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2015-12-07

実はトレンディエンジェルって、めちゃくちゃかっこいい「クリエイター」だという話

23:39 | 実はトレンディエンジェルって、めちゃくちゃかっこいい「クリエイター」だという話を含むブックマーク 実はトレンディエンジェルって、めちゃくちゃかっこいい「クリエイター」だという話のブックマークコメント

M-1グランプリ2015見ながら考えてたこと - ←ズイショ→

http://zuisho.hatenadiary.jp/entry/2015/12/07/190427

 今年のM-1がびっくりするくらい面白かったのと、上記のブログを読んであーなんか俺もこういうの書きたいなとか久々に思ったので思ったことを書いてみることにしました。

 まず全体的な所見としてはトレンディエンジェル優勝おめでとう!最高にカッコよかったよ!という感じで、心の底から優勝に納得して祝福してるといった心境です。トレンディエンジェルが二本目のネタを終えたときには鳥肌すら立ちました。本当に最高でした。

 なにが最高だったかというと、トレンディエンジェルってめちゃくちゃ尖ってるんですよ。いやいやあんなベタでポップで大衆向けな芸風で尖ってるってそんなわけないだろと思われるかもしれないんですが、そうではなく、だからこそ逆に尖ってるんですよ。

 だって考えて欲しいんですが、例えば過去のM-1優勝者のNON STYLEパンクブーブー。彼らもめちゃくちゃポップで質が高く、ほかに真似のできないような大衆向けのとんでもない漫才を突き詰めています。すごいレベルの存在です。しかし、であるにも関わらず、その二組とトレンディエンジェルを比較して、どっちのほうがポップに振り切っているかと考えてみると、圧倒的にトレンディエンジェルになるんですよ。

 これってめちゃくちゃすごいことで、だってNON STYLEパンクブーブーって、ポップさやわかりやすさというものを大きな武器の一つとして戦い、そして数千組の中から一位になるほどの結果を残しているコンビなんですよ。これはつまり、NON STYLEパンクブーブーは「ポップでわかりやすい笑い」を作るという意味での創造において日本でも有数のクリエイターでありプレイヤーだということです。しかし、そんな彼らと比べても圧倒的に、過剰に、不自然なほどに振り切った「ポップさ」を持ち合わせているのがトレンディエンジェルということになるわけです。それって本当に異次元のような存在なんですよ。

 なにも考えず自然に漫才を作っているだけじゃ絶対にこうはなりません。おそらく彼らは「過剰なまでにポップにする」ということに対して意識的に挑戦して、そしてこの境地に至っています。ハゲネタを入れて、変な動きして変な声出して、テーマもわかりやすくする。その意識からは「深み? 頭を使う笑い? 新しさ? かっこよさ? そんなもん知らねえ、ポップでおもしろいならそれでいいだろ!」とでも主張しているかのような「ポップさ」へのプライドが垣間見えてすらいます。

 そのことは、こんなことからも垣間見えます。

 まず今年のM-1ではなく、去年のTHE MANZAIトレンディエンジェルの一本目の漫才。めちゃくちゃウケていましたが、その漫才の中で出てきたテーマを列挙するとこんな感じになります。

くまもん

ふなっしー

STAP細胞

ようかい体操

 そして次は今年のM-1一本目の漫才。同じく列挙するとこうなります。

五郎丸選手

トリプルスリー

爆買い中国人

 こんなの確実にわざとなんですよ。完全に意図して、狙いすまして、目的を持って「流行りモノ、流行語をネタの中にたくさん入れよう」という縛りのもとで作ってるとしか思えません。こういうふうに書くと、「流行りものを取り入れるなんて浅はかじゃん、なにいいことみたいに書いてるの」と思われる方もいるかもしれないんですが、そうではないんです。

 だって、普通に考えて芸人というのは、特に漫才やコントなど、舞台でもネタに力を入れている人たちは、少なからず「クリエイター」です。クリエイターというのは、一般論としてになりますが、新しいものやすごいものを作って、ちゃんと評価されたいという気持ちを持ってやっています。それがすべてではありませんが、そこに大きなモチベーションの一つがあることが普通です。評価されたいんですよ。それはM-1に出ているあらゆる芸人さんたちがそうでしょうし、だからもちろんトレンディエンジェルだって例外ではないはずです。

 だとしたとき、「流行りモノを入れまくる」という選択は、通常なら選択しにくいものなんです。だって、場合によってはさっき書いたみたいに「浅はか」と思われる可能性だって大いにあるし、少なくとも僕が今大会の出場者が発表されたときにジャルジャルに抱いたような「なにか新しいものを見せてくれるという期待感」みたいなものは、なかなか得られないんですよ。見下されやすいし、評価もされづらい。だからトレンディエンジェルのした選択は、本来「クリエイター」として抵抗があるものでしょうし、だからこそ「ポップでわかりやすい笑い」を武器にして戦っているNON STYLEパンクブーブーですら、極端なところまでは振り切ることができなかった、そんな勇気の必要な、攻めの選択なんですよ。

 これが反骨精神でなくてなんなのか、と僕は思います。「クリエイター」としての「評価されたいという気持ち」や「新しいものを作りたいという気持ち」を抑え、ポップで軽くてわかりやすい笑いに終始し、どこまでも道化を演じることに徹底する。これこそが、いろいろなことがメタ化され一周回った地点にある現代における、純粋な反骨精神だ、と少なくとも僕は思っています。

 そして実は、そんな気持ちの一端が、僕の知るかぎり過去に一度だけ、漫才の中に現れていたことがあります。それは、THE MANZAI 2014、トレンディエンジェルの漫才一本目のネタ中。オチの直前、「ようかい体操」の替え歌で「はーげる はーげる はーげる はーげる 頭皮をめくるとツルリンテン」というポップ極まりないボケをしたあとの、こんなやりとりです。

「ハゲハゲハゲハゲうるせえなあ!」

「大丈夫、いまはな! やりたいことより、できることをやる時期なんだよ!」

 僕はここに、トレンディエンジェル斉藤さんの「クリエイター」としての本音が表れたものだと思っています。やりたいことはある、けどいまは、いつかそれをするために自分の武器を利用して、ただただ「笑いを取る」ことだけを貪欲に追求する。そんな本音と決意が垣間見えた瞬間だと思っています。それらのことを踏まえてもう一度考えて欲しいんですが、トレンディエンジェル、めちゃくちゃかっこよくないですか?

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