甘い顔

大野達三『「昭和維新」と右翼テロ』(新日本出版社、1981年)です。
頭山満北一輝の流れから、2・26事件にいたろうとする、右翼思想とその実戦部隊のありようを述べています。関東大震災を口実にした大規模な虐殺が、責任の所在をあいまいにしたまま流されていったことが、その後のテロを容認する土壌を作りだしたのではないかという考察がされているのですが、たしかに治安維持法は、右からのテロを防ぐことはまったくといっていいほどできなかったわけで、それが2・26につながっていったということなのでしょう。今でも、そうした動きを過去のものと一笑に付すわけにもいかないようです。