いろいろと貰って来たよ

名古屋に出陣。「あいちトリエンナーレ」を堪能した。一日に見て良いアートの上限を越えるくらいにたくさんのアートと出会い、足は完璧に棒になったけれど、心は晴れやかで、アートなんてさ、と捻くれそうになっていた心が、いつの間にかアートに魅せられていた。

アートって、何かやっぱり、面白くて、すごいものだよ。ががんとエネルギーをもらったもの。

若いカップルや、子供、年輩の二人連れなどの、現代アートの先端に触れてのコメントを盗み聞くのも楽しかった。作品の意味が分かるとか、理解するとか、そういうのはたぶんどうでもよくて、こんなのアリなのか、へえ、面白い、びっくりした、驚いた、たまげた、何だコレ、ウーム、いいねえ、ほおー、ハハハ、るんるん、えっ? わからん、これ好き、楽しい、などなどといった心、情動、身体、知覚、頭脳の動き働きがそこで起こっていればそれでよくて、そんなに気軽でありながら、街中でアートと遊んで帰った人は、何かちょっと変わったに違いないのだ。略奪されるのではなく(世の中のたくさんのものがそうであるように)、宿題とか、クイズとか、楽しい福引き券とか、お楽しみ袋とか、おまけとか、覗き眼鏡とかそんなのをいろいろ貰って帰ったに違いない。

ヤン・フードンの9面スクリーン映写インスタレーションを呆然と眺めていた暗闇の中で、フと私の前に表れた仲良く手をつないでいた年輩のご夫婦のシルエットが、ほかほかと楽しい宵だった。

☆ 長月や映画でそっとつないだ手