米前副大統領のテロ対策で支持率が上昇、最新世論調査

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090521-00000025-cnn-int

ワシントン(CNN) オバマ米大統領によるテロ対策の不備への批判を強めるチェイニー前副大統領の主張の支持率が今年1月の退任時に比べ、増加していることがCNNとオピニオン・リサーチ社が共同で実施した最新世論調査で21日分かった。

不支持率は依然、多数となっているものの、支持率は1月と比べ8ポイント増の37%となっている。不支持率は55%だった。

オバマ大統領は就任後、キューバグアンタナモ米海軍基地にあるテロ容疑者収容施設の閉鎖、特別軍事法廷の審理中断、取り調べでの拷問禁止など、ブッシュ前政権の立場を覆す政策を打ち出している。

これに対抗する形でチェイニー氏は過去2カ月間、各種メディアに相次いで登場。オバマ氏は米国へのテロ攻撃を容易にする政策を容認していると批判を重ね、ブッシュ前大統領を弁護している。

チェイニー氏の主張への支持率が増加している背景については、退任後、米メディアの取材に応じていないブッシュ氏の支持率が6ポイント増を示していることからも、現政権によるテロ対策への米国民の信頼感が揺らいでいるとの見方もある

今回の世論調査で、ブッシュ氏の否定的評価は57%、肯定は41%だった。調査は5月14日─17日に成人1010人を対象に電話で実施した。

チェイニー氏は21日、保守系シンクタンクオバマ政権のテロ対策に関する講演を行う予定。オバマ大統領も同日、ジョージタウン大学でグアンタナモ基地のテロ収容者の今後の対応などについて演説を計画している。

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グアンタナモから釈放のアルジェリア人、フランスで入院と

対テロと言うと最近では
グアンタナモ>米上院、閉鎖予算認めず 大統領苦境に
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090521-00000034-mai-int

 【ワシントン小松健一】米上院本会議は20日、グアンタナモ米海軍基地のテロ容疑者収容所閉鎖に必要な費用8000万ドル(約76億円)について、支出を認めない条項を追加した補正予算案を賛成90、反対6で可決した。下院も14日に閉鎖関連費用の計上を拒否する補正予算案を可決している。来年1月までの収容所閉鎖を決定したオバマ大統領は、身内の民主党からも抵抗に遭い、苦境に立たされている。

 民主党議員の間では、閉鎖後の収容者の移送先など詳細な計画を明示しないオバマ大統領への不満が高まっていたオバマ大統領は21日に演説し、閉鎖の手順などを説明し議会の理解を求める方針だ。

 議会側は、収容者の米本土への移送を拒否する姿勢を鮮明にしている連邦捜査局FBI)のモラー長官も20日の下院司法委員会で「米本土に移送すれば、米国はテロのリスクにさらされる」との懸念を示したオバマ大統領が議会や政権内の懸念を払拭(ふっしょく)できるかが焦点となる。

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で、21日が過ぎたわけですが、
米大統領グアンタナモ閉鎖「公約通り実行」
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090522-00000002-mai-int

 【ワシントン小松健一オバマ米大統領は21日、国立公文書館で演説し、グアンタナモ米海軍基地(キューバ)のテロ容疑者収容所閉鎖を公約通り実行することを強調した。

 閉鎖を巡っては、共和党だけでなく民主党も収容者が米本土に移送されることへの懸念を強めているが、大統領は収容所が「自由と正義」に基づく米国の憲法と法の支配を著しく傷つけたと指摘した。

 収容者に対する適正な司法制度を確立するとともに、閉鎖によって「米国民を危険にさらすことはしない」と明言し、議会と国民に理解を求めた。

 一方、司法省は21日、98年のタンザニアケニアの米大使館爆破テロに関与したとして、06年から収容所で拘束されているアハメド・ガイラニ容疑者をニューヨークの連邦裁判所で裁判手続きを行うと発表した。

 グアンタナモ収容所から移送され、通常の刑事裁判で審理される初のケースになる。演説に合わせた発表は、オバマ政権が閉鎖に向けた手続きを進めるとの意思を明確にしたものといえる。

 収容所には現在240人いる。オバマ大統領は演説で容疑内容によって
(1)連邦裁判所での審理
(2)軍事法廷での裁判
(3)裁判所の決定による釈放
(4)本国や第三国への送還−−などのケースがあると指摘。そのうえで「容疑者を厳重に警備された施設に移し、米国の国家安全保障にとって危険な人物は決して釈放しない」と述べた

 また収容所閉鎖に反対する議会の考えは「間違っている」と強調。「閉鎖は難しく複雑な問題だ」と認める一方で、「ブッシュ前政権時代の『(テロの)恐怖』に基づく性急な措置が法の支配を揺るがした」と語った

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しかしこれは前に
グアンタナモ基地での審理、米大統領が一部再開の方針
http://d.hatena.ne.jp/navi-area26-10/20090516/p1
で、

前政権下で行われた「過酷な尋問」に基づく供述は一般法廷で証拠採用されない可能性が高く、容疑者が無罪となる事態も想定されるため、特別軍事法廷の再開に傾いたと見られる。

と指摘されたとおり難しい問題ですよね。

ですが、
アル・カーイダ水責め尋問「逆効果だった」…FBI元捜査官
http://d.hatena.ne.jp/navi-area26-10/20090515/p5

元捜査官は信頼関係の構築などを基本とする通常の方法で尋問し、アル・カーイダ最高幹部ハリド・シェイク・ムハンマド容疑者(逮捕済み)が米同時テロに関与していたなどの有力情報を自白させた

 ところが、中央情報局(CIA)に委託された民間取調官が続いて尋問を担当した際、水責めを行った結果、ズベイダ容疑者は口を閉ざしたとされる。

という報道もありました。これについては
2007/12
テロ容疑者の水責めは「人命を救った」と元CIA工作員
http://www.cnn.co.jp/usa/CNN200712120010.html

ニューヨーク(CNN) 米中央情報局(CIA)の元工作員ジョン・キリアコウ氏は11日、CNNの番組「アメリカン・モーニング」で、テロ容疑者の尋問で行われた「水責め」の方法を明らかにした。

キリアコウ氏は数年前、CIAの研修中に水責めを経験した。まず、尋問対象者を、足をやや上げた状態で机に固定する。取調官が対象者の顔をセロハンのようなもので覆い、頭部上方に掲げた水袋から口の部分に水を注いでいく。水が直接口に入ることはないものの、喉頭反射によって窒息するような感覚が生じる。同氏は身体が直ちに硬直する錯覚のため、数秒間しか耐えられなかった。

CIAによる水責めを受けたアルカイダ幹部アブ・ズベイダ容疑者は、キリアコウ氏よりやや長く耐えていたとされる。キリアコウ氏はズベイダ容疑者の尋問に関与したものの、水責めには立ち会わなかった

CIAは、何週間も取り調べに協力せず、黙秘を貫いていたズベイダ容疑者の水責めを決めた。同容疑者は水責めを30─35秒受けた後、一転して情報提供に応じるようになった。米同時多発テロで犯行計画に携わったカリド・シーク・モハメド容疑者の逮捕につながった供述や、アルカイダの組織構造に関する情報もあった

ズベイダ容疑者は水責めに携わった取調官に、アラーのお告げを聞いて「拘束された他の兄弟を楽にするため」協力姿勢に転じたと語ったとされる。

キリアコウ氏は、ズベイダ容疑者が水責めを受けて情報提供に応じた結果、テロ攻撃が阻止され人命が救われたとする一方、こうした尋問方法は拷問であり、使用するべきではないと現在は考えていることを明らかにした。同氏はまた、現在ズベイダ容疑者の尋問を記録したビデオテープを破棄した決定に同意しない姿勢を表明した。

キリアコウ氏は別のCNNの取材で、司法省と国家安全保障会議(NSC)が2002年6月、尋問方法の「選択肢」として水責めなどを承認したと述べた。同氏によると、この決定はホワイトハウスから通達されたという。

と言うことで水責め万能のようにかかれています。

CIA長官、アルカイダ尋問ビデオ破棄の連絡ミス認める
http://www.cnn.co.jp/usa/CNN200712130004.html

ワシントン(CNN) 米中央情報局(CIA)がアルカイダ幹部の尋問を記録したビデオテープを破棄した問題で、ヘイデンCIA長官は12日、テープ破棄をより適切に下院情報委員会に伝達するべきだったとの認識を示した。

テープには水責めなど、尋問方法の「選択肢」が実行されている様子が記録されていた。ヘイデン長官は3時間に及んだ同委員会の非公開の公聴会出席後、記者団に対して「テープ破棄の時点で、委員会への連絡面ではるかに適切な対応を取れた」と述べた。

ヘイデン長官は先週、CIA職員への連絡書で、ビデオテープの存在と破棄を公表し、新聞がこの件について報道する動きに対応した。米当局者らはビデオ収録について、2002年に承認されたテロ容疑者尋問方法の「内部チェック」が目的だったとしている。

テープには02年に行われたアルカイダ容疑者2人の尋問が記録されていた。CIA元工作員ジョン・キリアク氏が11日CNNに語ったところによると、容疑者の1人であるアブ・ズベイダ容疑者はCIAから水責めを受けて、重要情報を提供したという。

ヘイデン長官によると、テープは情報価値がなくなったとの理由で05年に破棄された。司法省とCIAは、この件について既に調査に乗り出している

下院情報委員会の有力メンバー、フックストラ下院議員は、ヘイデン長官の12日の発言によって、委員会への情報提供に遅れがあることが証明されたとコメント。レイエス同委員会議長も強い不満を表明した。同委員会は今後、尋問に直接携わった「専門家ら」など、複数の目撃者を召喚する方針

ビデオに関してはこの後の情報は手元では見出ししか見つからなかったのですが、
廃棄の尋問ビデオは92本=「水責め」証拠、組織的隠滅か
と言うことでググると、
京都大学学生運動カンボジア難民救援-反戦詩、国際人権情報さん
廃棄の尋問ビデオは92本=「水責め」証拠、組織的隠滅か−米CIA
http://blogs.yahoo.co.jp/anti_war1021/24383788.html
が今のところ最後ではないかと思います。
http://news-net.ddo.jp/cgi-bin/estseek.cgi?phrase=%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%82%AB+%7C+%E3%82%A2%E3%83%AB%EF%BD%A5%E3%82%AB+%E3%83%93%E3%83%87%E3%82%AA+%E6%8D%A8%7C%E6%A3%84&perpage=100&attr=&order=%40cdate+NUMD&clip=-1&navi=0
しかし、ビデオが残っていないため、水責めが有効だったのか普通の尋問をした方がいいのか、またCIAが得た証言が証拠として有効なのかどうか、全く分からない状態なわけですね。これはオバマ大統領より前政権を責めたほうがいいと思うのですが。

追記:
やはり取り調べ方法に問題があった気がしてきました。カリド・シーク・モハメドで検索したのですが、
http://news-net.ddo.jp/cgi-bin/estseek.cgi?phrase=%E3%82%AB%E3%83%AA%E3%83%89+%E3%82%B7%E3%83%BC%E3%82%AF+%E3%83%A2%E3%83%8F%E3%83%A1%E3%83%89&perpage=100&attr=&order=%40cdate+NUMD&clip=-1&navi=0

2008/12
「米同時テロ容疑者5人、罪状認める意向」国防総省が発表
http://www.cnn.co.jp/usa/CNN200812090009.html

ワシントン(CNN) 米国防総省の報道官は8日、キューバグアンタナモ米海軍基地に外国人テロリストとして収容され、今年6月に特別軍事法廷に起訴された5被告が、同時多発テロ(2001年9月11日)の共謀罪を認める意向を示したと発表した。

共謀罪に問われているのは、同時テロの2年後にパキスタンで拘束されたカリド・シーク・モハメド被告を含む5人。モハメド被告など3被告はこの日の審理で、保留となっている全ての動議を取り下げ、罪状を認めることが可能か判事に尋ねた。判事は被告らの希望を受け入れたうえで、残り2被告について先に資格審理が必要であることを伝えた。

審理に立ち会った人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチの関係者によると、被告らはテロ犠牲者の遺族の前で、罪を認める決意を表明したという。被告らに死刑判決が言い渡される可能性は今のところ不明。

と出ていたのですが、すぐに
同時テロ3被告、罪状認める意向を撤回 特別軍事法廷
http://www.cnn.co.jp/usa/CNN200812100015.html

ワシントン(CNN) キューバグアンタナモ米海軍基地に設置されている特別軍事法廷同時多発テロ(2001年9月11日)の共謀罪を認める意向を示していた3被告が、これを撤回した。関係者が明らかにした。

共謀罪に問われている被告5人のうち3人は8日の審理で、保留となっている全ての動議を取り下げ、罪状を認めることが可能か判事に尋ねた。軍事法廷の判事は3被告の希望を受け入れる姿勢を示す一方、残り2被告については「裁判を受ける能力に疑問がある」ため、先に資格審理が必要だと述べた。その後3被告は、意向を撤回したという。

特別軍事法廷最高裁が2006年に違憲判断を示し、設置が遅れた。専門家は5被告の審理が、外国人戦闘員をめぐる今後の裁判の指標になると見ている

この後の裁判の行方がよく分からないのですが、何も行われないまま2009/1/20にオバマ政権になってしまったのでしょうか。だとしたら前政権が無責任というより無計画と言わざる得ない気がしますが。