Festina Lente2

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RPG奥の細道

この所少しずつ読んでいる本。題名が変わっていたので。
週末には関東入りする予定もあるので、ちょっとだけ心の中が
北に向かっているせいか、『奥の細道』なんぞを手にとって。
ロールプレイイングゲーム(RPG)に見立てて、解説した本。
一体どんな『奥の細道』なのか。


学校の教科書で勉強する定番、漂白の思いを述べた冒頭部分、
旅立ちの草加、クライマックスの「夏草や兵どもが夢のあと」を過ぎて、
世界遺産の平泉を勉強するのがコンパクトコース。
せいぜい、象潟の辺りぐらいしか読まないんじゃないかな。


俳句を学ぶ人が俳文を読み込むとは限らないし、
文学史の中の世界をじっくり味わう若者も少ない。
子供の頃読んだ少年誌(マガジンだったかなあ?)には、
実は松尾芭蕉伊賀忍者だった、みたいなことを読んだ記憶が。
それよりも大学で、ペンネームにまつわる俳句の世界、
俳人のお付き合いのBL系の話題にはうんざりした思い出が。


なので、最近の若い人が「旅」を背景にスキルアップする、
そういう成長型主人公のRPGとして解説している、
新手の古典絡みゲーム本なのかなと興味を持った一冊。
(ちなみに私はゲームは殆どしない、興味なし。目が疲れるから)
買ってから気が付いたけれど、何と内田樹の推薦が付いていた。
ますます、どんな世界だと興味を引かれる。



ゲーム好きの若い人が書いた本の割には、
感覚的に昔の人(結構常識人?)の解説だなと思っていたら、
私とそれほど年の違わない、それも能楽師の書いた本だったとは! 


ゲームの世界を解説するように分かり易く、
けれども押さえるべき古典の蘊蓄は押さえて
(この人の場合はホームグラウンドの能が基本)奥の細道の旅路、
松尾芭蕉の在り方を解説する体裁。


切り口、帯の宣伝が効いている。思わず手に取っちゃったよ。
癖もあるし、はったりもあるし、読ませよう精神が強すぎるけれど、
色んな古典を解説しているので、他の著作の中味も気になる。
筆者はそれなりにタフで、精力的活動をしているなあ。
一芸に秀で古典の世界に通じる人は、話のネタが多く、
懐が深いのかしらん・・・。


時間があればほかの著作、本当に読んでみたい。
でも、しっとりとした情緒の世界とは、読み方が異なるので、
それはそれ、ではあるなあ。


身体感覚で「芭蕉」を読みなおす。―『おくのほそ道』謎解きの旅

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異界を旅する能 ワキという存在 (ちくま文庫)

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