空に風、地に水鏡
さつきが相変わらず美しい。我が家には余り無いが、
長く咲く花は、それなりに経済効果大。(長持ちは大事)
うちは、赤とピンクのゼラニウムがこの時期の定番。
薔薇はそろそろ終わりかけ。梅の実はかなり膨らんだ。
といっても、年々収穫量が減っている。
筍ももう終わり、篠竹がもう少し食べられそうかな。
小さな庭に、これでもかこれでもかと植えたがる母。
土の上には野菜たち、吊り下げた鉢は歩く人を楽しませ、
直置きの大振りの鉢の蘭やアマリリス。
にょきにょき伸びてきたカンナ、毎度ちぎられるパセリ。
伸び放題になってきたレモンバームとミント。
丹精を込めた母の庭を見るたび、小さな箱庭、島宇宙、
お気に入り、目に見える喜びに胸が痛くなる。
私は、この技を受け継ぐことはできないだろう。
耕し、目を掛け、芽を摘み、選び、育て、水を撒き、
愛で、花柄を摘み、雑草を抜き、収穫。
常に季節を先取りした時空間・立体構造のお手入れなど、
到底私にはできそうに無い。
それに、この時期私の心を奪う景色は田んぼ。
水を入れられた田んぼ。水を引かれたばかりの田んぼ。
田植え直前の水鏡のような田んぼ、田植え直後の田んぼ、
空を映し、水紋を微かに振るわせながら渡る風の宿る田んぼ。
どこまでも、心を移す真四角の、あるいは多角形の、
或いは丸みを帯びた様々な形の田んぼ、
水に守られた田んぼ、水を満々と湛えた田んぼなのだ。