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2006-12-05

kanonの音響について

京都アニメーションのキーワードエントリで見つけたのですが。

京都アニメーション「Kanon」のサウンドやSE面についてというエントリで主にkanonの音響についてすばらしい考察を拝見しました。

音関連のボキャブラリの少ない私にはこんなにうまく説明できません。

とても参考になりました。


ただ、私が思うにkanonの音響については京アニだから特別と言うわけではなく録音エンジニアである名倉靖さんの仕事なのかなと思う次第。

このへんにスポットがあたることなんて滅多にないだろうから、今回は張りきって書いてみました。

名倉さんはR.O.Dかみちゅ!の録音エンジニアとしてご存知の方もいらっしゃると思います。

R.O.DのDVD2巻とかみちゅ!のDVD8巻にオーディオコメンタリで登場されています。

コメンタリの名倉さんは気取った感じがなく、とてもわかりやすい言葉でアニメの音響について説明されています。

今回のkanonにも通じる物があるので、興味をもたれた方は是非聞いてみてはいかがでしょうか。

R.O.D -THE TV- vol.2 [DVD]

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かみちゅ! 8 [DVD]

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コメンタリでお話されていたいくつかのエピソードを抜粋してみます。

ボキャブラリに自信がないのでうまく説明できているか自信がないけど。


R.O.Dのコメンタリによると名倉さんの仕事は、アニメの音素材をひとつにする作業だそうです。

主に声優さんのセリフ、効果音、劇中音楽の3つで、R.O.Dの時はそれぞれの素材が自己主張しててバランスとるのがたいへんだったようです。

声優さんのセリフに空間処理(アンビエンスとかリバーブ)したりするのも名倉さん。

上記サイトで指摘されていた空間音についても、効果音に名倉さんが空間処理を施したものと考えるのが自然だと思います。

効果音を用意したのは「音響効果」さんだと思いますが。


かみちゅ!のコメンタリでは。

4話の火星人ちゃんのエピソードでは「牛歩戦術」がキーワードのひとつになっていました。

冒頭で一橋家の朝の食卓の裏でテレビのニュースが流れているのですが、ニュースのなかに「牛歩戦術」というキーワードが出てきます。

このキーワードを強調させるために、ゆりえたちのセリフにかぶらないようにタイミングをずらして編集したそうです。

これは特に監督から指示があったわけではなく、名倉さんの判断だったみたいです。


また、劇中音楽については、かみちゅ!は楽器のパートごとに素材をもらっていたので、シーンにあわせて、たとえばパーカッションを弱めにしたりという調整をしていたようです。


以上、コメンタリについて。

名倉さんのプロフィールについてもう少しご紹介。

かみちゅ!の7巻に名倉さんのメッセージが付いているのですが、それによると大林宣彦監督の「ふたり」の録音助手をやったのはこの名倉靖さんで間違いないようです。

それ以降の作品でも「整音」で参加してます。


名倉さんは京アニ作品ではAIRとMUNTOで録音エンジニアで参加されています。

京アニがちょっとだけかかわった作品では犬夜叉もそうです。

現在放送中のアニメでは、kanonの他に「おとぎ銃士赤ずきん」も名倉さんが捌いてます。


最後にkanonの音響関連スタッフさんについて。

音響監督 : 鶴岡陽太

音楽:折戸伸治麻枝准OdiakeS

音響効果 : 森川永子

録音 : 名倉靖

録音助手 : 亀本美佳

音響製作担当 : 杉山好美

録音スタジオ : スタジオごんぐ

音響制作 : 楽音舎

音響監督は声優さんの演技指導とか。

音楽は劇中のBGMの担当。

音響効果は効果音を準備する人。

名倉さんは前述のとおり、上記の3つの音素材をバランスよく配置する人。

録音助手は名倉さんの助手で、タイミング調整とか人手が必要な作業を分担。

亀本さんは大林監督作品の「整音」をやっていた頃から一緒にやっているみたいです。

音響製作担当の杉山好美さんは楽音舎の人です。鶴岡さんとか菊田浩巳さんの音響監督作品ではほぼ参加されているようです。

ちなみに楽音舎鶴岡陽太さんの事務所で、スタジオごんぐは楽音舎の関連施設です。


録音エンジニアはエンディングにクレジットされることが多いけど、作品にかかわる重要性からしても、オープニングクレジットでもいいような気がします。

メニエルメニエル 2006/12/12 05:08 「音響」は、アニメ作品に対するプロダクションの製作姿勢がもっともよく表れるところです。お金をかけるんなら、SE以外ってのが業界の常識ですよ。予算的なパフォーマンスの悪さが一番悪いところですからね。どう頑張っても自然音にかなうわけないんですから。いくら良い仕事しても評価に結びつきません。富野監督がLD化にあたって「ガンダム」のSEをリニューアルしたときのインタビューにもありますが、「アニメは音だ!」と言い切れるくらい、本当は重要なファクターなんですけどね。

なので、録音担当がレベルの高い仕事が出来るかどうかは、監督のバランス感覚にかかってきます。クオリティの高い音響を求める監督はなかなかいませんし、求めようと思っても実情が許さない場合も少なくないはずです。エントリ先のものづくり検定32級人さんが言いたかったのも、そういうことじゃないですかね。音響系は、録音担当の独断でどうにかなる世界じゃありませんから。もちろん、その監督の高い要求に見事に応えている名倉さんもすばらしいとは思いますけど。あ、それからリミックス作業(音と映像の合成)は、監督の要求のもと、音響監督の指示ので行われます。実際にコンソールを動かすのは別の人(上記の記事では名倉氏)ですが、それにゴーサインを出すのは音響の責任者はあくまでも音響監督です(手抜きして全部助手にまかせる人もいますけどね)。

以上はあくまでも原則論です。京アニの場合、名倉氏の場合、楽音舎の場合等々、アニメに限らず映像関係の仕事はケース・バイ・ケースなんで、具体論は他にあるかもしれませんけれども、誤解を防ぐためにも、原則論は一応踏まえておいた方がいいかと。