短評:カーデュラ探偵社

カーデュラ探偵社 (河出文庫)カーデュラ探偵社 (河出文庫)
ジャック・リッチー 駒月 雅子

河出書房新社  2010-09-03
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内容紹介/Amazonより
超人的な力と鋭い頭脳で難事件を解決する黒服の私立探偵。ただし営業時間は夜間のみ。その正体は―短篇の名手リッチーが生んだユニークな名探偵カーデュラ・シリーズを全作収録した世界初の完全版“カーデュラの事件簿”。さらに「いい殺し屋を雇うなら」「さかさまの世界」など5篇を新訳で贈る。

  • 文庫化された「クライム・マシン」に、私の好きなカーデュラ探偵社シリーズが入っていなかったので調べたところ、このシリーズだけを別にまとめた文庫が出るというので、楽しみに待っていた。カーデュラものの未訳作品が入っているのかと思っていたのだが、新訳5篇は全てノン・シリーズ物だった。ちょっと残念。
  • と、いうことで、カーデュラものについて改めてコメントはない。もう、ジャックったら、いつだってサイコー。
  • しかし、新訳の5篇もサイコーで気に入った、とは言えない。
  • 「無痛抜歯法」どんでん返しはあるが、スッキリしない。
  • 「いい殺し屋を雇うなら」長過ぎる。
  • 「くずかご」うまい。けれど、好きではない。
  • 「さかさまの世界」凝っている。けれど、好きではない。
  • 「トニーのために歌おう」冷酷になれない弁護士エイレングラフ*1の物語かと思ったら、リッチー作品に時折現れる「幸福な閉塞」のような小説だった。味わい深いが、傑作とは言えない。
  • 文句は言ったが、カーデュラものの集大成は世界初とのこと。それだけで、私には充分評価に値する。ありがとう、河出さん。

*1:ローレンス・ブロックの短編シリーズに登場する、依頼人を必ず無罪にする弁護士。