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森羅万象・魑魅魍魎を楽しみ・考える不定期連載ウェブログです。本日ものんびり開店休業中。

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2008-04-10 (木) バルザック『みみずく党』

[]バルザックみみずく党』 バルザック『みみずく党』を含むブックマーク バルザック『みみずく党』のブックマークコメント

 フランス革命後、イギリスはじめヨーロッパ君主国はフランスに対して宣戦を布告し、フランス国内でも王党派が共和政府に対して抵抗していた。

 王党派のかしらとして“ガー”と呼ばれる優れた貴族イギリスからフランスにやってきた。対する共和政府も、“ガー”を捕まえるため、一人の女スパイ派遣した。

 やがて二人は遭遇し、愛し合うことになり……。

 

 というのがあらすじ。“みみずく党”というのは、王党派のこと。

 タイトルを見て、“みみずく党”なる秘密結社なり盗賊団なりが大活躍する娯楽冒険活劇かと予想していたのであるが、少々あてが外れてしまった。

 なるほど確かに上に記した簡単なあらすじを見ると冒険活劇のように思われるが、非常に重い作品であった。

『紅はこべ』ではなく『二都物語』路線の物語である。

 

 そもそも訳し方が悪いのか、原作の書き方が複雑なのか、話の展開が分かりにくい。

 冒頭、共和政府のユロ連隊長率いる部隊と王党派の部隊との戦闘が描かれ、次に王党派の幹部面々が集まった場面が描かれる。実はこの時、“ガー”も登場しているようだが、分かりにくい書き方である。そのため、この時交された会話の意味がよく分からない。

 次にようやく主人公ともいえる女スパイ・マリーが登場するのであるが、それはまだ明らかにされていない。初期の頃は、そのお付きのフランシーヌが中心の描写がされていて、主人公がフランシーヌでマリーは単なる脇役ではないかと思っていた。

 そして早速マリー達と“ガー”が遭遇するのであるが、“ガー”は最初、理工科学学生のギュア・サン・シールとして登場する。以後“ガー”は、“学生”だとか“ガー”だとか“モントーラン侯爵”だとか“侯爵”だとか色々書かれていて表記が統一されていず、混乱する。

 

 また、物語記述法も、事件描写が中心で、説明が十分でない感じである。

 登場人物の心理描写もあまりされていない。

 ストーリーが複雑な映画を、ナレーションや説明なしで観ているような、と形容するのがピッタリくる。

 

 私は個人的には物語小論文のように起承転結時系列に沿って分かりやすく描かれている方が読みやすい。その点で、この物語は少々流れがつかみにくかった。これは訳し方の問題なのだろうか、原作の書き方なのだろうか。

 1回読んだだけでは分からず、繰り返し読まないと分からないだろう。

 しかし物語の内容は、確かにスリルサスペンス冒険活劇が含まれているとはいえ、やはり重い。

 児童文学全集に収録されているのであるが、ちょっと背伸びした収録ではないか。

書誌的事項◎

カラー名作 少年少女世界文学12(文学30巻版)(1970年

みみずく党』

 オノレ・ド・バルザック原作

 藤原一生(文)

 中村英夫(画)

 なお、本作品は『ふくろう党』と訳されることもあるようです。

 バルザック出世作といわれる本作品ですが、日本での紹介はあまりされていないよう。

 バルザック全集 1

に『ふくろう党が『Z・マルカス』という作品と共に収録されているくらい。

 それほど日本での紹介があまりない作品を、少年少女向け文学全集に収録するという選択方針はすごい。

 

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JunJun 2010/01/10 21:10 古い記事へのコメントお許し下さい。
私は世界の文学で「みみずく党」を読んで、何故か気に入った昔の女の子です。この物語、確かに日本では知られていませんね。
複雑でしょうか?私は案外すぐストーリーにのめり込みましたが。
ただ、最後の二人とも死んでしまって、だからどうよ? これが子供向けなのか?と思ったことは事実です。
今思えば、確かに不思議な選択です。

nazegakunazegaku 2010/01/11 23:48  コメントありがとうございます。コメントを頂いた機会にこの記事を読み返したのですが、文体は堅いし小説の内容についてあまり書かずに批判めいたことばかり書いていると、この小説のファンの方に申し訳ないような記事でした。もっといい記事を書かないと後で後悔すると思った次第です。
 私にとってはこの小説の文体や展開は少々着いていくのに骨が折れました。意外と思考が単純なので、小説やドラマなどは単純な展開の方が分かりやすいのです。
 好みのアニメや特撮も、単純に悪い敵を正義のヒーローがやっつけるというレベルから成長できないようなところがあり、「ゼータガンダム」や「仮面ライダーブラック」も最初の部分で分からなくなってそれ以来ガンダムシリーズも仮面ライダーシリーズも見られなくなったものです。
 多分この小説は子供向けではなく、大人を対象に書かれたもので、難しいところがあります。
 こういった小説を子供向け文学全集に収録しようとした編集部はかなりの冒険であるし、英断だと思います。
 子ども時代にこの小説を楽々読みこなして好きになったというJunさんははすごいですね。
 そういった子ども時代の蓄積がその後に花開いているのではないでしょうか。
 ブログで掌編小説を書くとはなかなかできるもんではありません。
 子ども時代に何か集中して身につけることがいかに大切か、何もかも中途半端に終わった者として実感しています。

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