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群馬県大泉町のブラジリアンプラザをリニューアル

オープンは12月目標

 群馬県邑楽(おうら)郡大泉町にある「ブラジリアンプラザ」をリニューアルし活性化する計画が進行しています。同プラザの土地建物所有者が復活再生を決め、「特定非営利活動法人交流ネット」(舩津丸謙一理事長)、「一般社団法人日本海外協会」(今村忠雄会長)に活性化を依頼、両団体は今年12月のオープンを目指し活動を始めたものです。
 同プラザは、日本国内でブラジルを象徴する存在として知られていましたが、2008年のリーマン・ショック、2011年の東日本大震災で帰国する日系ブラジル人が相次ぎ、同プラザは衰退を続けました。2007年頃まで同プラザにはブラジル食材などを扱うスーパーマーケットをはじめ、旅行社、送金業者、電器店、出版社、レストランなどの店舗が入り、多い時は1日1万人が訪れていました。
 しかし、リーマン・ショック東日本大震災後は、大泉町にいた6000人の日系ブラジル人が4000人まで減少、テナントもプラザから撤退を続け、日系ブラジル人のメッカとしての機能を失いつつありました。大泉町民からは観光源の一つが失われると不安視され、日系人は「このままではブラジル人社会から活気が失われる」と危惧されていました。
 こうしたことから再生希望の声が高まり、プラザの土地建物所有者が要望に応え再生を決意、日本海外協会に「無償貸与するので、プラザを復活再生してくれ」と要望、同協会と交流ネットを中心に再生事業計画が立ち上がりました。

フードコート、福祉施設、資料館を設置

 計画ではブラジル移住資料館、障がい者総合福祉施設、フードコート、日系人の起業サポート機関などの設置が予定されています。
 移住資料館は、日系人が「デカセギ」として日本で働き始めて30年になり、その日系人就労者たちの苦闘の歴史を中心に写真、パネルで展示、その歴史を保存しておこうというものです。内容は日系ブラジル人たちがなぜ日本で就労するようになったのか、あるいは職場、日常生活の写真パネルなどです。ブラジリアンプラザの岡野護館長は狙いを「日本で暮らす日系子弟たちに、その歴史を学んで欲しい」と語りました。
 福祉施設は、日本での日系ブラジル人出生率は3%と日本人の出生率(1・42%)の倍以上もあり、障がい者も増加しています。現在、交流ネットでは三重県四日市市に同様の障がい者福祉施設を運営。10月には同市内に2つ目の施設建設も予定しており、大泉町障がい者施設は3つ目になります。
 岡野館長は「現在、民間のバス会社がブラジル体験ツアーとして東京から大泉までの日帰り観光ツアーを行っているところも増えています。観光地としての役割も高めていきたい」と意欲を見せています。