ニュース・ワーカー2 このページをアンテナに追加 RSSフィード Twitter

2014年-11月-23日

解散翌日の地方紙社説の記録

 前回の記事(「やはり問われるべきは憲法改正―解散翌日の在京各紙社説の記録」)の続きになります。衆院解散翌日の22日付で、ブロック紙や地方紙がどのような社説を掲載しているか、ネット上の各紙のサイトをチェックしてみました。社説を読むことができた29紙の見出しを以下に書き留めておきます(これが地方紙の社説のすべてではありません)。

 おおまかな感想になりますが、大勢としては(1)解散の大義になお疑問=世論調査で6割が「理解できない」と回答(2)争点は国民が決める=菅義偉官房長官が「何を問うか問わないかは、政権が決める」と発言したことを批判(3)安倍政治の2年間の総体が問われる=争点はアベノミクスだけではない―などの点が共通点として目につきました。特にアベノミクス以外の争点では、特定秘密保護法集団的自衛権の行使を容認した憲法解釈の変更、原発再稼働を多くの地方紙社説が指摘しています。そうした傾向は各紙の社説の見出しからもうかがえるのではないでしょうか。特定秘密保護法や集団的自衛権の問題の延長上に、憲法改正があることを指摘した社説もあります。

北海道新聞衆院が解散 独断に疑問解けぬまま」

河北新報「衆院解散/参加意欲高める選挙戦を」

東奥日報安倍政権手法 検証を/衆院選 師走決戦へ」

秋田魁新報「衆院解散 『安倍政治』が問われる」

岩手日報「解散、総選挙へ 『冷めた目』を意識せよ」

福島民報「【衆院解散】復興を止めるな」

福島民友新聞「【衆院選】解散いざ臨戦/「復興」を置き去りにするな」

神奈川新聞「衆院選の課題 潮流捉えた政策論争を」

信濃毎日新聞「12・14衆院選 解散・総選挙へ 暮らしの将来像を示せ」財政再建の道筋は/痛みは伏せるのか/対抗軸が必要だ

新潟日報「衆院解散 政策で選択肢を示さねば」増税先送りが大義か/再生への処方せんを/「平和」の理念を問う

中日新聞東京新聞)「争点決めるのは国民だ 衆院解散 12・14総選挙」解散、6割理解できぬ/政権の業績評価投票/岐路に立つ危機感を

北國新聞「衆院解散・総選挙へ 『大義なし』の批判は疑問」

福井新聞「衆院解散 『安倍政治』厳しく問われる」女性活躍も霧消/長期政権照準に/本県は人材不足

京都新聞「衆院解散   対立軸示し論戦深めよ」

神戸新聞「衆院解散/『安倍政治』そのものが争点だ」この道しかないのか/与野党伯仲への期待

山陽新聞「衆院解散 問われるのは安倍政治だ」審判仰ぐ課題山積/存在感薄い野党

中国新聞「衆院解散 争点は有権者が決める」見えない風向き/結論ありきでは/問われる選択肢

山陰中央新報「衆院解散/本格的論戦に期待したい」

愛媛新聞「衆院解散 政治をただす機会と捉えたい」

徳島新聞「衆院解散 自衛権や秘密法も争点だ」

高知新聞「【衆院解散】今こそ安倍政治を問う」リセットはできない

西日本新聞「衆院解散 『安倍政治』を見極めたい」「数の力」を背景に/具体的な政策で競え

大分合同新聞「衆院解散 安倍政治に対立軸示せ」

宮崎日日新聞「衆院解散 野党は明確な対立軸を示せ」生活者の視点前面に/候補者調整の戦術も

佐賀新聞「衆院解散」

熊本日日新聞「衆院解散 『安倍政治』2年の審判だ」

南日本新聞「[首相の衆院解散 −2014衆院選−] 2年間の政権に審判を」

沖縄タイムス「[衆院解散・辺野古では]民意無視の強行やめよ」

琉球新報「衆院解散 国家像変えた政治に審判を 沖縄の民意軽視するな」憲法理念と乖離(かいり)/公約は選択の基礎


 地元からの視線として、東日本大震災東京電力福島第一原発事故に言及した福島民報と福島民友新聞、米軍普天間飛行場の移設をめぐり、沖縄県知事選で移設計画に反対の候補が当選したばかりの沖縄タイムス、琉球新報の各社説の一部を以下に引用、書き留めておきます。

▼福島民報「【衆院解散】復興を止めるな」

 2年前の衆院選で、政権は震災発生時の民主党から自民公明両党の手に移った。いずれの首相も「福島の復興なくして、日本の再生はない」と被災地への対応を語ってきた。「経済の再生なくして財政健全化はできない」。18日の安倍首相の解散会見で、かつて聞いたフレーズに乗せられた言葉は「福島」や「復興」ではなく、「経済」「財政」だった。消費税の再増税や経済対策、2年間の安倍政権の評価が今回の争点の中心になるのは理解するが、解散後の会見でも首相は被災地の復興に触れなかった。被災地が置き去りにされているようで、残念でならない。

 本県の場合、原発事故によって長期にわたり古里を離れている避難区域の住民の帰還の動きが出始めた。新たなまちづくりに必要な施設を整備し、住みやすい環境をつくる重要な時期に差し掛かっている。戻る選択も、戻らない選択もある。いずれを選ぶにしても、将来の姿を思い描けるような復興政策のメニューがそろっていなければ、判断できない。各党、各候補者はその判断材料を具体的に提示してほしい。

▼福島民友新聞「【衆院選】解散いざ臨戦/「復興」を置き去りにするな」

 「アベノミクス解散」と言い切った安倍首相の解散後の会見では、残念ながら復興政策については語られなかった。

 復興がかすむような選挙であってはならない。

 本県では、4度目の冬を迎えてもなお、避難生活が続く県民がいる。古里への帰還、生活の再建が見通せない住民の多くが風化や風評への懸念を拭えないでいる。

 東日本大震災と東京電力福島第1原発事故からの復興が、最重要の国政課題であることを広く国民に訴えていくことを、与野党それぞれに強く求めたい。

 復興途上にある本県では、地域の現状や県民の声を吸い上げて公約に反映させることが重要になる。各党には、これまでの復興政策を点検し、復興の加速化に向けて必要な施策や道筋を明確に示してもらいたい。

▼沖縄タイムス「[衆院解散・辺野古では]民意無視の強行やめよ」

 安倍晋三首相が衆院を解散した。来月14日の投開票に向け、事実上選挙戦が走りだした。

 名護市辺野古の新基地建設に反対する圧倒的民意が示されたばかりなのに、基地問題が脇に押しやられそうで心配だ。言うまでもなく基地負担は日本全体で考えなければならない安全保障の問題である。降って湧いたような総選挙に埋没させるわけにはいかない。

 今、辺野古では知事選挙で中断していた工事が再開され、再び緊迫感が漂っている。

 沖縄防衛局は、間もなくキャンプ・シュワブ沿岸の辺野古崎近くに、長さ約300メートル、幅17〜25メートルの仮設岸壁を建設する。

 米軍普天間飛行場の辺野古移設を最大の争点とした知事選で、辺野古への新基地建設に反対する翁長雄志氏が10万票もの大差で勝利した直後である。

 民意など意に介さないといった強硬な態度だ。

 安倍首相は、9月の所信表明で「沖縄の方々の気持ちに寄り添う」と演説した。寄り添うというのは、どういう意味なのか。

 内閣改造で沖縄基地負担軽減担当相を兼任することになった菅義偉官房長官は、選挙前に辺野古は「過去の問題」と言い放ち、選挙後は移設作業を「粛々と進める」とけん制した。

 もう決まったことだから選挙結果など関係ないという威圧的な態度が、政府の言う「寄り添う」や「負担軽減」の実態である。

▼琉球新報「衆院解散 国家像変えた政治に審判を 沖縄の民意軽視するな」憲法理念と乖離(かいり)/公約は選択の基礎

 16日の知事選で、普天間飛行場の辺野古移設反対を公約に掲げた翁長雄志氏が、現職の仲井真弘多氏に約10万票の大差をつけて当選した。普天間の辺野古移設を拒否する沖縄の民意を明確に示した。

 総選挙に乗じて「辺野古ノー」の民意を軽視することがあってはならない。沖縄の民意を踏まえ普天間飛行場の県外・国外移設を模索するのが政府のあるべき姿だ。

 ところが沖縄防衛局は海上作業を再開した。大量の砕石を海に投じる仮設桟橋の建設も計画している。工事強行の既成事実を積み重ね、県民を萎縮させようともくろんでいるのなら大きな過ちだ。

 公約は民主主義的選択の基礎だ。その重みは言うまでもない。

 前回の総選挙で普天間の県外移設を唱(とな)えて議席を得たにもかかわらず、県内移設に転じた自民の4衆院議員には、自らの姿勢転換をきちんと説明してもらいたい。政治不信を有権者に植え付けた責任は重大だ。公約違反の事実と向き合わないまま選挙戦に挑むことがあってはならない。

 私たちは戦後民主主義の立脚点を問い、国の行方を定める重大な選挙に臨むことになる。各党には、国民の選択に役立つ真摯(しんし)な論戦を十分に展開してもらいたい。

 北國新聞(本社・石川県金沢市)は社説で「『大義なし』の批判は疑問」の見出しを取り、今回の衆院解散と総選挙を積極評価しています。一部を書き留めておきます。

▼北國新聞「衆院解散・総選挙へ 『大義なし』の批判は疑問」

 解散が確定的になる過程で与党は一つにまとまり、民主党も大急ぎで方針を転換した。増税延期は大方の国民の意に沿う決断だったとはいえ、一気に大きな流れになったのは、安倍首相が伝家の宝刀を抜く覚悟を示したからだろう。

 税制は国民生活に深く関わる民主主義の根幹であり、国民の支持なくして政策の遂行はおぼつかない。安倍首相の決断は3党合意の大きな転換を意味するものであり、社会保障費の不足を懸念する声に加えて、「軽減税率」の導入や「景気条項」の撤廃という新たな動きもある。ここで国民に信を問うのは自然な流れであり、「大義がない」とする批判は疑問だ。

 仮に解散をせずに、増税延期の法案を成立させようとしたら、野党は「国民に信を問え」と要求したのではなかったか。特定秘密保護法が成立する過程や、集団的自衛権行使の限定容認を閣議決定した際、一部の野党やメディアは「国民に信を問え」と迫った。

 選挙で問われるのは安倍政権の2年間であり、特定秘密保護法の成立や集団的自衛権も争点の一つである。年明けには原発の再稼働や集団的自衛権の関連法案の提出、普天間飛行場返還に伴う名護市辺野古の新基地建設などの難題も山積している。選挙で国民の審判を仰ぐ良い機会ではないか。

2014年-11月-22日

やはり問われるべきは憲法改正―解散翌日の在京各紙社説の記録

 衆議院が11月21日解散されました。衆院選は12月2日公示、14日投開票の日程です。解散の大義に野党から異論が出ていることを意識してか、安倍晋三首相は21日の記者会見で「アベノミクス解散」と呼びました。東京発行の新聞各紙も22日付朝刊で大きく扱い、大量の記事を掲載しています。各紙の1面トップの記事(本記)の主な見出しを書き留めておきます。各紙とも東京本社発行の最終版です。

【1面本記】

朝日新聞安倍政治2年を問う」「衆院解散、来月14日投開票」「首相、経済政策を前面」「安全保障原発も論点」

毎日新聞「アベノミクス争点」「衆院解散 総選挙」「来月2日公示、14日投票」

読売新聞安倍政権の2年問う」「衆院解散 総選挙」「来月2日公示 14日投開票」

日経新聞「アベノミクス争点」「衆院解散、来月14日総選挙」「首相、雇用増を強調」「野党、経済格差拡大と批判」

産経新聞「争点隠さず論戦の時」「衆院解散」「総選挙、2日公示 14日投開票 1028人立候補予定」

東京新聞「一票が政策動かす」「衆院解散 12・14投開票」

f:id:news-worker:20141122193836j:image

 これまでの社説などで安倍政権に対する評価が対照的だった朝日新聞と読売新聞が、衆院選の意義をほぼ同じ表現で主見出しに取っているのを興味深く感じました。毎日新聞と日経新聞は主見出しがまったく同じです。産経新聞の「争点隠さず論戦の時」は記事を読んでみると、解散には大義がないと主張している野党を、争点隠しに躍起になっていると批判する趣旨のようです。東京新聞は1面の本記の隣りに「衆院選でカギとなる『三つの議席数』」の記事を掲載。「安倍路線の継続」では議席過半数の「238」、憲法改正では改憲発議に必要な「3分の2」の「317」、脱原発では2年前の衆院選で原発ゼロを訴えた政党の獲得議席「126」を目立つようにレイアウトしています。

 以下には、各紙の社説の見出しと、目を引かれた部分を書き留めておきます。

【社説】

▼朝日新聞「衆院選 安倍政治への審判―有権者から立てる問い」憲法軽んじる姿勢/前のめりの原発回帰/「これから」の選択

 安倍首相の消費増税の延期と2年間の経済政策への評価は大切な論点である。そこはこれからじっくりと論じていきたいが、まず問われるべきなのは、首相の政治姿勢だ。

 昨夏の参院選をへて、衆院で3分の2、参院で半数を超える与党勢力を得た安倍政権には、数の力頼みの姿勢が著しい。

 その典型は、自らの権力に対する「縛り」となっている憲法への態度である。

 首相に返り咲いた直後の13年の通常国会で、安倍氏は「憲法を国民の手に取り戻す」と、改憲手続きを定めた96条の改正を唱えた。憲法改正案の発議に必要な議員の賛成を、3分の2以上から過半数に改めるという内容だ。

 だが、憲法で権力を縛る立憲主義に反するとの理解が広まると、首相は96条改正にはほとんど触れなくなった。かわりに進めたのが、解釈改憲による集団的自衛権の行使容認である。

 首相は今年7月、私的懇談会の報告からわずか1カ月半後、与党協議をへただけで行使容認の閣議決定に踏み切った。

 来月に迫った特定秘密保護法の施行も、憲法に基づく報道の自由や知る権利を侵しかねないとの懸念を押し切っての、強行採決の結果である。

 首相が長期政権を確保したうえで見すえているのが、憲法の明文改正だ。自民党は、再来年夏の参院選の前後に改正案を発議できるよう、準備を始めようとしている。


▼毎日新聞「安倍政治を問う アベノミクス 期待頼みでは続かない」広がらない恩恵/「3本目の矢」はどこに

※「安倍政治」についてシリーズで点検

 限界が見えてきたが、安倍晋三首相は「三本の矢の経済政策は確実に成果を上げつつある」と主張し、継続すべきか否かを選挙で国民に問うと言う。だが「アベノミクス」をひとくくりに評価を仰ぐのは問題だ。最初の2本(日銀の大規模緩和と従来型の財政支出)と3本目(成長戦略)には、根本的な違いがある。

 最初の2本は、そのコストや弊害、リスクにとりあえず目をつぶり最初に手っ取り早く果実を得ようという発想で、3本目は、初めに岩盤規制を崩す苦労や新たな競争による痛みを伴うが、後々、収穫が持続的に期待できるという性質のものだ。

 安倍政権が実行したのは最初の2本、とりわけ1本目の、政権自らというより日銀に任せた量的緩和である。そこで人々や市場の期待に訴えかけ、期待が陰り始めると同じ2本を再び射ようという戦略に見える。

 肝心の3本目はどうか。メニューは並べたものの、本気で既得権益にメスを入れ、やる気のある人や企業の参入を後押ししようとしているようには見えない。農協改革しかり、女性の活躍推進しかり、だ。

 この先も手っ取り早い第一、第二の矢頼みで期待をあおっていくのか、それとも困難を覚悟で第三の矢中心に転換するのか。選挙戦を通じ、明らかにしてほしい。


▼読売新聞「衆院解散 首相への中間評価が下される 『アベノミクス』論争を深めたい」政策推進に必要な民意/建設的な対案が必要だ/野党は安保の見解示せ

 今回は、安倍政権の2年間の評価が問われる選挙となる可能性が大きい。野党の選挙準備が大幅に遅れ、過半数の議席を得るには候補者が不足しているからだ。

 自民公明両党は、295小選挙区のほぼ全部に公認候補を擁立するが、野党第1党の民主党の候補は160〜170人程度にとどまるとみられている。

 無論、それで今回の衆院選の重要性が減じることはない。

 安倍首相は、景気回復財政再建の両立、持続可能な社会保障制度の構築、集団的自衛権の行使を限定容認する新たな安全保障法制の整備、原発の再稼働など、困難な政策課題を抱えている。

 特に世論を二分する課題の前進には国民の理解と協力が欠かせない。衆院選で新たな民意を得て、政策の推進力を手に入れようというのが首相の総合的判断だ。

 自民、公明両党で計326の解散時勢力をどこまで守れるのか。これが首相に対する国民の信任のバロメーターである。


▼日経新聞「解散のなぜ?吹き払う政策論議を」アベノミクス工程示せ/既成政党離れ忘れるな

 このタイミングで解散権を行使した安倍首相の対応は権力闘争をくり広げる現実政治家としてはおそらく間違いではないのだろう。

 政治合理性とは権力の最大化をめざすことだとすれば、多くの人がまずノーではない再増税延期で信を問う、選挙に有利な時期を選ぶ、相手の準備が整わないところで抜き打ち的に断行する、というのは政治技術的に、たけていることになる。

 しかしこんどの解散にどこか蹴手繰りのような印象が否めないのは、増税しないのに信を問う必要があるのかという疑問がどうしても、ぬぐい去れないからだ。民主党を含めて多くの野党で、増税延期を批判し論戦を挑もうとするところはない。解散の大義名分が争点にならないのである。

 だからこそ、この「なぜ?」にしっかり答える必要がある。衆院選を経て、あらためて有権者の信任を得て政権の力を回復し、アベノミクスをさらに進めたいのなら、取り組みが手薄だったテーマを含めて道筋や工程表をはっきりと示さなければならない。

 それがなければ権力闘争としての政治に理解は得ても、利害を調整し政策を実現していくための政治には疑問符がついたままになってしまう。そこからめばえてくるのは、政治家や政党への有権者の不信感である。だれのための政治なのかという疑問だ。

 野党に目を向けると、解散を前に政党が解党するなど何ともむなしくなるようなドタバタ劇がくり広げられている。第三極もその後二つに割れてしまった。

 野党第1党の民主党は政権担当の失敗をどう反省し、果たして何を学んだのかもよく見えない。


▼産経新聞(「主張」)「衆院解散 再生進める構想を競え 憲法改正、安保も重要争点だ」集団自衛権の意義問え/責任ある社会保障論を

 安倍政権は今年、安全保障政策を大きく転換した。日米共同の抑止力を高め、同盟の絆を強めるため、憲法解釈によって禁じられていた集団的自衛権の行使を容認した。長年の懸案であり、中国に加え、核・ミサイル開発をやめない北朝鮮の脅威に対処する上でも必要だった。

 来年の通常国会には安全保障関連法制の整備が控える。行使容認や法改正の意義、内容を国民に説明する機会ともなろう。

 同時に掲げるべきものは、憲法改正だ。安倍首相は産経新聞のインタビューで「いよいよ、その橋を渡り、どういう条項を改正すべきかという段階に至っている」と語った。

 改正の中核といえるのは、日本の安全保障を確かなものとするための9条改正だ。集団的自衛権の行使容認後も、自衛隊の「軍」としての位置付けを明確にするなどの課題は残されている。

 集団的自衛権の行使容認の閣議決定をめぐり、菅義偉官房長官は「自民党はすでに憲法改正を公約にしており(信を)問う必要はない」と述べたが、争点化に慎重と受け取られないか。

 憲法改正や安全保障法制の整備が実現するまで、その重要性は繰り返し訴えるべきだ。

 民主党や公明党は、憲法改正への態度がはっきりしない。維新の党や次世代の党は、憲法論議のリード役を果たしてほしい。


▼東京新聞「衆院解散 12・14総選挙 争点決めるのは国民だ」解散、6割理解できぬ/政権の業績評価投票/岐路に立つ危機感を

 国民の賛同が得やすい政策課題を争点に設定して政権を維持できる議席を得れば、集団的自衛権の行使容認や特定秘密保護法、原発再稼働など国民の多数が反対する政策も同時に賛同を得たと主張できる−。政権側がそう考えているとしたら、狡知(こうち)が過ぎる。

 それを疑わせるのは、菅義偉官房長官が十九日の記者会見で「何を問うか問わないかは、政権が決める」と発言しているからだ。

 集団的自衛権の行使容認は、歴代内閣が堅持してきた政府の憲法解釈を変える重大な政策変更だったが、安倍内閣が国民に是非を問うことはなかった。

 「さまざまな選挙で公約していた。(信を問う)必要はなかった」「現行の憲法解釈の範囲内ということに尽きる」との説明だ。

 安倍内閣は昨年、選挙公約になかった特定秘密保護法の成立を強行したが、菅氏は「いちいち一つ一つについて信を問うということじゃないと思う」と突っぱねた。

 国民に信を問うべき政策課題では問おうとせず、問う必要のないことを、政権維持・強化の思惑から問おうとする。衆院解散は「首相の大権」だとしても、あまりにもご都合主義ではないのか。

 私たち有権者が、そんな政府の言い分に惑わされる必要はない。

 衆院選は政権与党には業績評価投票だ。安倍内閣の二年間の政策を冷静に振り返り、野党の公約と比較し、より信頼できる政党・候補者に貴重な一票を投じたい。


 朝日、産経、東京の3紙が「憲法」に触れています。特に改憲が社是、社論の産経は、積極的に争点化するように求めているようです。それぞれ社是、社論は異なっていても、この選挙で再び安倍氏と与党が多数の議席を獲得することになれば、その後の4年間で憲法改正に突き進む、との見通しは共通して持っているのだと思います。特定秘密保護法や集団的自衛権の行使を容認する憲法解釈の変更などの先にあるのは、9条を中心にした憲法改正でしょう。このブログの以前の記事(「この衆院選で問われるべきは憲法改正」)でも触れましたが、わたしは今回の衆院選で究極的に問われるべきは、やはり憲法改正の是非なのだと思います。わたしたちの社会が名実ともに戦争することを容認する社会になるのか、という問題でもあり、「表現の自由」とも密接にかかわります。沖縄が負っている米軍基地の過剰な負担をどうするのか、という問題の根源的な要因でもあると思います。憲法改正の是非は争点として論戦が行われていいと思います。

 在京各紙の紙面をめくりながら注視していたのは、沖縄の記事の有無です。

 朝日新聞は社会面に「国民全体で考えて 沖縄米軍基地」の記事を「今こそ議論に意味 原発再稼働」「行使容認も争点に 集団的自衛権」とともに並べて大きく掲載。毎日新聞は第2社会面に、東北の被災地、原発事故避難者、原発地元などの表情とともに、沖縄の有権者の声を一コマ取り上げていました。

 米軍普天間飛行場を沖縄県内の名護市辺野古地区に移設するとの日米両政府の現計画に対しては、16日の沖縄県知事選で、この計画への反対を掲げた翁長雄志氏が大差で当選したことで、沖縄の意思は明確に示されたと思います。このブログの以前の記事(「沖縄知事選と衆院解散・総選挙 ※追記:辺野古移設反対の翁長氏が当選確実」)で書きましたが、今回の衆院選の結果によっては安倍氏や政権側が「国民の総意として、辺野古移設は理解、支持を受けた」と強弁するような事態にならないか、との危惧があります。本土マスメディア選挙報道の中で、沖縄の過剰な基地負担の問題が埋没することがないように留意するべきだと思います。本土マスメディアの沖縄に対するまなざしが問われるのだと、本土マスメディアで働く一人として考えています。

2014年-11月-21日

安倍内閣支持率が低下傾向を示している中で衆院解散

 衆議院はきょう11月21日解散。安倍晋三首相が18日に解散・総選挙を表明した直後の19日から20日にかけて実施された朝日新聞共同通信の2件の世論調査結果が報じられています。そのうち内閣支持率を見てみると、朝日新聞調査が39%なのに対し共同通信調査は47・4%と開きがありますが、ともに低下傾向にある点は共通しています。同じように不支持率はともに増加傾向にあります。朝日新聞調査は、第2次安倍内閣発足以来、支持は最低、不支持は最高を更新し、初めて支持と不支持が逆転したとのことです。

▼朝日新聞:19日(水)、20日(木)実施

支持率  39%

 11月8、9日実施の全国世論調査より3ポイント減、10月25、26日実施の調査より10ポイント減

不支持率 40%

 11月8、9日実施の全国世論調査より4ポイント増、10月25、26日実施の調査より10ポイント増

※第2次安倍内閣発足以来、支持は最低、不支持は最高を更新し、初めて支持と不支持が逆転した


▼共同通信:19日(水)、20日(木)実施

支持率  47・4% 10月18、19日実施の世論調査より0・7ポイント減

不支持率 44・1% 10月18、19日実施の世論調査より3・9ポイント増


 共同通信調査について私見を補足すると、10月の調査からは0・7ポイント減で、これを「低下傾向」とみるかどうかは疑問があるかもしれません。しかし9月のその前の調査では支持率は54・9%あった点も考慮すると、低下傾向との評価も外れてはいないと思います。

 少し前になりますがNHKも定例の調査を11月7〜9日に実施しています。安倍氏が衆院解散・総選挙に踏み切る方針であることが大きく報道される直前の時期です。やはり支持率は低下、不支持率は増加の傾向を示しています。

▼NHK:11月7日(金)〜9日(日)実施

支持率  44% 前回調査(10月11〜13日実施)より8ポイント減

不支持率 38% 前回より4ポイント増


 朝日新聞によると、「この時期に解散・総選挙をすることに『反対』は62%で、『賛成』の18%を大きく上回った。消費増税の延期について『国民に信を問う』という解散理由に『納得する』は25%で、『納得しない』の65%が上回った」とのことです。

 共同通信の調査でも「安倍晋三首相が衆院解散を表明したことについては『理解できない』との回答が63・1%となり、『理解できる』の30・5%を大きく上回った」とのこと。また「望ましい衆院選結果を聞いたところ『与党野党の勢力が伯仲する』が51・4%で過半数を占めた」とのことです。

※朝日新聞サイト

 http://www.asahi.com/articles/ASGCN5GZBGCNUZPS002.html

※47news=共同通信

http://www.47news.jp/CN/201411/CN2014112001001367.html

 安倍氏は、今なら多少議席を減らすかもしれないが、それでも勝てると踏んで、消費税増税先送りを大義名分にこの時期の衆院解散・総選挙を選択したとの観測が報じられています。世論調査を見る限りは、安倍氏の判断有権者の間に理解が広がっていないようです。

 また、内閣支持率は低下傾向にあると言っても、共同通信の調査の47・4%は相当に高い水準だと感じます。

マスメディアは今後、12月14日の衆院選の投票日までに数回、有権者の投票の動向を探るための世論調査を実施します。共同通信では「トレンド調査」と読んでいます。どのような傾向が示されるのか、注視したいと思います。

2014年-11月-20日

ブロック紙、地方紙は「民意尊重」が圧倒―沖縄知事選の社説

 11月16日の沖縄県知事選の結果に対し、ブロック紙、地方紙が社説でどのように論評しているか、ネットでチェックしてみました。対象は社説を自社サイトで公開している新聞のみになりますが、17日付と18日付で計20紙の社説を読むことができました。米軍普天間飛行場名護市辺野古地区へ移設するとする日米政府の現行計画が最大争点になり、反対を掲げた前那覇市長の翁長雄志氏が大差で当選した結果に対して、これを沖縄の民意ととらえて尊重すべきだ、という点がいずれの社説にも共通しています。以前の記事で紹介したように、全国紙の社説では朝日、毎日が辺野古移設計画の白紙撤回を求めているのに対し、読売産経は現行計画の推進を主張しており、論調は2分化しています。これに対してブロック紙、地方紙は、中止や撤回、ないしは慎重な対応を求める主張が圧倒していると言っていいと思います。

※参考過去記事

「沖縄知事選の結果を伝える在京紙紙面の記録 追記・朝日新聞那覇総局長「敗れたのは誰なのか」2014年11月18日

 http://d.hatena.ne.jp/news-worker/20141118/1416285781

 20紙の社説の見出しは以下の通りです。

【17日】

北海道新聞「沖縄県知事選 辺野古案拒む固い民意」

信濃毎日新聞「沖縄県知事選 辺野古移設は中止を」

中日新聞東京新聞)「新基地拒否の重い選択 沖縄県知事に翁長氏」

福井新聞「沖縄県知事選 安倍政権は民意尊重せよ」

京都新聞「沖縄新知事  重い『移設ノー』の民意」

中国新聞「沖縄県知事に翁長氏 政府は重く受け止めよ」

徳島新聞「沖縄知事に翁長氏 辺野古反対の民意は重い」

高知新聞「【沖縄知事選】反対の民意は極めて重い」

西日本新聞「沖縄県知事選 民意の無視は許されない」

熊本日日新聞「沖縄知事選 辺野古『ノー』明確に示す」

南日本新聞「[沖縄県知事選] 移設反対の民意は重い」

【18日】

デーリー東北「沖縄県知事選 政府は民意を受け止めよ」

秋田魁新報「沖縄県知事選 基地移設論議やり直せ」

神奈川新聞「沖縄県知事選 基地政策転換は必至だ」

神戸新聞「沖縄県知事選/辺野古反対の民意は重い」

山陰中央新報「沖縄県知事選/県民の声に耳を傾けたい」

愛媛新聞「沖縄知事選 翁長氏圧勝 『辺野古ノー』黙殺許されない」

大分合同新聞「沖縄県知事選 民意はより明確になった」

宮崎日日新聞「沖縄県知事選 明確になった民意尊重せよ」

佐賀新聞「沖縄県知事選」


 この中で、米軍基地問題を本土の日本人としてどう考えたらいいのか、との観点から、印象に残った社説の一部をいくつか引用し、書き留めておきます。

▼北海道新聞「沖縄県知事選 辺野古案拒む固い民意」

設を強引に進めてきた政府に対する強い拒絶反応である。安倍晋三首相はじめ政府・与党は重く受け止めなければならない。

 辺野古での移設作業をこれ以上進めてはならない。地元の反対意見を無視する姿勢を改め、対話の道を模索することが不可欠だ。

 県民の多数は県外、国外への移設を求めている。その民意に沿った具体策を講じる必要がある。

(中略)

政府は米国に言うべきことを言わず、沖縄にばかり負担を押しつけてきた。新型輸送機オスプレイの配備も同じだ。一方で経済政策を厚くして理解を得ようとするアメとムチの発想で臨んできた。

 知事選の結果はこうした政策遂行の手法の見直しを迫っている。


▼秋田魁新報「沖縄県知事選 基地移設論議やり直せ」

 大切なのは沖縄の人々の負担を軽減するため、あらゆる選択肢を検討することだ。軍備に頼るだけでなく、外交交渉や地域安全保障の取り組みを進めるなど多様な戦略を組み立ててこそ、アジア地域の安全は確保されるはずだ。


▼神奈川新聞「沖縄県知事選 基地政策転換は必至だ」

 沖縄の基地負担軽減として同飛行場配備のオスプレイの県外訓練拡大が進む状況である。昨今、米海軍厚木基地にも頻繁に飛来しており、今回明確になった民意は本土の米軍基地周辺住民の思いにも通じるのではないか。従来、政府は選挙結果にかかわらず移設を進める考えを示してきた。このまま強硬姿勢を貫けば、沖縄だけでなく国民世論の反発を招くことは間違いない。

(中略)

 北朝鮮の核開発や中国の海洋進出を念頭に置いた米軍基地の機能や日本の補完機能の強化。日米防衛協力指針の改定や安全保障法制の整備が具体化する来年は、くしくも「戦後70年」に当たる。この間、日本は平和を貫いてきた。沖縄知事選の結果に鑑み、戦争放棄を掲げた憲法の意味をあらためて確認したい。


▼信濃毎日新聞「沖縄県知事選 辺野古移設は中止を」

 普天間飛行場は宜野湾市の市街地にある。住宅地に近接し、危険性が高い。返還は一日も早く実現しなければならない課題だ。とはいえ、県内での移設は沖縄の負担軽減にならない。普天間の固定化か辺野古移設か―の二者択一を迫るのが、そもそもおかしい。

 移設を強行すれば、地元との溝はますます深まる。政府は県外移設など県民が納得できる負担軽減策を真剣に検討すべきだ。


▼福井新聞「沖縄県知事選 安倍政権は民意尊重せよ」

 沖縄県知事選で、米軍基地に対する県民の意思が明確になった。普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古沿岸への移設に反対する前那覇市長翁長雄志(おながたけし)氏が、移設推進の現職仲井真弘多(なかいまひろかず)氏らを破り初当選した。基地問題は沖縄に押しつけているだけでは何も解決しない。沖縄が抱える厳しい現状を直視し政府、国民全体で「負担の解消」を考えていくべきではないか。

 長く基地問題に翻弄(ほんろう)され続けてきた沖縄県民だ。住宅が密集し「世界一危険」とされる普天間飛行場を固定化させたい県民はいないだろう。また移設すれば解決するものでもなく、県民は米軍基地そのものに強い拒絶感を示したのだ。この日、那覇市長選でも移設反対の候補が当選した。

 日本全体の0・6%にすぎない県土に米軍専用施設全体の約74%が集中。米兵による女性暴行事件や傷害事件などが相次ぎ、普天間隣接地でヘリ墜落事故も起きた。事故や事件が発生するたびに捜査は不平等な日米地位協定の厚い壁に阻まれてきた。県内移設や基地面積の縮小だけでは「基地負担軽減」には程遠い。


▼神戸新聞「沖縄県知事選/辺野古反対の民意は重い」

 消費税の再増税を延期して解散・総選挙の方針を固めたとされる安倍晋三首相は、国民生活に大きな影響を与える課題は選挙で信を問うべきとの認識を示した。そうした考えに基づけば、重大な争点に対して示された民意の重みは、地方選挙でも変わらないはずではないか。


▼中国新聞「沖縄県知事に翁長氏 政府は重く受け止めよ」

 今回の選挙戦では「自己決定権」という言葉が目に付いた。「地元のことを住民抜きで決めるな」といった自治の根本だろう。最大限、尊重されなければなるまい。


▼西日本新聞「沖縄県知事選 民意の無視は許されない」

 今回の知事選で特徴的なのは、従来の「保守対革新」の構図が崩れ、保守政治家の翁長氏が自民党政権の政策に反旗を翻して、それを県民が支持したことだ。「基地負担を押し付ける本土」対「これ以上の基地負担を拒否する沖縄」という「本土対沖縄」の構図ができつつあることを示している。

 もし、政権がこの状況を軽視し「国家の論理」を沖縄に押し付け続ければ、沖縄の心はますます本土から離れてしまう。沖縄と本土との一体感さえ揺らぎかねない。

 安倍政権は、沖縄の民意を正面から受け止め、あらためて米国と協議して「辺野古」以外の選択肢を検討してほしい。一地域の犠牲の上に成り立つ安全保障政策など、もう限界だと悟るべきだ。


▼宮崎日日新聞「沖縄県知事選 明確になった民意尊重せよ」

 政府は、早ければ2015年夏ごろには埋め立て工事へ突入する構えだ。政府や自民党幹部の一部には、辺野古移設を進めるとともに、翁長氏の取り込みを模索する動きが出ている。

 仲井真氏は当初「県外移設」を訴えながら、振興策などと引き換える形で、昨年末、辺野古沿岸部の埋め立てを承認した。翁長氏を翻意させて、いわば「第2の仲井真知事」にしようという戦略だ。

 しかし「第2の仲井真知事」化による辺野古移設強行は、明確になった沖縄県の民意を踏みにじり、分断する試みにほかならない。万が一、実現にこぎ着けたとしても、これまでにない反発を招き、事態を深刻化させるだけだろう。

 普天間飛行場移設は、在日米軍専用施設の約74%が集中する沖縄県の基地負担軽減の象徴である。そもそもの問題点は、基地負担軽減といいながら、その方法が「県内移設である」という矛盾にある。基地負担軽減は、沖縄県だけではなく日本全体の問題だという翁長氏の主張は問題の核心だ。

 折しも安倍晋三首相は、来年10月に予定されている消費税の10%への増税を先送りし、衆院を解散する意向を固めた。この判断には、有権者がまず沖縄の声に耳を傾けて1票の選択に臨むべきだ。

【写真説明】17日付の琉球新報紙面。県知事選の結果を1面と最終面とをつないで大きく報じています。

f:id:news-worker:20141118133417j:image

 沖縄の新聞2紙の関連の社説も見出しとリンクを紹介しておきます。沖縄タイムスの20日付「[普天間問題]「本土」が問われている」は、本土の新聞の論調を論じた内容です。

▼沖縄タイムス

17日「[県知事に翁長氏]辺野古に終止符を打て」

http://www.okinawatimes.co.jp/article.php?id=90861

18日「[10万票差の深層]意識変化 大きな流れに」

 http://www.okinawatimes.co.jp/article.php?id=90982

20日「[普天間問題]「本土」が問われている」

 http://www.okinawatimes.co.jp/article.php?id=91331

▼琉球新報

17日「新知事に翁長氏 辺野古移設阻止を 尊厳回復に歴史的意義」

 http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-234623-storytopic-11.html

18日「那覇市長に城間氏 果敢に公約実行を 県都でも民意が動いた」

 http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-234669-storytopic-11.html


※追記 2014年11月20日10時35分

 この記事をアップした直後、北國新聞(本社金沢市)も20日付で関連の社説をサイトにアップしているのに気付きました。

▼北國新聞「普天間飛行場移設 振り出しに戻れるのか」

 一部を引用します。

 翁長氏は、国土面積の1%に満たない沖縄県に米軍施設の74%が集中する現状を改めるため、基地負担を日本全体で引き受けるべきと訴えた。そうした沖縄県民の心情を政府も本土の国民も重く受けとめなければならない。ただ、沖縄の厳しい現状を理解した上での長い議論の末に辺野古への移設に落ち着いた経緯があり、振り出しに戻すのも困難である。

 日米安保条約によって東アジアの安定を保つ日本の安全保障戦略は、要衝に位置する沖縄の人たちの我慢の上に成り立ってきた。本土からすれば心苦しいことであるが、国防を担う政府としては負担軽減に努めながら、なお沖縄県民に受忍をお願いせざるを得ないことも翁長氏は分かってほしい。

 そのためには、政府も沖縄振興費を取引材料に使うようなことはせず、真摯(しんし) な対話に努めなければなるまい。翁長氏は日米安保体制そのものの重要性は理解しているとされ、まず基本的な認識を共有するところから話し合いを始めるのがよいのではないか。

2014年-11月-19日

この衆院選で問われるべきは憲法改正

 安倍晋三首相が18日、消費税増税の延期と、衆院を21日に解散することを表明しました。安倍氏記者会見で「国民生活にとって重い決断をする以上、速やかに国民に信を問うべきだ」「消費税率の引き上げを18カ月延期すること、平成29年4月には確実に10%へ消費税率を引き上げることについて、そして、私たちが進めてきた経済政策成長戦略をさらに前に進めていくべきかどうか、国民の判断を仰ぎたい」(産経新聞の詳報より引用)などと述べました。会見はNHKの午後7時の全国ニュースで中継されており、わたしも職場で見ました。首相は、解散の理由はあくまでも消費税再増税の延期であり、経済政策への信を問うためである、と言っているように聞こえました。市井の生活者で増税を歓迎する人はまずいないでしょうし、いても極めて少数であることに異論は少ないと思います。そんなことから、安倍氏が挙げる理由では解散の大義たりえない、大義のない解散・総選挙ではないか、との批判が野党などから出ていると報じられています。わたしも、世論が割れる中で国会での採決が行われた特定秘密保護法や、国会審議のないまま閣議決定で決まった集団的自衛権の行使容認など、増税先送りよりも前に、国民の信を問うべき政治テーマはいくつもあったはずだと考えています。今回の衆院解散・総選挙には正直、違和感が残ります。

※産経新聞「【衆院選】首相会見詳報」

http://www.sankei.com/politics/news/141119/plt1411190013-n3.html

 18日の安倍首相の会見での発言は、東京発行の新聞各紙(朝日、毎日、読売日経産経、東京)とも19日付朝刊の1面トップで大きく扱い、ほかに関連記事も多数載っています。

【写真説明】在京各紙の19日付朝刊の1面

f:id:news-worker:20141119231936j:image

 各紙の紙面を読み比べる中で、もっとも目を引かれたのは、産経新聞の1面に掲載された「首相、一気に勝負手改憲へ布石」という見出しの記事です。書き出しは以下の通りです。

 安倍晋三首相が消費税再増税を先延ばしし、衆院解散・総選挙の断行を決めたのは、大目標である憲法改正に向け、できるだけ議席を失わずに済むタイミングは今だと考えたからだ。

 もっとも安倍氏に近いマスメディアの一つである産経新聞のベテラン政治記者阿比留瑠比氏の簡潔で分かりやすい指摘です。後述するように、各紙とも社説ではこの衆院解散・総選挙の大義や、選挙で問われるべきものについて論じていますが、実はこの総選挙で究極的に問われるべきなのは、憲法改正の是非なのだと思います。

 この記事はネット上の同紙サイトでも読めます。

 http://www.sankei.com/politics/news/141119/plt1411190016-n1.html

 各紙とも19日付の社説でも解散・総選挙を取り上げており、この衆院解散・総選挙に大義があるか、衆院選で問われるべきは何なのか、それぞれに論を展開しています。以下に各社の見出しを小見出しも含めて書き留めておきます。これだけでも、各紙ごとの論調の違いがある程度、読み取れるのではないかと思います。

朝日新聞「首相の増税先送り―『いきなり解散』の短絡」解散に理はあるか/国民の思い逆手に/「信を問う」の本音は

毎日新聞「首相 解散を表明 争点は『安倍政治』だ」自らの政権戦略を優先/戦後70年に向けた審判

読売新聞「衆院解散表明 安倍政治の信任が最大争点だ」消費再増税できる環境が要る/体制をリセットする/アベノミクスどう補強/社会保障財源の確保を

日経新聞「アベノミクスに通信簿つける選挙」難しい途中での評価/他の課題にも目配りを

▼産経新聞「首相解散表明 『安倍路線』の継続を問え 経済再生へ実りある論戦を」政治の安定が不可欠だ/集団自衛権にも審判を

東京新聞「衆院21日解散へ 『安倍政治』問う機会に」増税先送りを大義に/格差拡大は経済失政/低すぎる勝敗ライン

 沖縄知事選などと同じように、安倍政権に批判的な朝日、毎日、東京と、安倍政権に好意的な読売、産経という傾向はここでも変わらないように感じます。解散の目的について、朝日の社説は「あまりに都合のよい使い分け」「乱暴な民主主義観」と厳しく批判しています。少し長くなりますが、社説の一部を引用します。

 首相は昨年の特定秘密保護法案の審議や今夏の集団的自衛権の容認をめぐる議論の過程では、国民の審判を仰ぐそぶりすら見せなかった。

 表現の自由平和主義という憲法価値の根幹にかかわり、多くの国民が反対した問題であるにもかかわらずだ。

 国論を二分する争点は素通りし、有権者の耳にやさしい「負担増の先送り」で信を問う。政治には権力闘争の側面があるにせよ、あまりに都合のよい使い分けではないか。

 首相は先の通常国会で、憲法解釈の変更について「最高の責任者は私だ。そのうえで私たちは選挙で国民の審判を受ける」と答弁した。「選挙で勝てば何でもできる」と言わんばかりの乱暴な民主主義観である。

 来年にかけて安倍政権は、原発の再稼働や集団的自衛権の行使容認に伴う法整備など、賛否がより分かれる課題に取り組もうとしている。

 世論の抵抗がより強いこれらの議論に入る前に選挙をすませ、新たな4年の任期で「何でもできる」フリーハンドを確保しておきたい――。

 そんな身勝手さに、有権者も気づいているにちがいない。

 毎日新聞も、結論としては「最大の争点は安倍政治」としつつ、やはり解散表明までの経緯には以下のように、「自らの政権戦略を優先させたのではと疑わざるを得ない」と疑義を示しています。

 実に不可思議な展開だった。

 安倍首相が国際会議で外国を訪問している最中に、消費増税の先送りを大義名分にした年内解散論が急浮上した。そして首相の帰国を待たずに12月2日公示、14日投票という総選挙日程が既定路線になった。

 消費税率は今年4月の8%に続き、来年10月には10%にすることが法律に明記されている。ただ、首相は景気への影響を見極めるとして、12月初旬に出る7〜9月期の国内総生産(GDP)の確定値を待って最終判断すると話していた。

 ところが、実際には有識者からの聞き取り作業も終わらないうちに先送りを決めていた。初めに結論ありきで、自らの政権戦略を優先させたのではと疑わざるを得ない。

 東京新聞も「地方創生と女性の活躍推進が最大の課題と言いながら、女性活躍推進法案は廃案となる見通し」であることなどを挙げて、以下のように指摘します。

 政権が重要法案と位置付けていたものを棚上げしてまで解散を急ぐのは、政権の成果よりも解散時期を優先させた証左でもある。

 今回の衆院選では、自らの「延命」を優先する首相の政治姿勢も含めて、問われるべきだろう。

 一方、読売新聞の社説は異例の経緯だったことを挙げつつ、以下のように安倍氏へ理解を示しています。

 安倍政権は今、多くの難しい課題に直面している。消費増税先送りと連動したアベノミクスの補強、集団的自衛権の行使容認を反映する新たな安全保障法制の整備、原発の再稼働などである。

 あえて国民の審判を受け、勝利することで、政策遂行の推進力を獲得し、政治を前に進めようとする首相の決断に異論はない。

 長年のデフレからの脱却を最優先して、経済政策を総動員する。「積極的平和主義」を体現し、日米同盟安保政策を実質的に強化する。こうした安倍政治の信任を得ることが解散の大義だろう。

 首相は、自らの言葉で、こうした意図を国民に繰り返し説明することが求められる。

 そもそも「伝家の宝刀」と呼ばれる解散の判断は、首相の専権事項である。「常在戦場」の構えを怠り、選挙準備が遅れている野党が「党利党略」と首相を批判しても、説得力を持つまい。

 これだけ理解あふれる読売にしても、「首相は、自らの言葉で、こうした意図を国民に繰り返し説明することが求められる」と注文は付けざるを得ないようです。

 安全保障政策については、産経新聞の社説(紙面では「主張」の表記)も以下のように強調しています。

 野党は、集団的自衛権の行使容認の決定や秘密保護法の制定などをとらえ、安倍政権が民意を無視した政治を進めているなどと批判してきた。なぜ、それらの問題で解散を求めなかったのか。

 集団的自衛権で日米共同の抑止力を高めることは極めて重要である。安全保障法制の見直しとともに、自衛隊にどのような活動が可能になるのかを与党は分かりやすく説明する必要がある。

 首相は米軍普天間飛行場辺野古移設や憲法改正を引き続き目指す姿勢も明確に打ち出したうえで、国民の信任を得るべきだ。