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森羅万象・魑魅魍魎を楽しみ・考える不定期連載ウェブログです。本日ものんびり開店休業中。

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2017-07-06 (木) 「あの時分」「少年の悲哀」国木田独歩

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 あの時分 あの時分


 国木田独歩作品は、誰かから聞いた話というパターンが多いのですが、本作品は作者自身を思わせる“窪田”さんの体験談という形式で書かれています

 大学時代を回顧して、主に樋口木村という同宿者について書かれています

 樋口については、佐藤春夫による珠玉の名品『オカアサン』と同じく、オウム台詞から始まる話。

『オカアサン』では書き手推理過程を分かりやすく説明してくれていましたが、本作品ではほのめかしているだけで読み手推理して補完しなくてはならない。

 世間知らずの私でもこれくらいは何とか想像できそう。小中学生時代に読んでも意味が分からなかったのではないでしょうか。


 

 冒頭で

>「あの時分」の話になると、われ知らず、青春の血潮が今ひとたびそのほおにのぼり、目もかがやき、声までがつやをもち、やさしや、涙さえ催されます。/


と勇ましいようなこと書かれていますが、やはり本作品国木田独歩作品らしい、物悲しい余韻を残す作品です。

 本作品で回顧される樋口木村は、大学卒業することなく消えていきました。

 また、語り手の窪田と仲よしだった下宿先の息子の四郎さんもその後まもなくして脊髄病にかかって亡くなったといいます

「縁が薄い」「影が薄い」という言葉が使われていますが、当時、弱肉強食生存競争世界で世に出ることなく消え去った人も多くいたのでしょうね。


 

 本作品には他にも窪田の同宿者・政治科の鷹見と法科の上田が登場します。この実学系の二人は立派に立身出世して学生時代のことを上から目線で語り合うご身分になっているようです。

 樋口木村はどの学科不明のようですが、実学系の二人とは肌合いが違って、文科系雰囲気があります

樋口木村もどこか似ている性質があるようにも思われますが」

「この二人はとにかくある類似した色を持っていることは確かです」

と書かれています

 そして、書き手の窪田さんの専門についても明らかにはされていないのですが、どうやら窪田さんは政法の二人よりも樋口木村の方に近いような書きぶりです。

(作者の国木田独歩東京専門学校(現・早稲田大学英語普通科中退のようです。)

 それはともかく窪田さんもまた政法出身者と肩を並べて学生時代を語り合える身分になったのだからすごいことですね。

 しかしこの作品は、志半ばで消えていった人々にも目配りする視点があります。そこが独歩作品の味わいです。


青空文庫 図書カード:No.1044 あの時分

 http://www.aozora.gr.jp/cards/000038/card1044.html

  http://www.aozora.gr.jp/cards/000038/files/1044_15933.html


教養の森

 濫読の時分 ――「教養」の来た道(23) 天野雅郎

  http://www.wakayama-u.ac.jp/kyoyonomori/message/-23.php

 再読『あの時分』――「教養」の来た道(224) 天野雅郎

  http://www.wakayama-u.ac.jp/kyoyonomori/message/224.php


■[名作文学]『文豪探偵小説』(佐藤春夫『オカアサン』収録)

  http://d.hatena.ne.jp/nazegaku/20161030/p1


ブクログ

 http://booklog.jp/item/7/001044

 http://booklog.jp/item/1/B009IXTC04

読書メーター

 https://bookmeter.com/books/6125483


 少年の悲哀 少年の悲哀


 一人の男が話した少年の日の出来事。

 本作品に登場する若い女は一体どんな境遇でどんな事情があったのか。

 その女と徳さん関係想像するしかない。

 少年にこんな体験をさせる徳さんも罪やのう。

 確かにそれ自体悲しい思い出ですが、世間知らずの子どもだった故に慰める言葉をかけてやれなかったことも哀しさを増す。

 住居から舟を簡単に出せる構造になっているようだ。


 wikipedia:伊根の舟屋


のような構造なのでしょうか。


青空文庫 図書カード:No.326 少年の悲哀(旧字旧仮名作品ID326) 

  http://www.aozora.gr.jp/cards/000038/card326.html

青空文庫 図書カード:No.334 少年の悲哀(新字新仮名作品ID334) 

  http://www.aozora.gr.jp/cards/000038/card334.html


狐人日記

少年の悲哀/国木田独歩大人になれば強くなれると信じていませんか?

  http://nanatoshi.com/book-report160/


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■[速読読書]「武蔵野」「詩想」国木田独歩

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2017-06-26 (月) 「武蔵野」「詩想」国木田独歩

[]「武蔵野」「詩想」国木田独歩 「武蔵野」「詩想」国木田独歩  - OLDIES 三丁目のブログ を含むブックマーク 「武蔵野」「詩想」国木田独歩  - OLDIES 三丁目のブログ のブックマークコメント

 武蔵野 武蔵野


 

 国木田独歩夏目漱石の4歳年下でほぼ同時代人のようですが、本作品文章は難解。文語文に近い。一読して意味が取りにくいのですが、何度でも咀嚼して味わいたい作品

読書百遍意自ずから通ず』

というのがふさわしい、何度でも再読し音読したくなる名品です。

 本作品では武蔵野自然や地形について色々と記述されています

 私が現在住んでいる地方結構自然が残っていて、思い出して比較しながら読みました。

 しかしながら、武蔵野を歩けば思わぬところに出るとか、農家の庭先を通って往来に出るとか、まるで異次元空間ファンタジーを思わせる記述も。


  

武蔵野を除いて日本にこのやうな処がどこにあるか。北海道原野にはむろんのこと、奈須野にもない、そのほかどこにあるか。林と野とがかくもよく入り乱れて、生活自然とがこのやうに密接している処がどこにあるか。」


  

とあるので、武蔵野独特の地形のようです。

 そして今では当時の面影は残っていないようです。

 当時の貴重な武蔵野を今に伝える記録映画のような作品でしょうか。


耳で読む本、オーディオブック 「「武蔵野」「詩想」」― 国木田独歩 配信中!

↑FeBeのオーディオブック版で聴きました。

 ただ、朗読者が高性能合成音声です。やはり人間朗読にはかなわない。人間が情感込めて朗読するのとは全く違います。本作品のような文語体に近くて意味が取りにくい作品は、人間朗読して頂きたかった。


   

私が実際に聴いて良かったオーディオブックです。

  https://www.febe.jp/booklist/list/5064


 

 wikipedia:国木田独歩

 wikipedia:武蔵野


青空文庫 図書カード:No.329 武蔵野

  http://www.aozora.gr.jp/cards/000038/card329.html


らんどくなんでもかんでも 7 「武蔵野国木田独歩

  https://blogs.yahoo.co.jp/no1685j_s_bach/2992126.html

広岡威吹の作家ブログ 国木田独歩武蔵野小説感想

  http://blog.livedoor.jp/blueskytheory/archives/1784622.html

千夜千冊 655夜『武蔵野国木田独歩 ...

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ブクログ

  http://booklog.jp/item/7/000329

  http://booklog.jp/item/1/B009IXBPHW


 詩想 詩想 


 非常に短い4つの断片。しかし雄大な時間と広大な空間を感じさせるスケールの大きな、しかし非常に繊細な作品

 思えば私も没落して御家断絶して忘れ去られていく運命にあります

 我が身と境遇を思うと余計に味わい深い作品です。


青空文庫 図書カード:No.42204 詩想

  http://www.aozora.gr.jp/cards/000038/card42204.html


■[速読読書]非凡なる凡人 国木田独歩

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2017-06-19 (月) 私の果樹園・軽蔑された翻訳 三木清

[]私の果樹園・軽蔑された翻訳 三木清 私の果樹園・軽蔑された翻訳 三木清 - OLDIES 三丁目のブログ を含むブックマーク 私の果樹園・軽蔑された翻訳 三木清 - OLDIES 三丁目のブログ のブックマークコメント

 私の果樹園 私の果樹園


「豊かな果樹園をつくるのは

 貴い魂にふさわしい仕事だ。」


 三木清さんは家庭菜園でも持っていたのかと思えば、著作を果樹になぞらえたものだった。

 しかも味わい深い詩です。三木清はこんな詩も書いていたのですね。

『如何に読書すべきか』では海外の作品は原書で読むべき、と書かれていた三木師らしく、各国語の作品をそれらしい果樹や風物に例えています。三木師は一体何か国語に通じていたのでしょうか。


「私も私の果樹園をつくろう。」


 歴史上、日本人の果樹園の中でも、三木清の果樹園は最も優れた果樹園の一つだったでしょう。


 

ざわわ ざわわ ざわわ

しかし海の向こうから 日本人の心の中から

いくさがやってきた

あの日三木清は友をかくまい

治安維持法で逮捕された


  

 この歴史から日本人は何を学んだのでしょう。

 この過ちを再び繰り返そうとしているのでしょうか。

 少なくとも、三木清の著作に学ぶ者はその間違った流れに抗議し抵抗するべきなのではないでしょうか。


 wikipedia:三木清


青空文庫 図書カード:No.46223 私の果樹園 三木清 

 http://www.aozora.gr.jp/cards/000218/card46223.html

  http://www.aozora.gr.jp/cards/000218/files/46223_25711.html


ブクログ

 http://booklog.jp/item/7/046223

 http://booklog.jp/item/1/B009MAESXY

読書メーター https://bookmeter.com/books/11854251


 軽蔑された翻訳 軽蔑された翻訳


「正直に云って、日本の学界の水準は西洋の学界の水準よりも低いことを認めねばならぬ」


 

という時代の話。


日本人は日本人の書いたものを互にもっと親切に読むようにしたいと思う。我々は互に他の人のものをもっと率直に理解し、もっと親切に批評するようにしなければならぬ。そうしてこそ我々の間に文化の共通な、広い地盤が作られ、その上に初めて我々の独自な文化が花を開くことも出来るのである。然るに我が国の学者は少くとも同国人のものをあまり読まなさ過ぎるのではないか。」


「私は今日学問する人が、先ずもっと我々同志の書いたものに注意すると共に、次に日本語になった飜訳書をもっと利用することを希望せずにはいられない。原書癖にとらわれて飜訳物を軽蔑し、折角相当な飜訳が出ているのに読まないで損をしている学徒も多い」


と、三木師は日本語で論じることを勧めています


 話は変わって平成時代英語教育論争の話。

 大学入試にTOEFL導入という話が出てきました。

 ノーベル賞受賞の益川敏英さんは英語が苦手ですが、英語を勉強する時間と労力を専門分野の研究に費やしたということです。


(耕論)何のための英語入試改革 多田幸雄さん、益川敏英さん

  http://yorodzu.seesaa.net/article/409697351.html


大学入試にTOEFL論争 遠藤利明さん・江利川春雄さん

  http://yorodzu.seesaa.net/article/358239425.html

■[学問]大学受験にTOEFL!?アンケート

  http://d.hatena.ne.jp/nazegaku/20130502/p1


  

 翻訳書が出て自分の国の言葉で学び・論じることができるのは、その国の文化水準が高いということなんですね。


 

 ところで三木師は『如何に読書すべきか』で、書物を翻訳でなく原書で読むことを勧めています


『軽蔑された飜訳』初出:「文芸春秋」1931(昭和6)年9月

『如何に読書すべきか』初出:「学生と読書」1938(昭和13)年12月


  

“原書原理主義”から“翻訳容認”に変化したというのなら分かりやすいのです。

 肩の力が抜けたとか性格が丸くなったとか日本の翻訳のレベルが上がったとか。

 しかし、“翻訳容認”から“原書原理主義”のコースは何やら不穏なものを感じます

 日本の翻訳のレベルに失望したとか。日本の中に閉じこもらないで直接世界につながれ、とか。

 一体この7年の間にどのような心境の変化があったのでしょうか。


青空文庫 図書カード:No.50536 軽蔑された翻訳 三木清 

 http://www.aozora.gr.jp/cards/000218/card50536.html

  http://www.aozora.gr.jp/cards/000218/files/50536_37479.html


ブクログ

 http://booklog.jp/item/7/050536

 http://booklog.jp/item/1/B009B1V9HC


 wikipedia:三木清


■[速読読書]如何に読書すべきか 三木清

   http://d.hatena.ne.jp/nazegaku/20170506/p1

■[速読読書]書物の倫理 三木清

   http://d.hatena.ne.jp/nazegaku/20170202/p1

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