一人でお茶を

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2018-05-06

[]太陽がいっぱい

  • 1960年、フランス・イタリア
  • 原題:Plein soleil
  • 原作:パトリシア・ハイスミス『リプリー』The Talented Mr. Ripley
  • 監督:ルネ・クレマン
  • 脚本:ポール・ジェゴフ、ルネ・クレマン
  • 撮影:アンリ・ドカエ
  • 音楽:ニーノ・ロータ
  • 出演:アラン・ドロン、モーリス・ロネ、マリー・ラフォレ

イオンシネマ宇多津午前十時の映画祭9で鑑賞。

貧しい青年トム・リプリーが、金持ちのフィリップに成りすまそうとする。

トム・リプリー(アラン・ドロン)は、フィリップ(モーリス・ロネ)をアメリカに連れ戻すように彼の父親から頼まれ、イタリアでフィリップと共に過ごしていた。フィリップはアメリカには帰りたがらず、しかし婚約者のマルジュ(マリー・ラフォレ)とも関係がぎくしゃくしている。フィリップと喧嘩したマルジュがヨットを降りた後、トムとフィリップは二人きりになってしまうのだが、……

パトリシア・ハイスミスの原作に忠実なのは1999年米映画「リプリー」の方。この「太陽がいっぱい」は、フランスが生んだ稀代のスター、アラン・ドロンの出世作ですね。

淀川長治先生は『淀川長治 究極の映画ベスト100』*1で、映画文法的にトムとフィリップはホモセクシャルであると解説なさっていましたが、たしかにああいう若い子がいつも二人でつるんでいるなら時々いちゃついていてもなんらふしぎはありませんけれども、ホモセクシュアルである、とまで決めつけないで見た方がおもしろさが深まる、と私は思いました。トムの方はなによりも金目当て(父親は依頼金を渡しています)なんですが、それだけでは割り切れない関心の強さもあるようですし、何よりフィリップの方が、トムのことが妙に気になって仕方がない、あの感じ、でも、子供の頃だと同年代の子に対してああいうのよくあるなあ、あの延長かな、でもそこに既に成人した二人には金や階級差がリアルに被さってきて、女も絡んで、なんかこじれてくるなあ、というのがあって、今回観て思ったのは、そのあたりの雰囲気はモーリス・ロネの芝居がうまいから伝わってくるんだなあ、と。

でも、観終わった後に残るのはアラン・ドロンの顔だけだったりする。私にとってはそういう映画でした。

マリー・ラフォレもきれいですし、当時アラン・ドロンの婚約者だったというロミー・シュナイダーが冒頭部分にカメオ出演しています。

トムとフリップの関係ですが、二極化完了後というか、階級の固定化があらわになってきた今の日本でのほうが、公開当時よりも身近に感じる人が多いかもしれませんね。

オカピーオカピー 2018/05/06 22:27 弊記事へTBとコメント有難うございました。

>淀川長治先生
公開当時から二人は同性愛であると指摘していたらしく、僕もそう考えずに見た方が良いとは思いますが、原作でそういう設定になっていることを考えると、淀川さんの勘はやはり凄い。原作が日本で紹介されたのはそれからずっと後ですから。

アラン・ドロンが残りますねえ。彼があそこまでの二枚目だから、犯罪映画という枠を超えて彼の野心が悲しみを湛えるのですね。太陽が余りに眩しく、海が余りに青いから、その挫折が無残に思えて来る。

船にひっかけらたモーリス・ロネの死体の腕が、一人海沿いで祝宴をしているアラン・ドロンとオーヴァーラップする最後は映画史に残る名シーンですね。

nesskonessko 2018/05/06 22:54 >オカピーさん

>原作でそういう設定になっている
あ、そうだったんですか! 私は原作は読んでいないので、自分に都合のいいように見てしまってたのかな。ハイスミスが同性愛者ですから、そういう機微に敏感なのかもしれませんね。淀川先生は鋭いんだなあ。言われてみると、モーリス・ロネは自分と異なるタイプの美青年が気になって仕方なかったかんじしますね。しかも、相手がじつは自分のこと好いていなさそうなので、余計に。

>オーヴァーラップする最後
あれはすごいです。あれで、トムとフィリップはほんとうに一心同体になってしまったような、因果というか宿命の香りがして、トムの笑顔がなんともいえない余韻を残しますよね。

オカピーオカピー 2018/05/24 22:30 実は僕も読んでいないのに、伝聞による情報を伝えてしまいました。
そこで原作を読んでみたところで、数日以内にブログでゲイ説をめぐって雑感を発表してみようと思っています。
その際に経緯説明の為に記事内にnesskoさんのお名前を出そうと思っていますが、よろしいでしょうか? ご確認をお願い致します。

nesskonessko 2018/05/25 00:08 >オカピーさん
いいですよ。どんな記事になるのか、楽しみにしております。

オカピーオカピー 2018/05/26 22:36 実は昨日発表するつもりはなかったんですよ。推敲して保存しようとしたところ違うところをクリックして投稿してしまった次第。慌てて幾つか修正を加えました。例えば、
マージがトムを疑うのは、ゲイであることではなく、彼の犯行を疑うということだったのですが、以前のは紛らわしい。お読みになる方が間違えないように変更しました。

記事を書いているうちに思ったこと。ヒッチコックが映画化した出世作「見知らぬ乗客」で、男が妻の交換殺人を申し出るアイデアの背景に、僅かに同性愛の香りが漂っている。僕の考えすぎですかね?(笑)

nesskonessko 2018/05/26 23:02 >オカピーさん

>マージがトムの犯行を疑う
小説はやはり映画「太陽がいっぱい」より辛口なんだろうなと想像します。トムとマージの間もなにか距離を置いたものがあるんですね。映画「リプリー」はどうだったかな、もう記憶もうつろなんですが、あれは主人公に共感を覚えるというようなところはほとんどなかったので、小説に忠実なんでしょうね。

>ヒッチコック
ヒッチコックは登場人物を描くのに、同性愛に限らず、ちょっと性的な香りを漂わす一瞬があって、それでドラマの風味を増すのがうまいですよね。どぎつくならず露骨にならず、ちょっとエッセンスを垂らすみたいなね。スリラーでも上等な料理にして出してくれる、そういうところがほんとうに名人、やっぱりいちばん好きな監督になりますね、安心して観られていろいろな味わい方ができる。
「見知らぬ乗客」は、主人公が美青年で、頼んだ方が彼のことをじいっと見てる場面が目立って、しかも二人は他の人には言えない秘密を共有してしまってますから、ああいうところ、たしかに同性愛の香りがほのかにしてます。

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