単彩画- ひとつの色の多彩な世界
11月16日の土曜日、関西文化の日なので博物館や美術館は無料開放が原則。
ドライブというほど遠出しなくても、静かで落ち着いた時間が過ごせる
お気に入りの場所、久保惣美術館へ出向く。
楽しみにしていた「単彩画- ひとつの色の多彩な世界」を見るために。
午後から用事があるのでそれほどゆっくり出来ないが、
娘と二人でこの地域にはまだ少し早い紅葉を愛でながら、
庭を眺めつつ展示場所に向かう。
常設展示の新館と企画特別展の本館の間には、音楽ホールもある。
ゆっくり午後もここで過ごすこと出来るなら・・・。
浮き世の義理の付き合いが午後から詰まっていて、
その憂さ払いも兼ねて、楽しみにしていたこの展覧会へ。
日本の近世絵画を中心にして、黒、白、金、銀、赤、青などの
一色で描かれた作品約100点。点数は少ないように見えるが、
見応えのある展示ばかりだ。
極彩色でなくても心の目で見る世界は色彩に溢れている。
一見地味に見える白黒写真が美しい思い出に彩られて、
何盛りも光り輝く一枚であるように、淡彩画の世界も豊かで奥行きがある。
人に気取られぬように秘めた思い、ささやかに見えて深い思いやり、
言葉には出せぬほどの饒舌さ、見るものの想像力を掻き立てる淡さ、濃淡、
墨痕、陰影、そんな世界の広がりを求めて作品に見入る。
侘び寂びと形容されるもの、人の心を優しく推し量るような色彩。
僅かな時間ではあるが堪能した後、公開されている茶室へ。
日差しが明るく眩しい。
穏やかかな秋の空に吸い込まれそうになる。
中学生以上しか見学が許されない茶室なので、娘にとっては敷居の高い場所。
私達にとっても久しぶりだ。茶室に限らず、畳ばかりの和室の部屋、
その畳の上に揺れる木漏れ日、そういう景色が当たり前の時代から、
何と遠くに来てしまったのだろう、私達。
天気が良いだけに、部屋の外と中の対比が際立つ。
娘が初めてこの美術館に来た時は、保育園児。
ピンクのカーディガンが似合う幼児だったのに。
今やほぼ肩を並べて自分なりの蘊蓄を垂れて講釈する、
こまっしゃくれた思春期の娘になった。
そういえば、紅葉の綺麗なこの時期にいつも来ていたような気がする。
けれども、娘の幼い頃の思い出はいつもいつも思い出されるのに、
長じるに従って思い出がぼやけて輪郭が定かでない。
成長してしまった娘には申し訳ないのだが。
そんな私達の写真を単彩画のように収めてみる。
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