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☆ネコのシムズ3日記☆

2017-04-04

第60話 今を受け入れて

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「この街も久しぶりだな・・・」

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懐かしむように空を仰ぎ、一人の青年がシーブルーカルセドニーの街にやって来た。

「ちょっと思い出の地を巡るとするか。」

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そう言い、清々しい気分の中、青年は歩き出した。


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―ロイヤルパレス―


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ビリーは朝食を終え、部屋に戻ろうとしたところで、千夏の姿を見つけた。


「千夏?」

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「出かけるのかい?」

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「・・・。」

ビリーに呼び止められ、千夏はコクリと頷く。

やはり今日も昨日と同じ、声は出そうに無かった。

心理的なものなのだろうか、大きなマスクをつけている。

「私は一切喋りません。」そう言っているように見て取れた。

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「朝食は?」

そう聞いてみたが千夏は首を横に振っただけだった。

口元が見えない為、千夏の表情がイマイチわからなかったが、

きっと笑ってはいない。それだけはわかった。

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「気をつけてね。行ってらっしゃい。」

ビリーはできる限りの笑顔で千夏を見送った。



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自ら引きこもってはいたが、正直気が狂いそうになる。

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一日中会話できないことが、ここまで不自由な事だったとは思いもしなかったし、

むしろ自分の気持ちを何一つ伝えられない事に激しく苛立った。


それならいっそ、誰かと会話をする機会などいらないのに。

そう思うようになっていた。


その時。

「あっれ〜!千夏じゃん!」

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こんな時にアカデミーの友人に出くわすなんて、運がない。



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マスクで口元を隠した千夏は必死に笑顔を作った。

「最近姿見せないから皆心配してたんだよ?って、どしたの?風邪でもひいた??」

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「・・・。」

コクコクと頷くことしかできない。

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「そっか〜。あんま無理しちゃだめだよ?今年の風邪はしつこいらしいから。」

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「早く喉治してまた歌聴かせてよね!じゃ、お大事にね!」


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そう言って友人が去ると、激しい嫌悪感に襲われる。

「(風邪なんかじゃないっ・・・!!!)」

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歌なんて歌えるわけがないだろう。

そう言ってやりたいのに、本当の事が言えない。

説明すらできない。

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あの子が悪いわけじゃない。でも・・・

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悔しい。

この言葉が一番しっくりくるのではないだろうか。


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「(私は、この世界に必要なのかな・・・。)」


孤独だ・・・。少しずつ自分の存在意義を消されてゆく感覚。

手も足も動く。体調が悪いわけじゃない。

なのにっ!!・・・全部がおかしい。

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「(外になんて出るんじゃなかったな。)」


心の中でそう呟くと、千夏は携帯電話の画面を見つめた。


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あれから、宗太からの着信は途絶えた。


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「(きっとイタズラか間違いで私が電話をしたって思ってくれたよね。)」


それでいい。


もう誰にも迷惑かけたくない。

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千夏は寮へ戻ることにした。




―山の下の病院―

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この日、ラリマーはナオキと共に、山の下の病院へ来ていた。

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「ママ・・・」

「・・・心配かけてごめんなさいね。」

「ううん!!それより、身体の方はどう?」

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「かなり体力が落ちてしまって。先生には、もう歩けないかもって言われちゃったわ。」

「そんな・・・」

「でも、前もほとんど車椅子にお世話になってたから、さほど変わらないのよ。」



リビアンは笑顔を作って見せた。

ラリマーを心配させないようにしているのだろう。


そんなの誰が見てもすぐにわかる。きっと、ラリマーもそう感じているはずだ。

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「手術費用の件、ディランから聞いたわ。ありがとう。」

「うん。緒方さんが提案してくれて、先生に頼んでくれたの。」

「そう。緒方さんが・・・。あのオッサン、意外にやるじゃない。」

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「けど、せっかく頑張って稼いだお金を私なんかの為に使わせることになるなんて。

 本当に申し訳ないことをしたわ。ラリマー・・・ごめんね。」

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「いいの!ママが助かるんだったら、私・・・」


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「・・・。」




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「ところで、あなた、岡崎くんと付き合ってるでしょ?」


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「えっ!?」

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「なっなぜそれを!?」


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「ふふふっ(笑)私はね、昔から勘だけは鋭いのよ。」

「えっと、その・・・」

恥ずかしそうにモジモジするラリマーに、

リビアンはずっと聞きたかった事を聞いた。

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「今・・・幸せ?」

「えっ?」

一瞬目を丸くして驚いたが、ラリマーはすぐにこう答えた。

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「うん。私すごく幸せだよ。」


その顔が見たかった。

頬を染め、恥ずかしがりながらもハッキリとそう言ったラリマーを見て、

リビアンは、これまで自分のしてきた事が少しだけ許されたような気がした。

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「嬉しいな。ママもすごく幸せよ。・・・ラリマーが幸せだから。」



ラリマーはリビアンの手を握るとこう言った。

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「ママ、私を産んでくれて、ありがとう。」



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幸せそうな我が子が愛おしくてたまらない。

この笑顔をずっと見ていたい。叶うなら、永遠に・・・。



「・・・どういたしまして。」

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リビアンはラリマーの手を握り返すと、弱々しくも笑顔を見せた。



―スタジオ―

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一条巧が会議に出席している間、猫里は外のソファで待機していた。

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「あらっ。猫里ちゃんじゃない?」

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エメラルド社長。」

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「お疲れ様です。」

「お疲れ様!あ〜〜イイのよ、座ってて。っていうかちょっと隣、いい?」

「はい。」


そう言い、エメラルドは猫里の隣に腰をおろした。




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エメラルド社長、この間はありがとうございました。」

「お礼を言うのはこっちよ。坂本千夏さんの件、電話してくれてありがとう。

 まずあの電話がなかったら、西崎のこと、確実にクビにしているところだった。」

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「全て社長の指示です。」

「また巧に救われたわね。ところで、猫里ちゃんがここにいるってことは、

 巧は今会議中かしら? ずっとここで待ってるの?」

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「はい。私は基本、会議には出席しませんから。今日はタレントの付き添いもないので、待っています。」

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「そう、あなたのような実直な部下が欲しいわ。」

「失礼ですが、西崎オオトモはそんなに頼りないですか?」

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「うん。」キッパリ

「・・・。」


「でもね、坂本さんの一件以来、えらく仕事に気合いが入ってる。」

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「そうですか。それは良いことですね。」

「でも頑張りすぎてヘマする場合もあるからね。逆に結構怖いわよ(笑)」

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「西崎オオトモは、私とは全然違うタイプの人間ですし、デリカシーもありませんが、

 私はあの人の言う言葉が少しだけ面白いと思います。」



「面白いって、猫里ちゃん、あいつに何か変な事でも言われた?」

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「一条社長の隣でロボットみたいにしているけど、疲れないのか?と、会って二度目で言われました。」

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「失礼なやつね!ロボットだなんて。」


「でも・・・、私も面白みのある人間になりたいと、彼の言葉で気付かされた面もあります。」

「どういうこと?」

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「私は、緒方さんやクリスタル、西崎オオトモとは違い、面白みのない人間ですから、

突拍子も無いことをやらかしてみても良いんじゃないかと、アドバイスされました。」


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「あぁ!それでこの前・・・」

「・・・え?」

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「いえっ!!!なんでもないわっ

(危ない危ない。巧に口止めされてたのに『社内ドッキリ大作戦』のこと思わず本人に喋りそうになったわ!!)」



「私は、猫里ちゃんのことロボットみたいだなんて思わないけどな〜。」

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「そうでしょうか・・・私はあまり表情もなく、自分でも事務的だな人間だと思います。」



「西崎は仕事ができないから、完璧に見える猫里ちゃんのことをそう言ったんだと思う。

 私からしたら、あいつはロボットどころかポンコツよ(笑)」

「ポンコツ・・・」

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「人はね、その人にしかわからない悩みもあれば、その人にしかない個性ってものがあるのよ。

誰かの個性を羨むのではなく、まずは自分らしさや個性に気付いて大切にすることね。」

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ポンコツでも、西崎には西崎の良い面だってあるし。良い面も悪い面も、上司としてちゃんと見ているものなのよ。」


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「それに巧だって、猫里ちゃんの人間性を信頼して、認めてるから傍に置いてるんでしょ?」

「もしそうなら、とても光栄なことです。」

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「ふふっ(笑)だから猫里ちゃんはそのままでいいのよ。それが、あなたらしいんだから。」


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「(私・・・らしい・・・)」

その言葉に猫里は少し救われた気がした。


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「そういえば昨日巧に会ったけど、なんだか元気無かったのよね。

古い友人として、心配になっちゃった。あの表情は見過ごせなかったわ。」


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「・・・。」

エメラルドが心配に思っている事の原因がなんなのか、猫里はわかっていた。



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坂本千夏が運び込まれた病院での光景が、脳裏に浮かび上がる。

そして病院からの帰り道、少しだけ巧がいつもと違い不安そうに見えたからだ。


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「いろいろ大変なことが重なったみたいだけど、どうか助けてあげてね。」

「・・・はい。」

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「猫里ちゃんが一番、巧の事見てると思うから。」

そう言って、エメラルドは軽くウインクをした。


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「えっ…」



「じゃあ、私は行くわ。またお話ししましょう。」

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「はい。」

驚く猫里をよそに、エメラルドはなんだか嬉しそうに去って行った。




―ロイヤルパレス―


リビアンの見舞いを済ませ、ナオキとラリマーが寮へ戻るともう夕方前だった。

話しがあるというナオキの要望で、彼の部屋で話す事にした。

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「ラリマー、よかったのか?しばらくあっちにいなくて。」

「うん。ママにはおじいちゃんもおばあちゃんも付いててくれるから。

 ・・・それに、仕事も授業もあるし。アカデミーにはちゃんと行っておきたいの。」

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「そっか。でも、また一緒にリビアンさんの見舞い、行こうぜ。」

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「うん、ありがとう。・・・ところでナオキくん、話って?」


「うん・・・。あのさ・・・」

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「この間は一条さんとちゃんと話せたのか?(とか言って、半分くらいは聞いてたけど・・・)」


「・・・うん。話せたよ。」

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「そ、そっか!」

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聞かなくても良いことを、わざわざ自分から聞いてしまった。

だが、頭の中に湧いてくるある思いが、ナオキを喋らせる。


「ちっちなみに・・・どんな話?」


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「えっと・・・巧さんに言われたの。また、一緒に仕事しないかって・・・。」

「へぇ〜・・・。」

「少し考えさせて欲しいって言ったんだけど、答えはまだ出てないんだ。」

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「そっか。ま、まぁあれじゃね?緒方のエロオヤジよりかは俺は安心だけどな!」

「えっ・・・!?」

「えっ・・・!?って、なんだよ?」

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「う、ううん。別に、なんでもない・・・」

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「アイツが、お前のことを好きだから・・・?」


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「私はナオキくんが好き!」

「・・・知ってる。でも、ごめん。俺、一条さんの気持ち知ってたのに、お前に何も言えなかった・・・。」

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百合子ちゃんに脅されてた事も、リビアンさんを見つけてくれてた事も知ってたんだ。」

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「・・・。」

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「クリスタルのギャラの事だって何も知らなかったのに酷い事言ったし。

 俺が、お前にあの人の本音を伝えられていたら・・・もしかしたらお前は、俺じゃなくて・・・」

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ラリマーは自分を選ばなかったかもしれない。



「・・・俺は、お前のことが好きだ。・・・もう絶対に離さない。」

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「離したくないんだよ・・・一生。」

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ラリマーを好きでいればいるほど、


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「私だってずっとナオキくんと一緒にいたいよ!

 本当は別れたくなんかなかったもん!!

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またラリマーが自分を好きだと言うほどに、

ナオキの心の中で一条巧の存在もまた大きくなっていた。




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「クリスタルを・・・いや、倉田ラリマーを守る為に、彼女から身を引いた。」


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「俺は、ただ彼女を守りたかっただけだ。俺だって・・・彼女を・・・。」



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好きなのに・・・。きっとものすごく好きだったんだと思う!!



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「一条グループには・・・いや、僕にはどうも君が必要みたいだ。」

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「・・・。」


彼の気持ちが痛いほどにわかる。だから・・・



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卑怯だったと、ナオキは自分を責めていた。


「信じてないわけじゃないんだ。いい加減、ラリマーの気持ちは信じてるよ。

 前から言ってる言葉だって本当だ。す、好きだし!!絶対離れたくないし!!

 ・・・だけど、こんなに弱くて何も出来ない自分で本当にいいのか・・・って。ずっと・・・」



ずっと、不安だった。






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「ナオキくん。」ビシッ

「はい。」


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「私は巧さんの事、好きだよ。」

ガーーーーン

「や・・・やっぱり・・・」


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「けど、それは恋とはちょっと違う。ナオキくんに対して想う気持ちは、

 他の誰かを想う気持ちと全然違うの。ものすご〜く特別なんだよ。」

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「何度でも言ってあげる!私はナオキくんのことが世界で一番、大好き。



「ラリマー・・・」

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「ごめんな、変な事言って。俺、劣等感丸出しで・・・情けねぇよな。」

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百合子ちゃんの悪事を暴くのだって、一条さんはやっぱすごいなって思うことだらけでさ。

 俺なんか、足元にも及ばないって改めて思い知らされた。それで、実はスゲー卑屈になってた・・・。」



「ナオキくんは、そのままでいいんだよ。」

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「えっ」


「私もナオキくんも、これからいろんな経験をして大人になっていくんだから。」

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「巧さんだってきっと、私たちみたいにできない事だらけだった時期もあったと思う!」


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「だからナオキくん、今の自分を好きになってあげて!」

「今の俺を・・・好きに・・・?」

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「うん。クリスタルもラリマーも、どっちの私も好きって言ってくれたように、

 私も今のナオキくんが大好きでたまらないの。」


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「それなのに・・・私の大好きなナオキくんを、ナオキくん自身が嫌ってちゃ、悲しいよ。」


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目の前には愛するラリマーがいる。

大切な人に必要とされることが、こんなにも幸せなことなのか。


どんなに卑屈になっても、こんな自分を受け入れてくれた彼女を…

この手を、二度と離してはいけない。

どんな事があっても守ると決めたのだ。

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「ラリマー・・・」

ナオキはラリマーの手を握ると、自分の方へ引き寄せた。



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「ナオキくん・・・大好きだよ。」

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「ありがとう。俺も、お前が大好きだ。」

ナオキはラリマーをギュッと抱きしめ、優しくキスをした。

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大切な人の体温を感じる。すごく安心する。

嫉妬や劣等感で強張っていた心がどんどん解れてく・・・


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同じ時間、同じ空間、同じ気持ち。

できればずっとこのままでいたいと、そう思っていた。




―その日の夕方―

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ピンポーン

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「どちら様ですか?」

「え〜っと・・・千夏、います?坂本千夏っていう美人なんですけど。」

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「失礼ですが、あなたは?」




「篠原です。」



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「千夏の、元彼氏の。」  


その青年はニッコリとビリーに笑いかけた。