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2016年-06月-24日

参院選序盤情勢「改憲勢力2/3うかがう」、しかし参院選後の改憲「反対」45%、安倍首相の下で改憲「反対」48%―在京各紙の報道の記録

 備忘です。東京発行の新聞各紙24日付朝刊の1面トップは、6紙のうち朝日、毎日、読売日経産経の5紙は参院選の序盤情勢でした。

 各紙の1面トップの記事の見出しを2本ずつ書きとめておきます。改憲勢力が改憲発議に必要な3分の2の議席をうかがう、という点で各紙ともおおむね共通しています。

 ▼朝日「改憲4党2/3うかがう」「1人区 野党共闘効果」

 ▼毎日「改憲勢力2/3うかがう」「自民、単独過半数の勢い」

 ▼読売「与党 改選過半数の勢い」「民進、伸び悩み」

 ▼日経「自民、単独過半数に迫る」「改憲勢力2/3うかがう」

 ▼産経「改憲勢力2/3うかがう」「与党、改選過半数の勢い」

 ▼東京「若者の投票 火が付くか」「18・19歳 序盤は『関心ない』54%」

 東京新聞は序盤情勢は2面に共同通信配信記事を掲載しています。見出しは「改憲勢力2/3うかがう」です。

 ほかに目にとまったのは、朝日と毎日の改憲に対する世論調査の結果です。朝日は、安倍政権のもとで憲法改正を実現することへの賛否を尋ねたところ、賛成31%、反対48%でした。有意の差があると言っていいように感じます。毎日は、参院選後に憲法改正の手続きを進めることへの賛否を尋ねています。賛成36%、反対45%と、朝日の調査と同じような傾向でした。

 前日23日の沖縄慰霊の日の記事を1面に入れているのは朝日、毎日、東京の3紙です。

2016年-06月-23日

参院選スタート、直前の内閣支持率は低下傾向

 参院選が6月22日、公示されました。この日の東京発行新聞各紙の夕刊1面を見ると、おおむね各紙とも主要争点を経済政策アベノミクス)と憲法改正の二つととらえているようです。

 安倍晋三首相は第2次政権になって以降の国政選挙では、論戦でもっぱらアベノミクスを訴えながら、選挙で勝利するや、あたかも白紙委任を得たと言わんばかりに、論戦ではほとんど触れていなかった特定秘密防止法や集団的自衛権行使を容認する安保法制を、多数の議席にモノを言わせるようにして成立させました。仮に、今回の参院選で改憲勢力が議席の3分の2に達して改憲の発議が可能になる場合は、やはり安倍首相は改憲への道をひた走りに走ることになるのでしょうか。マスメディア各社の最近の世論調査では、改憲志向は決して高まっていないことはこのブログでも引用、紹介してきた通りです。7月10日の投開票日まで、憲法についてどんな論戦が展開されるのか、安倍首相がどのような物言いをするのか、注目していこうと思います。

 

 参院選公示直前の先週末に朝日新聞毎日新聞読売新聞が実施した世論調査の結果がそれぞれ報じられました。内閣支持率をはじめ、主な項目を備忘を兼ねて書きとめておきます。

▼朝日新聞:18、19日実施 ※参院選に向けた連続世論調査の2回目、前回は4、5日に実施

・内閣支持率 支持45%(前回と同じ)、不支持36%(前回34%)

・いま投票するとしたら 自民38%(前回39%) 民進15%(12%) 公明7%(7%) 共産6%(7%) おおさか維新4%(6%) 社民2%(1%) 生活1%(1%)

国会自民党だけが強い勢力を持つ今の状況は 「よいことだ」23% 「よくないことだ」59%


▼毎日新聞:18、19日実施

・内閣支持率 支持42%(5月前回から7ポイント減) 不支持39%(6ポイント増) 関心がない17%(1ポイント増)

・アベノミクスを 「さらに進めるべきだ」23% 「見直すべきだ」61%

・参院選後、憲法改正の手続きを進めることに 「賛成」36% 「反対」44%

・いま投票するとしたら 自民30%(前回36%) 民進14%(12%) 公明5%(7%) 共産6%(8%) おおさか維新5%(3%) 社民1%(1%) 生活1%(1%)

※毎日新聞は内閣支持率の低下について、前回調査の直前に伊勢志摩サミットやオバマ大統領広島訪問があり支持率が上昇したが、今回はそうした外交の効果は薄れ3、4両月の視線に戻ったと分析しています。


▼読売新聞:17―19日実施

・内閣支持率 支持49%(6月3―5日前回から4ポイント減) 不支持38%(3ポイント増)

・参院選の比例代表の投票先 自民35%(前回から7ポイント減) 民進12%(3ポイント増) 公明7% 共産4% おおさか維新7% 社民1% 生活1%

安倍内閣の経済政策を 「評価する」37% 「評価しない」42%

・参院選で改憲勢力が3分の2以上の議席を確保する方がよいと思うか 「確保する方がよい」40% 「そうは思わない」44%

※読売新聞は自民党の比例投票先の数値や内閣支持率の低下について、政治資金私的流用問題で辞職した舛添要一東京都知事を自民党が知事選で支援したことや、EUからの英国離脱の懸念による円高、株安が影響したとみられるとしています。

2016年-06月-21日

「本土の皆さんも第二の加害者」(朝日)「本土の皆さん 第二の加害者は誰ですか」(毎日)―6・19沖縄県民大会、在京紙の報道の記録

 沖縄県うるま市の女性を殺害した疑いで、元海兵隊員の米軍属の男が逮捕された事件に抗議する沖縄県民大会が19日、那覇市で開かれ、主催者発表では約6万5千人が参加しました。報道によると、被害者の父親はメッセージを寄せ「次の被害者を出さないためにも全基地撤去辺野古新基地建設に反対。県民が一つになれば可能だと思っています。県民として強く願っています」と訴えました。採択された大会決議は、繰り返される米軍関係の犯罪や事故に対する県民の怒りと悲しみは限界を超えていると指摘し、県民の人権と命を守るためには、米軍基地の大幅な整理縮小、中でも海兵隊の撤退は急務だと訴えたとのことです。

 ※琉球新報電子版「沖縄県民大会、6万5千人が追悼 海兵隊の撤退求める 被害者の父がメッセージ」

 http://ryukyushimpo.jp/news/entry-300866.html

 大会には沖縄県の翁長雄志知事も出席しましたが、県議会野党自民党公明党は、決議案の内容や社民共産両党などが入る主催団体の構成に難色を示し、大会には参加しなかったと報じられています。

 この大会を東京発行の新聞各紙も20日付朝刊で取り上げました。朝日新聞は1面トップ。1面に入れたのはほかに毎日新聞産経新聞東京新聞の3紙。この4紙はいずれも社会面でもトップで大きく展開しています。日経新聞は本記は2面で、社会面にも関連記事を掲載しました。目を引くのは読売新聞で、第2社会面に1段見出し、全文30行の本記のみで写真もありませんでした。突出して小さな扱いでした。

 社会面では、朝日、毎日がともにオール沖縄会議共同代表の大学生、玉城愛さん(21)のスピーチから「本土の皆さんも第二の加害者」(朝日)「本土の皆さん 第二の加害者は誰ですか」(毎日)と、大きく見出しに取っているのが目を引きました。沖縄に過剰な基地負担を強いているのは直接的には日本政府かもしれませんが、その背後に日本本土に住む日本国民の無関心があるとの指摘が、少しずつかもしれませんが本土マスメディアでも取り上げられるようになってきていると感じます。ただし、それは一部のことで、一方では沖縄の基地集中に対する本土メディアの取り上げ方は二極化しています。今回も読売新聞は極端に小さな扱いでした。産経新聞は扱いは大きいものの、朝日や毎日、東京とは違ったスタンスです。

 ※玉城愛さんのスピーチ全文は、琉球新報のサイトで読めます。

 http://ryukyushimpo.jp/news/entry-301239.html


 以下に、各紙の1面と社会面、社説の主な見出しを書きとめておきます。各紙の報道のトーンがうかがえるのではないかと思います。

▼朝日新聞

1面トップ「海兵隊撤退求め決議」「沖縄県民大会 元米兵事件に抗議」「自公、参加せず」

社会面トップ「沖縄 涙 怒り」/「『本土の皆さんも第二の加害者』大会共同代表の大学生」/「『変わるんだと思ったが…』21年前も参加した65歳」

社説「沖縄県民大会 怒りと抗議に向き合え」

▼毎日新聞

1面準トップ「『沖縄海兵隊撤退を』」「県民大会 女性殺害に抗議」

社会面トップ「慟哭の沖縄」「殺害抗議県民大会」「本土の皆さん 第二の加害者は誰ですか」

社説「沖縄県民大会『繰り返さない』の誓い」

▼読売新聞

第2社会面「女性殺害に抗議 沖縄『県民大会』」

▼日経新聞

2面「米軍属事件 6万人集会」「知事『米海兵隊撤退を』」

社会面準トップ「『次の被害女性出すな』」「米軍属事件、怒る沖縄」

▼産経新聞

1面「沖縄『県民大会』、超党派ならず」「女性暴行殺害に抗議」

社会面トップ「『オール沖縄』に疑問の声」「『一方的…基地問題への意見は人それぞれ』」※「被害女性の父 メッセージ全文」掲載

▼東京新聞

1面準トップ「沖縄 抗議の県民大会」「6万5000人 米海兵隊撤退を要求

社会面トップ「『沖縄変える』新たな有権者18、19歳動く」「私たちの声届ける人を」

第2社会面「『奴隷じゃない』続く事件 涙の抗議」「同世代 玉城さん 喪服で登壇」

社説「沖縄県民大会 耳傾けるべき声がある」

 

2016年-06月-10日

沖縄・女性遺棄事件の捜査は地位協定が障害になっている―琉球新報社説「基地内の捜査権を認めよ」

 沖縄県うるま市で4月に行方不明になっていた20歳の女性が遺体で見つかった事件で、沖縄県警が6月9日、元米海兵隊員で軍属の男を殺人と強姦致死容疑で再逮捕しました。沖縄タイムスの記事を引用します。

▽沖縄タイムス「元米兵再逮捕 殺人と強姦致死容疑 認否留保遺棄罪で起訴」=2016年6月10日

 http://www.okinawatimes.co.jp/article.php?id=172556

 うるま市の女性遺体遺棄事件で、県警特別捜査本部(本部長・渡真利健良刑事部長)は9日、死体遺棄容疑で逮捕・送検していた元米海兵隊員で軍属の容疑者(32)を殺人と強姦(ごうかん)致死の両容疑で再逮捕した。同容疑者は容疑について「いまは話せない」とし、認否を明らかにしていないという。捜査本部は、同容疑者が刃物や棒などを事前に準備している状況から、暴行を目的に当初から殺意を持って女性を襲った計画的な犯行との認識を示した。那覇地検は同日、同容疑者を死体遺棄罪で起訴した。

 同容疑者の再逮捕容疑は、うるま市塩屋で4月28日夜、ウオーキング中の被害女性(20)に暴行目的で背後から近づき、殺意を持って棒で頭を殴り、草むらに連れ込んだ上、首を絞めて刃物で刺すなどして殺害した疑い。

 容疑に関する供述や殺害に使用した刃物、物証が乏しい状況での再逮捕について、渡真利本部長は「防犯カメラ携帯電話の通信記録などから足取りを追い、事件の関連品を発見するなど証拠を積み上げた結果」などと説明。強姦致死については、「暴行は未遂だが、暴行目的で傷を負わせ、死に至らしめたことで成立する」との認識を示した。

 沖縄タイムス、琉球新報の2紙とも、10日付の社説でもあらためてこの事件を取り上げました。中でも「基地内の捜査権を認めよ」との見出しが付いた琉球新報の社説は、今回の事件で現に日米地位協定によって捜査に支障が出ていることを指摘しており、重要だと感じます。

 今回の事件では、翁長雄志知事をはじめ沖縄県内の自治体や県民、沖縄のマスメディアが求める日米地位協定の改定に賛意を示す本土マスメディアも地方紙を含めて少なくなく、米軍将兵や軍属の特権的扱いの規定を、事件事故が頻発する背景事情としてとらえています。ただ、容疑者の容疑内容自体は公務外でのことであり、沖縄県警が容疑者を逮捕することには支障がなかったためか、本土マスメディアでは日米地位協定が捜査へ影響を及ぼしているとの指摘はほとんど目にしません。琉球新報の10日付社説は、それにとどまらず、容疑者の身柄を押さえても日米地位協定によって基地内に県警が自由に立ち入ることができず、仮に容疑者が基地内で証拠隠滅を図った疑いが濃厚でも、その裏付け捜査が困難なことを突いています。一部を引用します。

▽琉球新報:社説「米軍属再逮捕 基地内の捜査権を認めよ」=2016年6月10日

 http://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-295301.html

 20歳の女性が命を奪われた事件は新たな段階を迎えた。ここに至るまで、県警の捜査は常に日米地位協定の壁が障害になってきたことを見落としてはならない。

 県警が容疑者を逮捕したため、取り調べや身柄引き渡しなど、日米地位協定上の支障はなかったように見える。しかし、実態は違う。容疑者は米軍基地内で証拠隠滅を図った可能性があるにもかかわらず、基地内では直ちに捜査権を行使することができないのだ。

 県警は「遺体をスーツケースに入れて運んだ」という容疑者の供述に基づき、うるま市内の最終処分場で数点のスーツケースを押収した。この処分場は米軍基地の廃棄物を処理している。容疑者はキャンプ・ハンセン内でスーツケースを投棄した可能性がある。

 捜査の過程で県警が基地内での容疑者の足取りを把握しているならば、基地内の捜査は不可欠だ。

 ところが、日米地位協定は基地内での米国排他的管理権を認めている。米側の同意がない限り、日本の警察は立ち入りできない。2008年12月の金武町伊芸区被弾事件では県警の立ち入り調査の実現に1年近くもかかった。

 米軍基地を治外法権のように規定し、米軍人・軍属の特権を認める日米地位協定が基地に絡んだ犯罪の元凶であることは誰の目にも明らかだ。しかし、今回の事件でも日本政府は日米地位協定の改定を米側に求めず、運用改善で幕引きを図ろうとしている。

 政府対米従属姿勢はここに極まっている。新基地建設問題では「抑止力維持」を名目に辺野古移設に拘泥する一方で、県民の生命に関わる日米地位協定の欠陥には手を付けようとはしない。これでは国民の安全を守るべき責務を政府は放棄していると断じざるを得ない。

 この社説の指摘を読んで思い出したのは、2004年8月に沖縄県宜野湾市の米軍普天間飛行場所属の海兵隊ヘリコプターが、飛行場に隣接する沖縄国際大学の構内に墜落した事故です。墜落現場は米軍施設の区域外だったにもかかわらず、現場はただちに米軍が封鎖し、沖縄県警は捜査権を行使することができませんでした。日本の国土でありながら、日本の主権や国内法が及ばないのが米軍基地であり、その特権的扱いは基地の外の出来事にも悪影響を引き起こしています。


 沖縄タイムスも10日付で「沖縄の怒り もう限界だ」の見出しの社説を掲載しています。一部を引用します。

▽沖縄タイムス:社説「[元米兵再逮捕]沖縄の怒り もう限界だ」=2016年6月10日

 http://www.okinawatimes.co.jp/article.php?id=172554

 今回の事件に対する県民の怒りは、全県的に広がっている。

 県議会が5月26日に抗議決議と意見書を可決したのに加え、県内41市町村の全議会が事件への抗議決議を可決する見通しとなった。

 議会決議は住民意思の表明である。既に決議したほとんどの議会が綱紀粛正や再発防止策の策定に加え、「日米地位協定の抜本的な見直し」を盛り込んでいる。「全基地閉鎖撤去」や「海兵隊の撤退」など、強い要求を入れた議会もある。

 綱紀粛正では、もはや根本的な解決にならないと受け止められている証しである。

 在沖米軍は5月27日、県内に住む軍人・軍属やその家族に、基地の外での飲酒を禁じ、午前0時までの帰宅を義務づけると発表した。「喪に服するため」の1カ月間の措置だとした。

 ところが6月4日、米軍嘉手納基地所属の米海軍2等兵曹の女が酒に酔った状態で車を運転し、国道58号を逆走して軽乗用車と衝突する事故を起こした。2人にけがを負わせた。

 在沖米軍トップのローレンス・ニコルソン四軍調整官が会見で述べた「沖縄の人たちと共に喪に服し、悲しみを分かち合う」ことすら、徹底させるのは不可能なのだと露呈した。

 日本政府も、防犯パトロール隊の創設や警察官100人の増員、パトカー20台増車、防犯灯の設置などの対策をまとめた。一般的な犯罪抑止対策にはなりそうだ。だが、日米地位協定によって保護・優遇され、それが占領者意識を持つ素地となっている軍人・軍属に、実効性ある対策かどうかは疑わしい。

2016年-06月-05日

参院選で問われてしかるべきは安倍晋三首相の政治手法―内閣支持率は55%超だが改憲に世論は冷静 ※追記・読売新聞調査

 安倍晋三首相は通常国会閉会を受けて6月1日に行った記者会見で、2017年4月に予定していた消費税の10%への増税を、19年10月まで2年半延長することを正式に表明しました。2014年11月に、延期を打ち出して衆院を解散した際には、再延期はないことを断言していましたので、明白な公約違反です。この点につき、安倍氏は会見で「これまでの約束とは異なる新しい判断だ」「参院選で信を問う」と強調し、参院選の争点はアベノミクスだと強調しました。「またか」という気がしています。この日の記者会見はいろいろ話題になっていますが、私は強く違和感を覚えました。

 まず、明白な公約違反なのに、首相としての政治責任を参院選の勝敗論にすり替えていることです。あたかも「新しい判断」と言いさえすれば、前言はなかったことにされるとでも言うかのようです。これがまかり通るならば(実際のところ、まかり通ってしまっているようですが)「新しい判断」は最高権力者が何でも思う通りにできる“魔法の言葉”です。

 また、議員の半数しか改選されない参院選が、公約違反の「信を問う」手続きとして適当なのでしょうか。「信を問う」と大上段に構えるならば、一般的には政権交代につながる可能性がある衆院選のはずです。ましてや消費税の税率アップをめぐっては、前述のとおり、安倍氏自身が「再延期はない」と断言しながら衆院を解散し総選挙を行っているのです。しかも、有権者の受け止めとしては増税延期は歓迎のはずで、その選挙結果をもって「公約違反の信を問うた」と強弁するのは無理な理屈ではないでしょうか。

 19年10月まで2年半、増税を見送るというのも恣意的に感じます。2019年と言えば、春に統一地方選、夏に参院選が行われます。増税実施は選挙後となり、選挙への影響を回避したいとの思惑が疑われます。また、18年9月までの自民党総裁任期との関連を指摘する報道もあります。「『連続2期6年まで』の党則を変更しない限り『不人気政策の筆頭』(閣僚)とされる増税が『ポスト安倍』の有資格者である次期総裁を直撃する。出馬に慎重になるとされることから『任期延長への布石を打った』(党幹部)との見方がある」(共同通信配信記事)。

 そして、会見のテレビ中継を見ていて「またか」と思ったのは、安倍氏が「参院選の争点はアベノミクス」と声を張り上げながら、結局、会見では、一時はあれほど盛んに口にしていた憲法改正に自分からは一切触れなかったからでした(正確に言えば、改憲発議に必要な全議席の3分の2をめぐる質問は出ましたが、ぺらぺらとはぐらかした、との印象です)。今までと同じパターンがまたも繰り返されようとしているように思えます。選挙では経済政策を前面に訴え、憲法改正は公約には載せるものの選挙戦では口にしない。仮に、自民以外の議席も含めて改憲勢力が改憲の発議に必要な3分の2に達すれば、改憲にしゃむにに突っ走るのではないでしょうか。特定秘密保護法や、集団的自衛権をめぐる憲法解釈の変更を伴った安全保障関連法の整備がそうでした。

 この記者会見の直前の週末に実施された世論調査の結果が4件報じられていますが、安倍内閣支持率は7―3ポイント増の56―49%。3件は55%超でした。しかし、これまでも紹介してきた通り、憲法改正に関連する設問に限ってみれば、世論は冷静で、改憲の熱が高まっているとは言い難い状況です。

 参院選は6月22日公示、7月10日投開票に決まりました。選挙に勝ちさえすれば「白紙委任を得たも同然」と言わんばかりに、決して民意が求めていない政策を数をたのんでゴリ押しに押すという、という事態は招いてはならないと思います。そうしたことも含めて、この参院選では争点として、安倍氏の政治手法が問われてしかるべきだと感じます。

 以下に、4件の世論調査結果のうち、目に付いた内容を書きとめておきます。

▼内閣支持率

・共同通信(5月28―29日実施)「支持」55・3%(前回4月調査から7・0ポイント増)「不支持」33・0%

毎日新聞(5月28―29日実施)「支持」49%(5ポイント増)「不支持」33%(5ポイント減)「関心がない」16%(1ポイント増)

産経新聞・FNN(5月28―29日実施)「支持」55・4%(6ポイント増)「不支持」34・0%(4・1ポイント減)

日経新聞テレビ東京(5月27―29日)「支持」56%(3ポイント増)「不支持」35%

消費増税の引き上げ再延期

・共同通信 「賛成」70・9% 「反対」24・7%

・毎日新聞 「賛成」66% 「反対」25%

・産経新聞・FNN

 「公約違反」24・2% 「公約違反だと思わない」72・2%

 衆院を解散して国民の信を問うべきか 「必要だと思う」33・6% 「思わない」62・0%

オバマ大統領広島訪問

・共同通信

 「よかった」98・0%

 「オバマ氏は広島で謝罪するべきだった」18・3% 「必要はなかった」74・7%

・毎日新聞:「良かったと思う」90% 「思わない」2%

・産経新聞・FNN

 「評価する」97・5%

 オバマ氏が原爆投下について謝罪すべきだったか:「思わない」68・2%

・日経新聞・テレビ東京:「評価する」92%

▼憲法改正

・共同通信:安倍首相の下での憲法改正に 「賛成」35・0% 「反対」54・9%

・毎日新聞:参院選で改憲勢力が3分の2以上の議席を占めることを 「期待する」40%(6ポイント増) 「期待しない」48%(1ポイント増)

沖縄の女性遺棄事件に関連して

・共同通信:日米地位協定を 「改定するべきだ」71・0% 「改定する必要はない」17・9%

・毎日新聞:沖縄の米軍基地について 「なくすべきだ」20% 「あった方がいいが減らすべきだ」59% 「維持または強化すべきだ」9%

・産経新聞・FNN:「日米地位協定を見直すべきだ」83・7%


【追記】2016年6月11日10時35分

 読売新聞が6月3―5日に実施した世論調査の結果も報じられました。主な内容を書きとめておきます。

▼内閣支持率:「支持」53%(前回比±0ポイント)「不支持」35%(同1ポイント増)

▼消費増税の引き上げ再延期

・「評価する」63% 「評価しない」31%

・公約違反だと思うか:「思う」30% 「思わない」65%

・社会保障政策に支障が出ることを懸念するか:「懸念している」54% 「していない」36%

▼オバマ米大統領の広島訪問:「評価する」95% 「しない」3%