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2015年-05月-23日

「沖縄県民大会に3万5千人」の報じ方〜本土紙の中に生じた変化

 日がたってしまいましたが、記録の意味で書きとめておきます。

 沖縄の米軍普天間飛行場の移設先として、名護市辺野古に新基地を建設する日米両政府の計画に反対する沖縄県民大会が5月17日、那覇市で開かれました。参加者は主催者発表で3万5千人。主催の実行委員会は、翁長雄志知事を支える県議会与党経済界有志、市民団体などで構成されました。沖縄タイムス琉球新報両紙とも18日付紙面は1面と最終面をつなぎ、びっしりと人で埋まった迫力ある写真を大きく載せた特別版でした。翁長知事は沖縄言葉で「沖縄人をないがしろにしてはいけない」と訴えたと報じています。

【写真説明:沖縄県民大会の熱気を伝える琉球新報の紙面】

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 この県民大会について、日本本土(ヤマト)の報道は扱いがはっきり分かれました。

 東京発行の新聞各紙では朝日、毎日、東京の3紙は1面に会場の写真を3〜2段で掲載。社会面でも3段、4段の見出しを立てて報じました。もっとも扱いが大きかったのは東京新聞で、1面は準トップ、第2社会面のほぼすべてを使って関連記事を掲載したほか、総合面にも解説や大会決議全文を載せました。

 この日の紙面の1面トップは各紙とも、橋下徹大阪市長の宿願だった「大阪都構想」が大阪市住民投票の結果、否決されたニュースでしたが、東京は1面に橋下氏の写真は載せておらず、また朝日、毎日も1面の県民大会の写真は、位置こそ橋下氏記者会見の下の真ん中のあたりでしたが、大きさは引けを取りません。

 対照的だったのは読売産経の両紙。読売新聞は第2社会面に短信スタイルの12行、産経新聞は総合面に22行でした。ともに写真はなく、産経新聞には参加人数の記載もありませんでした。この違いは、辺野古移設方針を社論として支持するか否かの違いと一致していると言っていいでしょう。

【写真説明:左から東京新聞、朝日新聞毎日新聞の各1面】

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 このブログでは以前から、沖縄の過剰な基地負担の問題を沖縄以外のマスメディアがどう報じるかを記録してきました。沖縄の基地の問題は沖縄という地域に固有の地域の問題ではありません。日本国が国策の一環として、基地負担を沖縄に強いています。だから何よりも、日本国の主権者である日本国民の間に問題の所在が知られ、意識されていなければなりません。そのためには、沖縄以外の日本本土でマスメディアが基地問題をどう報じているか、沖縄で起きていることをどう報じているかが重要です。本土マスメディアの報道を記録してきたのはそれが理由です。

 以前は、例えば東京発行の各紙の紙面では、「辺野古」という地名が紙面に出るとすれば、日米間で普天間飛行場の移設計画が見直されるなど、各新聞社の東京本社政治部が取材する大きなニュースがあるときぐらいでした。ほんの10年くらい前までは、在京紙の論調も大きくは割れておらず、普天間飛行場の1日も早い危険除去のためには、辺野古移設(ただし現行の沿岸部ではなく、その前の沖合案でしたが)が必要という点では、基本的には一致していました。2005年10月に日米間で、現在の辺野古沿岸部案が決まった際には、「今回の合意に沿って、一刻も早い解決を図るしかない」「そのために政府は地元を説得する責任がある」との論調が主流だったように記憶しています。

※参考過去記事 過去ブログ「ニュース・ワーカー」

「沖縄で『在日米軍再編』報道を考えた」=2006年2月13日

 http://newsworker.exblog.jp/3523538/

 そんな東京発の東京目線の記事はあっても、沖縄の人たちと同じ地平にまで目線を下げ、沖縄の人たちの声をヤマトに届けよう、紹介しようとする記事は、少なくとも新聞の1面には見当たりませんでした。その当時と比べれば、日本本土の新聞の中に、報道姿勢に変化を遂げた新聞が出てきたと言っていいと思います。その契機になったのは、民主党中心の政権に変わり、当時の鳩山由紀夫首相が普天間飛行場の移設先を「最低でも県外」と唱え、公約を守ろうと様々に動きながら、結局は断念せざるを得なかった2009年から2010年ではなかったか、と個人的には考えています。

 ※参考過去記事

「『なぜ沖縄』の疑問に応えていく報道を〜ヤマトメディアに起きた無自覚の変化」=2010年5月30日

 http://d.hatena.ne.jp/news-worker/20100530/1275180587

 今年の春以降、「オール沖縄」をバッググランドにする翁長知事が安倍晋三首相や菅義偉官房長官を前に一歩も引かず、日本政府が沖縄に基地負担を強いるさまを「政治の堕落」と言い切る様子が広く報じられました。日本本土でも関心が高まり、政府方針を疑問とする見方が増えていることは、各メディアの世論調査で明らかです。沖縄の過剰な基地負担の問題は、大きな潮目にさしかかっているのではないかと感じます。そのような状況だからこそ、本土メディアが沖縄で何が起きているかを伝えることには、今まで以上に大きな意味があります。責任もまた大きいと思います。

 わたしも身を置く本土マスメディアのジャーナリズムが社会的な責任を果たしているのか否かの観点から、引き続き、本土紙の動向を見ていきたいと思います。

2015年-05月-18日

なぜ橋下徹氏はこんなに潔いのか

 大阪市の橋下徹市長の宿願だった「大阪都構想」の賛否を問う大阪市の住民投票は17日、即日開票の結果、賛成69万4844票、反対70万5585票で否決されました。投票率は66・83%でした。

※「『大阪都構想』否決 橋下氏、政界引退を表明」(47news=共同通信

 大阪市を廃止し、五つの特別区を新設する「大阪都構想」への賛否を問う住民投票が17日投開票され、反対70万5585票、賛成69万4844票のわずか1万741票差で否決された。大阪維新の会代表の橋下徹市長は市内で記者会見し、12月までの市長任期を全うした上で政界を引退する意向をあらためて表明した。

 維新の党の江田憲司代表ら執行部も18日未明、総退陣を表明した。野党再編や、維新の党との連携を見据えていた安倍晋三首相改憲戦略にも影響しそうだ。

 投票率は66・83%で、大阪府知事選とのダブル選となった2011年の市長選の60・92%を5・91ポイント上回った。

 さしあたっての感想です。とりあえず感じることをいくつか、書きとめておきます。

 橋下氏は12月までの市長任期をもって政治家を引退するとのことですが、本当に「大阪都」が必要と信じて疑わないのであれば、何度でも実現を目指すという道の取り方、選び方もあるように思います。ましてや住民投票の結果は僅差です。なぜそうしないのか。以前、このブログで書いたことですが、わたしは橋下氏にとって政治や「大阪都構想」は「自分探し」だったのではないか、との仮説を持っています。

 ※参考過去記事「『背を向ける有権者』『怒る無効票の山』『勝者不在 続く混迷』〜橋下氏再選を伝える在阪紙の紙面」2014年3月25日

  http://d.hatena.ne.jp/news-worker/20140325/1395711606

 政治家になって何をしたい、あれをしたい、これをやりたい、というコアがないままに人気先行で大阪府知事になり、そして「さあ、何をやろうか」となった時に目についたのが統治機構論、つまり大阪都構想だったのではないか、との仮説です。今回の政治家引退の「潔さ」は、この仮説の裏付けの一つになるのではないかと感じます。

 一方で橋下氏は随所で、意見が異なる相手と対話を尽くすというよりは「民意がすべて」「選挙で選ばれた自分が正しい」という理屈でねじ伏せるような手法を取ってきました。だから、住民投票で負けた以上は自分は退場する、という潔さを示しているのかもしれません。そうであっても「大阪都」が必要と信じてやまないのであれば、自らは退くけれどもその後のことを誰かに託す、なおあきらめずに実現をめざす政治運動を残す、というやり方もあるだろうとも思います。大阪市長の任期いっぱい、橋下氏の言動に注目したいと思います。

 もう一つ思うのは、教職員に式典での日の丸掲揚、君が代の起立斉唱を義務付けた条例のように、橋下氏と大阪維新の会が大阪府や大阪市で作った、公務員へ過剰とも思える規律を要求するいくつかの条例のことです。橋下氏の行政手腕の特徴の一つは、職員組合との徹底的な対決路線でした。そこから日の丸君が代条例などが生まれたのですが、一方で職員組合をめぐって職員に実施したアンケートが不当労働行為と認定されるなど、行き過ぎも明確に指摘されています。仮に大阪市長の任期満了で引退するとして、橋下政治が終わってもこれらの条例は残ったまま、ということになるのかどうか、気になります。


 住民投票の結果は東京発行の新聞各紙も18日付朝刊の1面トップでそろいました。

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2015年-05月-17日

「戦場に立つことになる自衛官」を伝える新聞、伝えない新聞〜安保法制閣議決定の在京紙報道の記録

 安倍晋三政権は5月14日の臨時閣議で、自衛隊の活動をめぐり、集団的自衛権の行使容認やPKO活動中の駆けつけ警護、他国軍への弾薬の供与など、従来は憲法9条によって「できない」とされていた分野へ拡大する内容の関連法案を閣議決定しました。

※「安保関連法案を閣議決定 首相抑止力が向上』」47news=共同通信

 http://www.47news.jp/CN/201505/CN2015051401001376.html

 政府は14日、臨時閣議を開き、自衛隊の海外活動拡大を図る新たな安全保障関連法案を決定した。歴代政権が憲法9条下で禁じてきた集団的自衛権行使を可能とするなど、戦後堅持した安保政策の歴史的転換に踏み切る内容だ。15日に衆院へ提出し、今月下旬から審議入りする見通し。夏までの成立を目指す政権と、対決姿勢を鮮明にする民主党など野党との論戦が激化する。安倍晋三首相は記者会見し、法整備と日米同盟強化を通じ「抑止力がさらに高まる」と理解を求めた。

 首相は「不戦の誓いを将来にわたって守り続け、国民の命と平和な暮らしを守り抜く決意の下、平和安全法制を閣議決定した」と表明。

 日本の安全保障政策や、専守防衛の「国是」の歴史的な大転換であり、大きな変容です。従来は政府自身の憲法解釈でも「できない」とされていたものを、一政権の解釈変更で「できる」としてしまうのですから、意味合いは憲法改正にも匹敵するのだと思います。こうした憲法解釈の変更が有効だとなると、では憲法とは何なのか、憲法などなくても構わないではないか、との極論、つまりは憲法の事実上の機能停止にまで、やがては行き着くのではないかと危惧します。

 憲法99条には、公務員の憲法尊重、擁護の義務規定があります。国務大臣国会議員は条文で名指しされています。この条文に照らして、この閣議決定は憲法違反であることを疑う余地があるのではないでしょうか。

 第九十九条  天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。

 この大きなニュースを東京発行の新聞各紙(朝日、毎日、読売日経産経、東京)は、15日付朝刊の1面トップに据え、関連記事も大量に掲載しました。1面の主な記事と社説の見出しを書き出してみます。紙面の論調として、反対ないし批判的か、支持するかに分けて記録します。日経新聞は1日前の14日付朝刊で「具体例に基づく安保法制の議論を」との社説を掲載しています。安保法制整備に理解を示しているようにも読み取れますが、読売新聞産経新聞とは明らかに距離があるように思えますので便宜上、中間派としておきます。

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【反対、批判的】

朝日新聞

1面トップ「政権、安保政策を大転換」「法案閣議決定 国会審議へ」「首相『脅威に切れ目なく』」

1面「政治の責任 見失うな」立松朗・政治部長

社説「安保法制、国会へ この一線を越えさせるな」合意なき歴史的転換/平和国家の変質/国会がなすべき仕事

毎日新聞

1面トップ「安保政策 歴史的変換」「関連法案を閣議決定」「集団的自衛権容認」「首相『抑止力高まる』強調」

1面・解説「責任ある論戦が必要」

社説「安保法案 国会提出へ 大転換問う徹底議論を」/「専守防衛」に反する/国民の納得には程遠い

東京新聞

1面トップ「『戦える国』是非は国会に」「問われる国民主権」「安保法案 閣議決定」

※本記のほかに金井辰樹・政治部長の署名評論記事

1面「首相会見 切れ目ない法整備強調」/「臨時閣議わずか10分」

社説「安保法制閣議決定 専守防衛の原典に返れ」平和安全法制の欺瞞/憲法、条約の枠超える/岐路に立つ自覚持ち


【支持】

▼読売新聞

1面トップ「日米同盟の抑止力強化」「安保法案 閣議決定」「集団的自衛権を限定容認」「首相『切れ目ない備え』」

1面「複雑な法案 政府に説明責任

1面「周辺国の脅威に対応」憲法考・上

社説「安保2法案決定 的確で迅速な危機対処が肝要 日米同盟強化へ早期成立を図れ」軍事環境悪化の直視を/専守防衛は維持される/ガイドラインと一体で

▼産経新聞

1面トップ「首相『平和へ切れ目ない備え』」「安保法案を閣議決定」「『米国の戦争、巻き込まれず』」

1面「集団的自衛権 14年かけた『責務』」

社説(「主張」)「安全保障法制 国守れぬ欠陥正すときだ 日米同盟の抑止力強化を急げ」時代の変化に向き合え/制約より活用の議論を


【中間】

▼日経新聞

1面トップ「安保政策 転換点に」「関連法案を閣議決定」「集団的自衛権可能に」「首相『歯止め厳格』」


 この日の紙面でもっとも印象に残るのは社会面のつくりの違いであり、中でも実際に戦場に立つことになる自衛官の取り上げ方です。

 朝日、毎日、東京の3紙はそれぞれ社会面にも関連記事を大きく展開しています。朝日新聞の社会面には「紛争地派遣に現実味」「自衛官 覚悟と戸惑い」などの見出しとともに、イラクへ派遣された経験を持つ陸自幹部ら自衛官、その家族らの声を紹介しています。

 毎日新聞は社会面見開きで関連記事を掲載。第1社会面トップには「現場『なぜ行くのか』」「自衛隊に戸惑い」の見出しで、同じように現役自衛官らの声を紹介。さらに防衛大学出身という滝野隆浩・東京社会部編集委員(55歳)の「本当に撃てるのか」との署名記事が目を引きます。東京新聞も第1社会面に「『駆けつけ警護?ふざけんな!』」「若い自衛官不安の本音」との見出しを取り、自衛官の声を紹介する記事を掲載しています。

 これに対して読売新聞は第2社会面に「深い議論 求める声」の見出しで関連記事を掲載。「自衛隊『安全確保に配慮』」の見出しもあり、陸自幹部の「その場で立ちすくむことのないよう訓練が必要」など、組織としての対応は紹介されていますが、個々の自衛官の思い、との観点の記事ではありません。産経新聞は社会面に関連記事がありません。

 今回の閣議決定は安保政策という大きなテーマの話ではあるのですが、視線をわたしたちの周囲に移すと、実際に戦闘の場に立つのはだれか、という問題に行き当たります。それは現場の自衛官です。創設以来、一人も戦死することなく、また一人も戦闘行為で殺害することもなくここまで来ました。仮にこの法案が国会を通って成立すれば、これからは自衛官がだれかを戦場で殺害するのかもしれず、自衛官が殺害されるのかもしれません。

 仮に自衛官の戦死者が出た時、あるいは自衛官が戦闘でだれかを殺害した時、わたしたちの社会はその衝撃を受け止めきれるでしょうか。その自衛官は顔を知っている隣りのだれか、あるいはだれかの家族かもしれないのです。そもそも、専守防衛を旨とし、そのための訓練を受けてきた自衛官が、日本を離れた場所でどこかの国の見知らぬ人を本当に撃てるのか。そうしたことに思いを致し、当事者の個々の自衛官や家族の目線で取材することも、この問題を多面的に報じるために必須だろうと思います。

 仮に自衛隊が戦闘に加わることになった時には、マスメディアはそれをどう報じるかという問題に直面することになります。取材者の安全面もさることながら、同行取材に伴って自衛隊や防衛省、政府による情報統制の問題が必ず出てくることと思います。イラク派遣の際にも情報統制の問題はありました。このことはまたあらためて書きたいと思います。


 前述の毎日新聞東京社会部の滝野隆浩編集委員の「本当に撃てるのか」は強く印象に残りました。ネットでも読めます。

※毎日新聞「安保法案:本当に撃てるのか…防衛大卒55歳記者は聞いた」2015年5月15日

 http://mainichi.jp/select/news/20150515k0000m010150000c.html

 一部を引用します。

 親しい陸自将官OBは「憲法9条で守られてきたのは実は自衛隊だった」と漏らす。日本に攻めてきた敵とは戦う。だが、海外で自衛官が殺したり殺されたりする事態は、9条により免れてきた、と。「自衛隊は創設から60年、1発の銃弾も撃っていない」といわれる。部内ではそれが少々恥ずかしいことのように言われるが、私は日本人の誇りだと思う。その封印がいま、解かれようとしている。

 米陸軍元中佐のデーブ・グロスマンは著書「戦争における『人殺し』の心理学」で、まず「人には、人を殺すことに強烈な抵抗感がある」と指摘する。同書によると、第二次大戦米軍兵士が敵に向かって撃てた発砲率は15〜20%だった。その後、敵を非人間視させる訓練法などにより、朝鮮戦争で55%、ベトナム戦争では90〜95%に高まった。実際に撃った兵士が、後に命じた指揮官よりも重いトラウマ(心的外傷)に苦しむという。

 自衛官は本当に、撃てるのか−−退官した同期生に私は聞いてみた。「やるさ。おれたちはこれまでずっとキツいことやってきた」。政治が決めたことに従うのは当たり前だという。そして、最後にこう言い添えた。「60年遅れで、自衛隊は米軍に追いつこうとするんだろうな」

2015年-05月-12日

「大阪都構想」投票1週間前、「反対」が「賛成」上回る

 大阪市を廃止し五つの特別区を新設する「大阪都構想」について、大阪市民に賛否を問う住民投票が5月17日に実施されます。投票まで1週間のタイミングで、大阪市民を対象にした世論調査の結果が、東京発行の11日付の新聞紙面でもそろって紹介されました。反対が賛成を上回ることで一致しています。しかし、大阪都構想を掲げる橋下徹大阪市長の地元での人気は、ほかの地域ではみられない独特のものがあります。あと数日間、予断は禁物だと思います。

 記録の意味で、マスメディア各社の世論調査結果を書きとめておきます。

朝日新聞朝日放送:9、10日実施 反対43%、賛成33%

毎日新聞:9、10日実施 反対47・8%、賛成39・5%

読売新聞:8―10日実施 「反対が賛成を上回った」 ※「区割り案について」は反対50%、賛成34% 


 この構想はもともとは、大阪市ばかりでなく堺市も解体して特別区を設置し、東京都のような組織に再編するとの内容で、大阪府知事時代からの橋下氏の持論でした。この構想の実現を旗印に、大阪議会大阪市議会、堺市議会の自民党議員らが離党し、橋下氏の下に集まって立ち上げたのが地域政党である「大阪維新の会」です。そして、地元・大阪での圧倒的な人気を背景に、国政進出のために「日本維新の会」が発足し、曲折の末に今日の「維新の党」へ連なっています。橋下氏は「維新の党」では最高顧問の肩書で、国政とは距離を置き大阪都構想の実現に専念するとしていますが、党内に強い求心力を持つことには異論がないでしょう。仮に大阪都構想が住民投票で否決されるならば、橋下氏の政治家としての信条が大阪市民に拒否されたも同然となります。そのことは大阪維新の会の存在意義、拠って立つ価値観そのものを揺るがすことになり、ひいては維新の党にも大きな影響を与えることになるだろうと思います。

 勤務先の人事異動で昨年春に大阪を離れるまでの3年間、わたしの仕事の上での最大関心事の一つが橋下氏と大阪維新の会の動向であり、大阪都構想の帰趨でした。わたし自身は、この構想は堺市の離脱が確定的になった時点で、本来の内容と趣旨から変質していたのではないかと考えています。目指していたのは、大阪全体の統治構造を変革して、東京に匹敵し、国際都市間でも競争力を持つ広域自治体に大阪を作り変えることだったのではないかと、わたしなりに理解しています。ひと口に「大阪都構想」と言っても、政策としてまとまる以前のアイデアの段階から、今回の住民投票の対象になっているいわば「確定案」「最終案」の段階まで、その内容にも幅があるのだとは思いますが、世に知られるようになったもともとの段階では、大阪市と堺市という二つの政令指定都市、さらには場合によってはその周辺のいくつかの都市も含めての特別区への再編構想だったはずです。ダイナミックな発想でした。しかし2013年9月の堺市長選で、構想に明確に反対を掲げた現職の竹山修身氏が大阪維新の候補を大差で破って再選され、現実には大阪市のみの解体・再編案にとどまることとなりました。

 昨年春に東京に移ってからは、当然のことですが、大阪都構想や橋下氏、大阪維新の会について、わたしが接する情報量(街を行きかう人々の会話といったものも含めて)も、日々手に取る新聞紙面に載る記事の量も減りました。大阪市の廃止と特別区の設置だけで、当初描かれたような大阪の活性化は実現可能なのかどうか。そうした点も含めて、大阪市民がどんな判断を示すのか、また可否どちらの結果にせよ、マスメディアがどのように報じるのか、どんな分析と解説を示すのか、注目しています。

2015年-05月-09日

6月11日に東京でシンポジウム「ヘイトスピーチとナショナリズム」

 案内をいただいたシンポジウムのお知らせです。

 ※座席の確保など詳細は創出版ホームページへ http://www.tsukuru.co.jp/

シンポジウム「ヘイトスピーチとナショナリズム」

6月11日(木)18時15分開場 18時40分開会 21時半閉会

会場:文京シビック小ホール(2階) 

http://bunkyocivichall.jp/access

東京メトロ丸ノ内線南北線 後楽園駅>【直結】

都営地下鉄三田線大江戸線 春日駅文京シビックセンター前)>文京シビックセンター連絡通路【直結】

JR総武線水道橋駅>【徒歩約10分】

定員:361人 入場料:1000円

出演者:香山リカ精神科医)/佐高信(評論家)/森達也(作家・監督)/雨宮処凛(作家)/安田浩一ノンフィクションライター)/山田健太専修大教授)/小林健治(にんげん出版)/鈴木邦男一水会顧問)/他

他民族を「殺せ!」と絶叫するという過去にあまり例を見ない排外主義的な運動がなぜこの時期に日本でこんなにも一般化したのか。その背景にある嫌韓の流れやナショナリズムの高揚を含めて、今の日本のあり方を考える。

主催:月刊『創』編集部 後援:アジア記者クラブ・他