血清クレアチニン濃度

血清クレアチニン濃度は、腎臓における尿の濾過機能低下に応じて上昇します。そのため、腎機能低下状況の確認や腎障害、尿路閉塞性疾患などの経過観察、治療効果の確認に活用されます。また、血液の人工透析が必要な場合の透析の導入時期決定などにも重要な判断因子となります。

ところで、腎糸球体の濾過機能(GFR)の代謝能はとても大きくて、その能力が正常時の半分以下にまで低下しないと、血清中のクレアチニン濃度の上昇は認められません。逆にいえば、血中クレアチニン濃度が上昇しはじめたときには、腎臓疾患はかなり進行しているということになります。

一般的に、腎機能の50%以上が失われた慢性腎不全状態では、血清クレアチニン濃度が2[mg/dL]以上になります。

血中クレアチニン濃度がわずかに増加していると認められる段階でも、腎糸球体の濾過機能(GFR)は、正常時の30〜40%程度にまで低下しています。

尿蛋白が持続的に陽性となり、腎機能が正常の20%〜30%以下になってしまうと、もはや完全な「腎不全」の病態となり、食事制限などを行っても、血清クレアチニン濃度が正常化することはなく、常に軽度上昇状態が続きます。

また、腎機能が正常の5〜10%以下まで低下すると、末期腎不全の状態と考えられ、血清クレアチニン濃度は非常な高値を示し「尿毒症」の症状を呈するようになります。血中クレアチニン濃度の正常値は概ね 1.0[mg/dL]以下ですが、この値が5.0[mg/dL]超となるようなら、腎透析(人工透析)が不可欠となります。

☆腎機能を調べる各種血液検査の正常値(基準値)について

なお、正常値(基準値)は診断の目安となるもので、医療施設によっても異なる。
また、血液検査の検査値は年齢・運動・食事などの条件によっても変動するので、絶対的なものではないようだ。

尿素窒素(BUN)   9-21 mg/dL

クレアチニン(CRE) 男 0.60-1.20 女 0.40-0.90 mg/dL

・尿酸(UA)       男  3.0-7.2  女  2.1-6.0  mg/dL