中国、インドネシア・パプアに関心示す 「第2列島線」南端の戦略拠点

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110113-00000511-san-int
 【北京=矢板明夫】中国が軍事分野を中心にインドネシアへの接近を図っている。昨年12月上旬に軍事代表団をインドネシアに派遣し、年末には海軍艦隊もジャカルタに寄港させた。さらに1月上旬、国有企業関係者らが東部パプアを視察し、港湾整備などに投資する意欲を示した。パプアは中国軍が外洋展開戦略の目標ラインとする第2列島線の南端に位置しており、海域支配の拡大を目指す一環ではないかとの見方が浮上している。

 在インドネシア中国大使館のホームページによると、章啓月大使は1月5、6の両日、中国の国有企業、国家投資開発公司の王会生会長ら財界代表団を引率し、同国東部のパプア州西パプア州を視察した。

 地元指導者と会談した際、章大使は「両州の経済発展のため、中国政府はより多くの企業がこの地に投資するよう働きかけていきたい」と語った。インドネシアの英字紙、ジャカルタ・ポストによると、「中国企業はソロン、ビアク、ジャヤプラなどの港湾整備への投資に強い興味を示した」という。

 両州や周辺海域には天然ガスなどの資源があり、中国企業による投資は、資源エネルギー獲得に向けた戦略とみる向きもある。

 また、関係者の間で注目されているのが両州の地政学上の重要性だ。ソロンなどの港湾は、西太平洋の「第2列島線」の南端に位置する。港湾整備に中国資本が投入されれば、これらの港湾で中国の影響力が拡大するのは必至で、将来的に中国海軍の外洋進出の足場となる可能性もある。

 中国メディアによると、中国とインドネシアの軍事交流はこのところ頻繁に行われている。

 昨年12月5日から10日にかけて中国人民解放軍の軍事代表団がインドネシアを訪問、団長の戚建国総参謀長補(中将)はプルノモ国防相と会談した際、「双方の努力によって、中国軍とインドネシア軍の関係は歴史上もっとも良い時期を迎えた」と強調した。

 その後、中国海軍の艦隊が昨年12月27日から5日間の日程で、インドネシアを訪問している。

 中国は近年、南シナ海の離島の領有権をめぐり、ベトナム、フィリピン、マレーシアなど東南アジア諸国との対立が先鋭化している。こうしたなか、域内大国のインドネシアに接近することで、東南アジア諸国間の分断を図ろうという思惑もありそうだ。

 中国は南シナ海での軍事プレゼンスを高める一方、投資や交流も促進するなど海域の支配拡大に向け硬軟両様の構えで臨んでいる。

     ◇

 【第2列島線】 伊豆諸島から北マリアナ諸島パプアニューギニアをつなぐ中国の軍事戦略上の海上ライン。それより内側の沖縄、台湾、フィリピンを結ぶ第1列島線とともに、1982年に当時の中国の最高指導者、●(=登におおざと)小平氏の意向を受け、海軍司令官だった劉華清氏が打ち出した概念とされる。中国は、他国の侵入を阻止する防衛線として重視し、当初、2010年までに第1列島線内、20年までに第2列島線内の制海権を握る目標計画を立てていた。しかし目標期限は5年ずつ先送りされたとみられている。

【関連記事】
次世代ステルス機の試験飛行を確認 中国国防省
中国の核 疑念を残す「先制不使用」
米、中国の海洋領有権拡大を注視
海保強化策 これでは領海を守れない
中国、地方も海洋監視船を増強 新たに36隻
こんな時代だからこそ ”こだわりのスタイル”

ちょっと風邪気味なのと、今日の他のエントリでパキスタンで米兵が死んで米軍とパキスタンの協力関係が公になった記事ってどれだっけと探すのに労力を使い果てて、強調は後でするかもです。

インドネシアといえば日本との関係は、
インドネシア】前原外相、日米でイ議長支援:東ア首脳会議の安保協議向け

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110110-00000005-nna-int

 前原誠司外相は6日、米国ワシントンの戦略国際問題研究所(CSIS)での外交演説で、日米も出席する東アジア首脳会議(サミット)の安全保障分野での役割を拡大することが重要と指摘した。議長国のインドネシアを日米が側面支援することで十分な成果を挙げられる環境を作ることが重要と語った。「アジア太平洋に新しい地平線を拓く」と題した演説で、外相が役割を期待するとして国名を挙げたのは中国とインドネシアだけだった。

 前原外相は、21世紀が「アジア太平洋の時代」であることは疑いがないと述べた上で、同地域が不安定で不確実な要素をはらんでいるのも事実と指摘。アジア新興国の台頭について、世界経済の好機とともに、資源の争奪などを背景にした緊張関係を生んでいると強調した。また国名を挙げなかったものの、一部の諸国にみられる不透明な軍事費の増大が地域の緊張を高める潜在的な要因になっていると中国をけん制した。

 国際社会の多様化の中で、「共通の土台がないまま各国が自国の利益のみを追求する傾向」も見られると述べた。その上で、必要な新しい秩序を形成するために、発展途上国の開発と経済成長を支えてきたインフラ整備に加え、法の支配、民主主義、人権の尊重、グローバル・コモンズ(国際公共財)、知的財産権の保護を含む自由で公正な貿易・投資ルールといった制度的基盤の整備が必要と強調している。

 民主主義について、世界最大のイスラム教徒の人口を抱え、直接選挙で大統領を選出するインドネシアを安定した民主主義国と評価した。政治の安定がインドネシア東南アジア諸国連合ASEAN)の指導的な役割を「一層頼もしいもの」にしているとの見解を示した。また、ユドヨノ大統領が始めたバリ民主主義フォーラムが、アジア発の民主主義へのコメットメントとして注目に値すると発言。日本としても、地域の民主主義制度の基盤作りの試みとして高く評価していると述べた。

 制度的な基盤の整備に向け、中国やインドなどの新興国が国際社会の共通利益を見据え、「新しい秩序」に建設的に関与することがカギを握るとあらためて強調し、特に中国がアジア太平洋における新秩序の中で果たす役割に注目していると語った。

 制度的基盤の整備に向け、日米が東アジア首脳会議の役割を拡充、強化することも具体的分野と指摘。同会議が、エネルギー、教育、金融、防災、鳥インフルエンザ対策を優先分野として協力しているものの、安保を視野に入れることが重要と表明した。

 外相は、同日にクリントン国務長官とも会談。米国務省は、東南アジア地域について、メコン川下流で両国が協力を拡大する機会を模索することなどで一致したと発表している。

 両者は過去4カ月に4度会談しており、今後も菅直人首脳の訪米時に再会するほか、インドネシアで開催される7月のASEAN地域フォーラム(ARF)と今年の東アジア首脳会議でも顔を合わせることになる。

 ■ロンボクで行事開始

 一方、インドネシアのマルティ外相は7日、今年のASEAN議長の日程として、16〜17日に西ヌサトゥンガラ州ロンボク島で開催されるASEAN外相会議が最初の行事になると明らかにした。

 同会議では、昨年採択されたASEANコネクティビティー(連結性)マスタープラン(基本計画)の調整委員会の設立や、ASEAN首脳会議、東アジア首脳会議の議題などの意見を交換する。また、東南アジア非核兵器地帯条約や、ASEAN憲章、船員・船舶の捜索救出宣言などについて協議するという。

第2列島線の地図は
中国、原子力空母2隻計画 20年以降、西太平洋に展開
http://d.hatena.ne.jp/navi-area26-10/20090213/1234479194
にあります(なんと朝日新聞です)。