、470人の英国や220人の米国。全体の受理数に枠があるので、インドから来る人が増えれば、必然的にほかの国からの申請者は減ってしまう。しかも、このビザで雇われた人が低い労働条件に抑えられていることから、豪州人IT関係者の給与レベルを引き下げてしまうとの懸念も浮上している。

 すでに、豪州企業がIT関連の業務をインドに委託するケースは、労組から問題視されている。国内でも待遇面での足かせになると思われれば、豪州側のインドへの反発は高まりそうだ。(畑)

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以前にも
解雇の嵐、帰国の波…世界不況が出稼ぎフィリピン人直撃
http://d.hatena.ne.jp/navi-area26-10/20081213/1229138782
というのがありました。リンク先、日本はフィリピンからこの春にでも、看護師・介護福祉士を受け入れるという話もありましたが、ほんとどうなるんでしょうか。