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☆ネコのシムズ3日記☆

2016-01-17

第53話 暗闇の中に光る星

その日の朝。

ナオキは昨夜電話をかけた相手に会いに来ていた。

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とてつもなく悪い状況をどうにかしたいという気持ちが焦り、約束の時間よりも早く来てしまった。

だがその約束の時間はすでに30分以上も過ぎようとしている。

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忙しい中時間を作ってもらったものの、彼を待っている時間がとてつもなく長く感じる。

昨夜一睡もできなかった為に今頃になって睡魔が襲ってくる。

待っている間にでも少し居眠っていようか・・・

そんなことを思い目を閉じようとした瞬間、ようやく扉が開く音がした。


ガチャ

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「あ・・・」



「待たせてすまなかったな。」

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昨夜、百合子との電話の後、ナオキは一条巧に電話を掛けていた。

もう巧以外に相談できる相手がいなかったのだ。

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「まさか君から連絡がくるなんて思ってなかったよ。」



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「急に時間作ってもらって、すみません。」

いつもなら生意気な仔犬のようなナオキがえらく真剣だ。

ただごとではないと言った表情に、巧も身をかたくした。

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「もしかして、ラリマーのことか?」


ナオキは今にも泣き出してしまいたかった。

自分の行動で一番大切な人を裏切り、傷つけ、

本当は頼りたくない相手に頼らざるを得ない状況になった事に。

「はい・・・。頼みたい事があって。」

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だが、目の前にいる一条巧にどうしても確認しなくてはならない。

確認して、そして託さなければならない。

…ラリマーを。

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「話の前に、一つ聞きたい事があるんだ。」


「聞きたい事?」


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「クリスタルの契約を切ったこと、南城百合子が関係してるんだろ?」



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「…誰から聞いた?」

「南城百合子、本人から聞きました…」

「そうか…」

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「強請られたんじゃないですか?ラリマーを傷つけられたくなかったら

 クリスタルのプロデュースからすぐに手を引けって…」

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ナオキから発せられる言葉は、もはや憶測ではなく全て事実だった。


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「ラリマーを守る為だって言ったのって、あの子に脅されたからなんだよな?」


巧が一人で抱えてきた秘密を、百合子自身がナオキにバラしていたと言うのだからさらに驚きだ。

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「その通りだよ。その結果、彼女を酷く傷つけてしまったがな・・・。」

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「でもそれで南城百合子が納得し、クリスタルの人生の邪魔をしないのなら、俺はそれでもいいと思ったんだ。」

「…。」

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巧の気持ちを聞くとナオキは居た堪れなくなった。

「俺…何も知らないクセにあんたの事を卑怯な奴だとか言ってしまって…すみませんでした。」


フッ 笑

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「君が謝るなんて、今日はやけにしおらしいな。大雨でも降らなきゃいいが・・・」

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「あのなー、俺だって本当に悪いと思ってんだよ。せっかくひとが素直に・・・!!」

「わかってるさ。それに、そう思われても仕方ない。当時はネット上でも様々なことを言われたよ。」

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茶化したような口を利いてはみたが、巧はナオキが素直に謝ってくれた事が少し嬉しかった。

「君が謝る必要なんかないさ。謝らなきゃいけないのは俺の方だ…。」

「は?どういう意味だよ。」

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巧はあの夜ラリマーにキスをした事を思い出すと、

何事もなかったかのようにさっきの言葉を打ち消した。

「いや、なんでもない。」

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「はぁ?なんだよそれ。」

「それはそうと、本題に入ろうじゃないか。俺に頼みたいことがあるんだろ?」

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「あ、あぁ。そうだった。」


ナオキはこれまでの経緯を事細かく巧に話した。

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百合子から南城清太郎の研究所へ誘われ、興味を示してしまった事、

その為には百合子と交際しなければならなくなった事。

断れば一生宇宙開発の夢を叶える事はできないだろうという事…。

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それと、ラリマーから別れを切り出された事も…。


「…そうか。」

黙って話を聞いていた巧が口を開く。

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「バカだな、君は。」

言うな!だからあんたにこうやって直々にお願いに来たんだよ。」



「バカだが、君は真っ直ぐだ。俺は嫌いじゃない。」

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「・・・誉められてんのケナされてんのかわかんねぇ。」

「それにしても、他人の人生や夢を利用して弄ぶような人間は許せないな。」



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「あぁ。ほんとだよ・・・」

ナオキは思い詰めたように眉間にシワを寄せる。

巧はそんなナオキに同情した。

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大切な人をそばで守る事の出来ない辛さは痛いくらいにわかる。

かつての自分と同じだ。


ガタッ

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頼む!ラリマーの事、守ってやってくれないかな。

あいつはあんたが南城百合子に脅されたこと、なんにも知らないんだ。」

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「・・・。」

「…俺はあんたに嫉妬してたから、どうしても言えなかった。

もし言えば、ラリマーがあんたの所へ行っちまいそうで。…怖かった。」

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「・・・情けねぇよ。自分がこんな弱い人間だったなんて・・・」

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「あいつに出会うまで気付かなかった。」


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「大切な人がいる奴は皆そうさ。だけど、ラリマーの心はどうだ?

君のことが好きなんじゃないのか?…俺ではなく、君のことを愛しているんだろ?」

「それは・・・そうだけど・・・」

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「情けないのは俺も同じさ。彼女に、ずっと一緒にいて欲しいとプロポーズしたんだが、見事にフラれてしまったよ。」


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「ぷっ、プロポーズ?!

ラリマーは一言だってそんなことを言わなかった。聞いてない!!!


ポッカリと開いた口が塞がらなかった。

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「クリスタルと倉田ラリマー、二人の自分の狭間で苦しんでいた時期だったから、

それならいっそ、クリスタルとして僕と生きていかないか?って彼女に言ったんだ。」

(マジかコイツ!いつの間に!!!)

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「だが彼女はクリスタルとラリマーの二人を演じ続けることを選んだ。君の事が好きだから、だと。」

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「えっ・・・(ラリマー・・・)」

少しからかうだけでテンションが上がったり下がったりするナオキが、巧は愉快に感じていた。

そしてそんな彼に協力したいとも思った。

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岡崎くん。」

「はい。」

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「南城家へはいつ行かなきゃならないんだ?」

「明日だけど・・・」

「そうか。ん〜〜、少しばかり時間が足りないな。」

そう言うと巧はわずかに笑ったように見えた。

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「今度、うちの敏腕マネージャーを紹介してやる。」

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「はい?」




― 同日の朝 ―

「エレナさーーん!」

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「おはよう。」

「おはようございます、エレナさん」

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「今日は突然お誘いしてしまってすみませんでした。」

「いいのよ。ちょうど今日は受け持つ講義が休講になって時間が空いたの。」

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今日二人はリビアンの見舞いに行く事になった。

ラリマーからエレナのもとに、電話で誘いがあったのだ。

「まさかあなたと二人でここへ来る事になるなんてね。・・・本当に大丈夫なの?」

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「ふふっ(笑)勿論大丈夫です。私、楽しみにしてきたんですよ。」

「それならいいけど。じゃぁ行きましょうか。」

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そうは言ったものの、エレナの言うとおり、娘として母に会うのは今日が初めてだ。

クリスタルとしてではない。ラリマーとして母に会う。

大丈夫なのかは正直わからなかった。



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「リビアン、元気そうね。」

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「エレナ!いらっしゃい。」

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「今日は私一人じゃなくってよ。」

「え?」

「驚かせてしまうかも。」


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「・・・。」

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ハッ

「よく来てくれたわね、ラリマー。」

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「こ、こんにちは・・・ママ。」




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「ごめんなさいね。私は弱い人間だから・・・あなたの事をエレナやおばあちゃんたちに委ねてしまった。」

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「今更言い訳でしかないけれど、あなたに辛い思いをさせたこと・・・本当に申し訳なく思ってる。」

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エレナから聞いた母の話を思い返すと、どうしても責めることはできなかった。

普通だったら、もっと憎んだり怒ったりするはずなのだろう。

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悲しくて、寂しくてたまらなかったはずだったのに・・・

だが今のラリマーには母を責める事も、怒りの感情をぶつけたいとも思えなかった。

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なぜだかわかる。

一人ぼっちだと思い込んでいた自分に、一人じゃないことを教えてくれた人がいたから・・・。

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「まさかあなたが私に会う為にここを訪ねてくるなんて。会うのが怖かったけど・・・すごく嬉しかったわ。」

母もまた自分と同じなんだと思った。

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「ママは・・・私がクリスタルだってこと、気が付いていたんだね。」

「そりゃぁわかるわよ。クリスタルちゃんを初めて雑誌で見た時からピーンときてたわよ。」

「どうしてわかったの?寮の皆はわからなかったのに。」

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「やーね。 そんなの当たり前でしょう。」

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「え?」


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「私の、娘だもの。」

「・・・ママ」

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「ねぇラリマー、あなたがこうして私の手を握ってくれた事、本当に本当に嬉しかったのよ。」

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「ここへ来るまで、きっとすごく勇気がいったと思う。・・・ありがとう。」

「ねぇママ」

「ん?」

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「ママはあの時私に、『あなたはたくさんの人に愛されてる』って言ってくれたけど、もう一度聞いてもいい?

 クリスタルじゃなく、本当の私。ママの娘、ラリマーとして。ずっとずっと、聞きたかったことなの。」

かすかに震えるラリマーの声。

リビアンはあたたかく包み込むように微笑み頷いた。

「えぇ。」


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「ママは私のこと、愛してた?」


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「ラリマー・・・」

リビアンはゆっくりとラリマーの手を引き、両手で彼女の頬を包むと静かにこう言った。




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「バカね。愛してるに決まってるじゃない。」


何年も何年も、大事な娘にこんな思いをさせてきたのか。

リビアンは過去の自分を呪った。

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エレナから話に聞いていたラリマーは、内気で消極的な子供だった。

学校で仲間はずれにされても誰にも相談もできなかったのかもしれない。

心の底から笑った事はあるのだろうか?

優しい娘は、自分の胸の内を決して明かさず、何事にもぐっと我慢ばかりしてきたのだろう。

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・・・きっと私を心底憎んだであろう。

自分は愛されずに捨てられたんじゃないか・・・そう思って生きてきたに違いない。

それでも、こんな母親に、自分が愛されていたのかどうか知りたいと言う。

リビアンの目から次々に大粒の涙がこぼれ落ちる。

「ラリマー、ごめんね・・・寂しい思いさせてほんとにごめんね・・・」

「ママ・・・」

「ラリマー。」

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生まれてきてくれて、ありがとう。

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リビアンの言葉に、今度はラリマーが泣いた。

「っく・・・ぐすっ・・・」

涙と一緒に、心の奥底にずっとしまい込んでいた感情が浄化されてゆくようだ。

「ラリマーったら、大きな子供ね。」

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「うぅっ・・・だって・・・っく・・・私ッ・・・」

「よしよし。今までよく我慢してきたね。辛かったね・・・寂しかったよね・・・」

「うぅっ・・・うん・・ッ・・」

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・・・おじいちゃん、おばあちゃん、ナオキくん、巧さん、パパ、エレナさん・・・

千夏さん、ビリーさん、桃花ちゃん・・・

私を守ってくれた皆のその誰よりも、母からの言葉は大きく温かかった。

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あぁ。私は生まれてきて良かったんだ。

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「うわぁぁん・・・ぐすっ・・・うぅ・・・」

しばらくの時間、ラリマーは母の胸の中で、まるで子供のように泣いた。



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「・・・良かったわね。リビアン。」くすっ

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コツコツコツッ



―次の日の夜―

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ナオキは南城百合子の家へと招かれていた。

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「逃げ出さずに、ちゃんと来たのね。」

「当たり前だろ?」

「あら、嬉しい。」

「別に百合子ちゃんの為じゃないよ。自分自身の為に来たんだし・・・」

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「あっそ・・・それで?何か私に報告することないの?」

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「・・・ラリマーとは、別れたよ。これで満足した?」

「えっ!それ本当なの?」

「あぁ。」

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ニヤ〜ッ

「そ〜う、偉い偉い。いい子ね、ナオキくん。どうやってフッたの?あの子泣いてた?・・・あ、それともフラれちゃった?」

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「・・・どっちでもいいだろ、そんなこと。」

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「・・・。」

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「いやぁ〜良い返事が聞けて嬉しいなぁ〜ッハハハ!!」

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「パパったらご機嫌ね!」

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百合子がこんなに頼もしい青年と付き合ってるんだ。パパは安心したぞ?」

「ウフフ(笑)」

岡崎君!娘を宜しくたの・・・」

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「す、すみません、あの!!・・・ちょっとお手洗いに・・・」

「ん?あぁ。行ってきなさい。ハハハ」



バシャバシャ・・・

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「フゥ〜・・・ったく、生きた心地がしねぇー。」

これから一生こんなことが続くとは考えたくない。絶対に嫌だ。

とは言うもの、南城清太郎はいたくナオキを気に入ってしまったのだから厄介だ。

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「それにしても、ほんっと広い家だな。」

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「・・・。」




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「どうかされましたか?岡崎様。」

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ビクッ

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「(なんだ。お手伝いさんか。)い、いや。えーっと応接室はどこだったっけな?と・・・」

「応接室?それなら岡崎様が先程いらっしゃったお部屋ですが?」

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「そう、そこです!便所借りたんですけど、広すぎて帰り道わかんなくなっちゃって(笑)」

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「(下品な方・・・) こちらです。」





「ずいぶんと遅かったじゃない。」

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「あー、えーっとその、迷っちゃってさ。お手伝いさんに案内してもらったんだ。」

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「ハハハッ。うちは広いからなぁ。今度もまた、総理大臣大統領を招いてパーティーをするんだよ。」

「へぇ!すごいですね!」

「君もいつかこうなれる。ワタシの元で頑張りなさい。」

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「はい。頑張ります!」




「ふぅーーーー・・・・」

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パタン

南城清太郎と豪華な夕食を終え、ナオキは百合子の部屋へと通された。

「父との食事、緊張したんじゃない?」

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「あぁ、まぁ・・・」

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「(なんか・・・)」

百合子の部屋は広いわりには家具も少なく、なんだか閑散として寂しいように感じた。

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「何?いやらしいわね。女の子の部屋をジロジロ見るなんて。」


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「そっそんな、ジロジロなんて見てねーし。」

「見てるじゃない。」

そう言って百合子が急に近付いて来た。


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「えっ」ヨロッ

驚いたナオキは、少し後ずさりしようとしてよろめいた。

ガバッ

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「ゆ・・・百合子ちゃん・・・!?何して・・・」

「よろめいちゃって。ナオキったら少し飲みすぎた?」

「何バカなこと言ってるんだよ。百合子ちゃんこそ・・・酔いすぎじゃね?」


百合子でいい。ずっとそう呼んで欲しかったの。私たち恋人同士なんだし。」

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「・・・。」

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「ねぇナオキ。私、あなたのこと気に入っちゃった。あの子じゃなく、私のものになって。」

「は・・・え?」

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「キスして。あの子にしてたみたいに。」

「ちょ・・・ゆり・・・」

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自分と百合子の距離が0に近くなる。

その時、どこからか電話の音が鳴り響いた。

プルルルルッ プルルルルッ プルルルルッ

「ゆりこちゃ・・・じゃなくって、百合子、電話!!電話出たら?」

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「・・・。」


残念そうに携帯電話を取り出すと、百合子はナオキから離れた。

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「はい、もしもし。」

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「(ヤベーーーーーッ!!マジ焦ったーーーーッ!!!何やってんだ、俺!!!)」


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チラッ

「えぇ。えぇ・・・ちょっと待ってちょうだい。そのことなら・・・」


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「えぇ・・・。そうよ!前にも説明したはずでしょ!」


電話をしている百合子をよそに、ナオキはしばし放心状態となっていた。

まさか、自分を利用しようとしている百合子があんなことをするなんて・・・

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「・・・。」




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プッ

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「ごめんなさいね。」

「・・・いや。あの、さっきの・・・」

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「下まで送るわ。」

「え。」

「私たち恋人同士なんだし、いろいろと将来が楽しみね。」

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「続きはまた今度。」

そう言うと百合子は部屋を出、ナオキも後を追った。

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家路につきながら、ナオキは空を眺めていた。

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夜空には美しい星が無数に輝いている。

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百合子の言動には矛盾点がある。

だがそれは、彼女の中の闇の部分にも、もしかすると光輝く星が存在するからなのではないだろうか。

戸惑いながらもナオキはふとそう感じていた。

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もしも輝く星が一つでも百合子の中にあるのなら、まだ救い出せるのではないか・・・

もしも輝く星が一つでも百合子の中にあるのなら・・・


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「俺の事、酷い奴だと思うだろうか。」




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「あっ、流れ星・・・」

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「バカみたい・・・何やってるの。私。」


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くるくると規則的に灯台の光は回る。

私の光はいつから不規則になったのだろう。

・・・運命の歯車はいつだって噛み合うことなく壊れ、やがて全てが機能しなくなった。






明けましておめでとうございます。

2016年ですね!!

私事ではありますが、昨年の夏に引越しをしました。

その後、疲れからなのか体調を崩したりが長引き、なんだかスッキリとしない

不安定な暮らしをしていました。今はなんとか落ち着き、こうしてブログもやっと更新できました。

もうかれこれ4年近くこのお話を書いているのにまだ終わりそうにありません。

4年前ってまだ結婚もしていなかったし、実家のリビングでお話を書いていた時代。

う〜ん、本当に懐かしいです・・・(一人でしんみりする この懐かしさ)

少しずつにはなりますが、またこれからもお話を続けていけたらと思っています。

こんな私ですが、今年もどうぞ宜しくお願いいたします。


                     ネコ