無題
「あの本屋、Nちゃんのいた店だ」
嫁様が言った。
嫁様の幼稚園時代からの親友が勤めていた店で、事件が起こっていた。ニュースを見て震えながら友達に電話する嫁様。繋がらない。
「他の店舗にも手伝いに行くって言ってたし、明日はハリポタの発売日だからどこも忙しいからヘルプとかで・・・」
ニュースから30分後、友達から電話がかかってきた。
「・・・亡くなった人には申し訳ないけど、Nちゃんが無事で本当に良かった」
安心する嫁様。
人は通り魔、と言う。
けれど。
あれは計画的な殺人だ。刃物を用意し、相手を物色し、自分の目的を果たすことの出来る場所を選び、己を安全な場所へと逃がすことのできるタイミングを窺う、準備された犯行だ。
「通り魔」が、やくざを選ぶか?VIPを襲うか?常に弱いものを狙う。これほど狡猾で、自己中心的で、卑劣で、反社会的な、犯罪はない。
他人事のように、まるで己が被害者のように、理由を他人に押し付け、反省の欠片も示さない。救いようがない。33にもなって、親の気を引きたかった、なんて、理由にもなりはしない。今すぐの極刑をのぞむ。
これから華やかであったろう人生を突然断ち切られてしまった被害者の方のご冥福をお祈りいたします。
そして、ご家族の方に、心よりお悔やみ申し上げます。