借りる本の決まらない子と

少しずつ子どもたちが近づいてくるようになった。

今度の学校は、靴置き場の前に図書室があるので、いいところは外に行く時や帰る時に、ちらっと図書室がのぞけること。
難点は、授業中に靴置き場を通るとガヤガヤしてしまうことかな。(読み聞かせしていると、外に気をやる瞬間が出来てしまう)

図書の時間以外に1年生と話す機会が増えて、あさがおの観察の絵を見せてもらったり(みんな上手!)、運動会の練習からもどってくると「ぼく1位やった!」「2位やった!」「3位やった!」と次々と報告してくれるのが、楽しい。


いままでの勤務校は、図書室は運動場に面してない校舎ばかりで、しかも靴置き場からも遠く離れていたので、立地条件からくる違いはあるなと思う。


さて、今日の図書室で。
2年生でなかなか借りる本が選べない子がいて、すっとつきあっていた。

最初は「めいろの本は?」と聞いてきた。
探し物タイプの本(ミッケなど)や、迷路タイプの本は、常に取り合いだからなかなか書架にはない。
そして、そういうものを借りる子は、そこから抜け出て違う本に移行出来ないことが多い。
迷路の本を一緒に、書架を回って探したが見つからないので「違うの借りたら?」と言うと、「恐竜のめいろのが、いい」。
「それも、ないなあ。」

すると、しばらくうろうろしていたが、また来て、今度は「どろんこそうべえの続きはないの?」。
その本を借りたことがあるので、シリーズが読みたいらしい。
そうか。
そうべえは、読んだのか。


また、絵本の棚を一緒に見に行く。
「じごくのそうべえ」も「そうべえまっくろけのけ」もない。
「ないなあ…。じゃあ、これはどうや?」
そこにあった、ウィズナーの「かようびのよる」を私は取り出した。


「火曜日の夜にな、かえるがなぜか飛んでくるねん。ふしぎやろ…」
ページをめくりながら、途中まで紹介する。
面白そうに見ていたのに、「借りるか?」と言ったら、「ぼく、かえるきらい。」


なかなかやな…と思っていると、「カメは好き」と、ぽつりと言った。


なに、カメ?
カメなん?

そうか、カメかいな。
ふふふ。

これは、勝負あり。


「あんなあ、先生とっておきの本持ってるの。カメの絵本。見たい?」


私の本が収納してある棚の戸をあけ、「かけだらけおうこく」(やぎたみこ)を取り出した。

「カメを助けてあげたらな、夜にお礼がしたいって来やはってな…。連れて行ってくれたのが、カメばっかりがいる国やったのよ。
おかしなカメばっかりでな。らくだみたいなカメやろ、桜咲いてるカメやろ、これは、クワガタみたいなつのがあるよ。」

これは、反応あり。やぎさんの世界にみるみる引き込まれている。

「借りる?」
「うん。」

うれしそうな顔だった。
私も、心の中でガッツポーズ。


よかったね。借りたい本見つかって。
先生も、お役目果たせて充実感が、ひたひたきています。




今年は、やぎさんの本を入れよう。「もぐてんさん」も「おはぎちゃん」も。おくはらゆめさんや、たしろちさとさんも入れよう。
そして、幼年童話をたくさん購入しよう。

低学年の読書の幅を広げるのが大事だと、やっぱりこの学校でも思う。