山男がそのはじまり

あるとき二人の登山者が冬山で遭難しちゃったりなんかして、この猛吹雪じゃ外に出られないな。食料は非常食のチョコレート一粒か。おれたちマジで死にますよね。そうだな…この最後の一粒、おまえにやるよ、おまえは生きろ。ダメですよダメです、せめて半分に。いや生き残る可能性の高い手段を選び取るべきだ、おまえは若い、おまえが食べろ。生きて戻れたら倍にして返してくれればいいさ。せ、先輩!ガバっ
あれから一月。おれは隊長の墓前にお菓子を供えた。3倍返しだ。あのときの雪山を忘れないように真っ白なマシュマロを…。




こうしてホワイトデーは始まったのである。そんなふうに考えれば、ホワイトデーも、そしてその対であるところのムカツクことこのうえなきバレンタインデーも、なんだか許せる気がしてこない?