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2016年-02月-08日

「北朝鮮ミサイル発射」在京各紙の報道

 北朝鮮が2月7日に「地球観測衛星」と称する打ち上げを行いました。東京発行の新聞各紙は8日付朝刊でそろって1面トップで報じています。核開発と歩調をそろえての打ち上げは、核兵器の運搬手段としてのミサイル開発にほかならないことから、各紙とも1面の本記では「長距離弾道ミサイル」(朝日新聞読売新聞)、「事実上の長距離弾道ミサイル」(日経新聞産経新聞東京新聞)、「ミサイル」(毎日新聞)と称し、主見出しは「ミサイル発射」でそろいました。

 取り急ぎ、各紙の1面掲載の主な記事の見出しと、社説の見出しを書きとめておきます。各紙とも東京本社発行の最終版です。

f:id:news-worker:20160208090658j:image

【朝日新聞】

1面本記「北朝鮮 ミサイル発射」「沖縄上空通過 宇宙到達か」「推定飛距離5500キロ超 韓国分析」

1面「安保理決議に違反 緊急会合」

1面「首相、制裁の準備支持」

社説「ミサイル発射 安保理の対処を急げ」

【毎日新聞】

1面本記「北朝鮮 ミサイル発射」「沖縄上空を通過」「国内被害なし 迎撃発動せず」

1面「日本、独自制裁先行へ」「米中韓も強く非難」/「国連安保理が緊急会合開催」/「『軌道進入成功』北朝鮮」

社説「北朝鮮ミサイル 暴走止める体制を作れ」

【読売新聞】

1面本記「北朝鮮ミサイル発射」「沖縄上空を通過」「政府、近く追加制裁」「迎撃せず」「射程1万2000〜3000キロ視野」

1面「安保理が緊急会合」/「首相『断じて容認できぬ』」/「北、軌道進入『成功』」

社説「北ミサイル発射 地域の安定を揺るがす暴挙だ 安保理は厳格な制裁決議を急げ」懸念増す核運搬技術/中国の責任は重大だ/危機管理体制を万全に

【日経新聞】

1面本記「北朝鮮、ミサイル発射」「核実験に続き強行」「米本土まで射程か」

1面「安保理が緊急会合」「日米は独自制裁強化」

1面「韓国、配備へ協議」「米のミサイル迎撃システム」「政策を転換」

社説「暴挙重ねる北朝鮮に厳しい安保理制裁を」

【産経新聞】

1面本記「北ミサイル発射」「沖縄上空を通過」「『今後も打ち上げ』」「破壊措置命令は継続」

1面「軌道進入か 射程拡大警戒」

1面「安保理、緊急会合」「日米韓要請 非難声明採択へ」

1面「自制要求も完全無視」連載企画「止まらぬ暴走 北ミサイル発射」(上)

社説(「主張」)「北のミサイル発射 暴挙止める実効策を急げ」

【東京新聞】

1面本記「北朝鮮、ミサイル発射」「核の脅威誇示 続く挑発」「沖縄の上空を通過」「破壊措置せず」

1面・解説「従来の制裁 乏しい実効性」

社説「北ミサイル発射 東アジア危機に協調を」

2016年-02月-05日

「自衛隊に対する厳しい住民感情の払拭を意図したPAC3配備ならばやめるべきだ」琉球新報社説 ※追記「ミサイル防衛を嗤う」

 北朝鮮国際機関に対し、8日以降に「地球観測衛星」を打ち上げることを通告しました。実際はミサイルの発射実験だというのが定説になっています。

 通告通りなら、ロケット(ミサイル)は沖縄石垣島宮古島などの上空を通過するようです。防衛省は、仮に打ち上げ失敗でも、日本に落ちてくる破片は迎撃ミサイルPAC3で撃ち落とす構えで、部隊を石垣島や宮古島に展開します。このことに対し、琉球新報は5日付の社説で反対を表明しています。一部を引用します。

※琉球新報「<社説>PAC3先島配備 優先すべきは外交努力だ」=2016年2月5日

 http://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-216233.html

 北朝鮮による事実上の長距離弾道ミサイル発射通告に対し、中谷元防衛相破壊措置命令を出した。防衛省は地対空誘導弾パトリオット(PAC3)を宮古島、石垣島に展開する。与那国島にも陸上自衛隊の連絡員を派遣する。

 ミサイル発射通告に対し、安倍晋三首相は「国民の安全確保に万全を期すようにしてほしい」と指示した。しかし、PAC3配備が本当に住民の安全確保を目的としたものか疑問である。なぜなら今回のミサイル発射にPAC3は役立たないからだ。

(中略)

 軍事評論家前田哲男氏は「打ち上げに成功する場合も失敗する場合もPAC3は機能しない」と指摘し、部隊展開の意図は北朝鮮の脅威の誇張と県民のために心を砕いている姿勢を示すパフォーマンスだと述べる。

 そのことは2012年に北朝鮮が「人工衛星」と称して弾道ミサイルを発射した時の対応でもはっきりしている。その時はPAC3と共に石垣島に450人、宮古島に200人の自衛隊員を配備した。ところが、ミサイルが上空を通過する多良間島には数人の連絡員を配置しただけだった。

 このことからも、ミサイル迎撃が目的ではなく、住民向けに「頼りになる自衛隊」の演出を狙ったPAC3配備だったと言えよう。

 宮古島市石垣市は現在、自衛隊配備の是非をめぐって市民の間でさまざまな議論が起きている。自衛隊に対する厳しい住民感情の払拭(ふっしょく)を意図したPAC3配備ならばやめるべきだ。

 北朝鮮の「衛星」打ち上げ(ミサイル発射試験実験)のたびに、同じようにPAC3の迎撃態勢が展開されてきました。ともすれば「いつものことか」と慣らされてしまっているかもしれません。そうならないようにする上で、参考になる論考だと思います。


【追記】2016年2月6日10時15分

 2009年4月に北朝鮮が事前に通告した上で「衛星打ち上げ」、事実上のミサイル発射実験を行った際、ルポライターの鎌田慧さんは東京新聞のコラムに事前に「ミサイル防衛を嗤う」と題した短文を寄せていました。鎌田さんは明示はしていませんでしたが、戦前の「抵抗の新聞人」として知られた桐生悠々の「関東防空大演習を嗤う」にならったと思える警鐘の一文でした。わたしも当時、鎌田さんのコラムを読んで感じたことなどを、このブログに書きとめました。

 ※参考過去記事「『ミサイル防衛を嗤う』」=2009年4月3日

  http://d.hatena.ne.jp/news-worker/20090403/1238694217

 ※「関東防空大演習を嗤う」は青空図書館で読めます。

  http://www.aozora.gr.jp/cards/000535/files/4621_15669.html

  初出:信濃毎日新聞 1933(昭和8)年8月11日


 また、2012年4月にも以下の記事をこのブログに書きました。

 ※「自衛隊配備を根本的に問う沖縄の新聞〜再び「ミサイル防衛を嗤う」 ※追記「消えぬ『過剰感』」=2012年4月15日

  http://d.hatena.ne.jp/news-worker/20120415/1334452536


 北朝鮮がそう簡単には核開発を手放さないであろうこと、あわせて核兵器の運搬手段である弾道ミサイルの開発も進めるであろうことは分かりますが、だからと言って、軍事的な対応を強化するのは「盾」と「矛」の例えの通り、際限のない軍拡にはまり込むのではないかということは、上記の過去記事を書いたころと考えは変わっていません。かつて桐生悠々が「敵機を関東の空に、帝都の空に、迎え撃つということは、我軍の敗北そのものである」と看破したように、どこの国であれミサイルが日本に向けて撃たれるような事態は、日本の平和主義の敗北なのだろうと思います。

 北朝鮮の核とミサイル開発はやめさせるべきです。その上で、ということになりますが、PAC3の沖縄への展開などに対して「またいつものアレか」などと、鈍い受け止め方しかできなくなることがないよう、今日的な意味と問題点を考えたいと思います。

2016年-02月-04日

新基地容認の和解案「構造的差別を放置」(琉球新報社説)〜異例の展開、辺野古移設「代執行訴訟」

 沖縄県宜野湾市米軍普天間飛行場を同県名護市辺野古に移設する計画をめぐり、移設を強行する日本政府安倍晋三政権と、県内移設に反対する翁長雄志知事の沖縄県が法廷で全面的に争う異例の事態になっています。その訴訟の一つの、前知事の退任間際に出された辺野古の埋め立て承認を翁長知事が取り消したことをめぐり、埋め立てを進めたい国が沖縄県を提訴したいわゆる「代執行訴訟」で、福岡高裁那覇支部(多見谷寿郎裁判長)が1月29日、国と沖縄県の双方に和解を勧告しました。和解案の内容は非公表とされていましたが、2月2日にマスメディアが「関係者が取材に明らかにした」(共同通信)などとして、一斉に報道しました。ここでは、詳しく報じた琉球新報の記事を引用、紹介します。

※琉球新報「新基地に30年期限 辺野古代執行訴訟の和解案判明」=2016年2月3日

 http://ryukyushimpo.jp/news/entry-215037.html

 名護市辺野古の埋め立て承認を翁長雄志知事が取り消したことの適法性をめぐり、国が県を訴えた代執行訴訟に関し、福岡高裁那覇支部(多見谷寿郎裁判長)が県と国双方に提示した和解案の内容が2日、分かった。同支部は、県が承認取り消しを撤回した上で、国は新基地を30年以内に返還するか、軍民共用にするかを米側と交渉する「根本的な解決案」と、国が代執行訴訟を取り下げて工事を中止した上で、県と協議し、なお折り合いが付かなければ、より強制力の弱い違法確認訴訟で法的正当性を争う「暫定的な解決案」の2案を示した。和解の提案に応じられない場合は、判決期日は4月13日とすることを裁判所原告の国と被告の県に提示していたことも分かった。

 裁判所が和解の選択肢として、都道府県米軍基地建設を容認するよう提案するのは初めてとみられる。

 30年期限案については、「辺野古に新基地は造らせない」とする翁長知事の公約に反することから、県が受け入れる可能性は低い。国も、米軍基地に使用期限を付けた提案は受け入れない公算が大きい。

 もともと異例の訴訟として注目されていましたが、事前にマスメディアが報じていた手続きの流れの予測でも、裁判所が和解勧告を行うことは想定されていませんでした。少なくともそういう報道は見当たりませんでした。異例の訴訟が異例の展開を見せていると言っていいと思います。また、司法行政に和解を勧告、つまり話し合いで決着させるよう勧告し、具体案を示したということは、三権分立の中で、米軍基地をめぐる行政と司法の関係の問題としても注目に値すると思います。米軍機の騒音訴訟で司法が判断を放棄して久しいことと対比すると、この訴訟では司法は当事者であろうとしているようにも思えます。


 この二つの和解案をどう考えればいいのか。沖縄タイムスと琉球新報が、そろって4日付の社説で取り上げており、参考になります。

※沖縄タイムス「社説[和解案判明]代執行に無理があった」=2016年2月4日

 http://www.okinawatimes.co.jp/article.php?id=152555

※琉球新報「<社説>辺野古和解勧告 問題の本質を見極めよ」=2016年2月4日

 http://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-215658.html

 両紙とも、辺野古に新基地を建設することを前提にした「根本的な解決案」に対しては「民意を無視して新基地が押し付けられることになる。基地の偏在は微動だにしない。貴重な環境も破壊される。民主主義地方自治の否定、構造的差別という根源的な問題は放置されるのだ。論外である」(琉球新報)、「『30年』の根拠は何なのか。返還や軍民共用を国が米国と交渉するという。とてものめる案ではない 」(沖縄タイムス)などと批判しています。一方、「暫定的な解決案」に対しては、日本政府が一挙に代執行訴訟を提起したことに裁判所が疑問を持っていることの表れではないかとみています。

 いずれにせよ、今後の展開を注視したいと思います。


※追記:2016年2月5日0時50分

 「『根本解決』和解案は『構造的差別を放置』(琉球新報社説)〜異例の展開、辺野古移設『代執行訴訟』」から改題しました。

2016年-02月-03日

琉球新報社説「辺野古『支持』逆転 誤解への誘導は許されない」

 一つ前の記事(「辺野古移設、安倍政権方針「評価」「支持」が「評価しない」「支持しない」を上回る〜読売、共同の世論調査(整理・再録)」)の続きになります。

 1月末の読売新聞共同通信世論調査で、沖縄宜野湾市米軍普天間飛行場を同じ沖縄の名護市辺野古に移設する日本政府安倍晋三政権方針について、「評価する」「支持する」との回答が、「評価しない」「支持しない」を上回りました。この結果をどうみるかについて、琉球新報が3日付で「辺野古『支持』逆転 誤解への誘導は許されない」との見出しの社説を掲載しています。一部を引用して書きとめておきます。

※琉球新報「辺野古『支持』逆転 誤解への誘導は許されない」=2016年2月3日

 http://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-215012.html

 民意の曲解が横行している。政治家がこれを演出しているのなら、断じて許されない。

 共同通信の全国電話世論調査で、米軍普天間飛行場を名護市辺野古に移設する政府の方針について「支持する」が47・8%と、「支持しない」の43・0%を上回った。

 共同通信が昨年5月に行った世論調査では「移設作業を停止する」が49・6%と、「作業を進める」の37・2%を大きく上回っていた。逆転の背景には、宜野湾市長選で政府が支持した佐喜真淳氏の当選があろう。

 だが佐喜真氏は選挙戦で、辺野古移設の賛否については徹底して言及を避けた。佐喜真氏が述べたのは「普天間の固定化は許されない」ということに尽きる。だから宜野湾市民が辺野古新基地建設を求めたと見るのは大きな誤解だ。

 (中略)

 こうした誤解が広がったのも政治家の言動が影響していよう。菅義偉官房長官選挙後、「オール沖縄という形で沖縄の人が全て(辺野古移設に)反対のようだったが、言葉が実態と大きく懸け離れている」と述べた。さも移設賛成が多いかのような言いぶりだが、露骨な「民意のつまみ食い」である。

 まして島尻安伊子沖縄担当相が「辺野古移設に反対する声に勝った」と述べたのは許されない。誤解の方向へ国民を意図的に誘導するかのような発言だ。

 政治家は民意を尊重するのが仕事だ。誤解があるならそれを解くのが仕事のはずである。沖縄担当相ならなおさらだ。それが意図的に誤解へ誘導したのならもってのほかである。

 官房長官は内閣スポークスマンであり、記者会見での発言はすべて報道されるべきです。閣僚である沖縄担当相の発言も同様です。一方で、報じるマスメディアの側も注意した方がいいと思うのは、政府と沖縄県が現在、「辺野古移設」をめぐり法廷で対決していることです。政府と沖縄県は紛争の当事者です。そうした場合、一方の主張ばかりを報じるのではなく、双方の主張を報じる必要があります。沖縄からの報道がとりわけ重要だろうと思います。

2016年-02月-02日

辺野古移設、安倍政権方針「評価」「支持」が「評価しない」「支持しない」を上回る〜読売、共同の世論調査(整理・再録)

 1月30〜31日にかけて毎日新聞読売新聞共同通信が実施した計3件の世論調査の結果について、それぞれの「質問と回答」に基づいて、主な結果を整理しておきます。

 読売と共同は、沖縄米軍普天間飛行場を同じ沖縄の名護市辺野古へ移設する政府の方針に対する評価を尋ねています。結果は以下の通り、ともに政府方針を「支持する」「評価する」の回答が、「支持しない」「評価しない」を上回りました。

沖縄県宜野湾市の米軍普天間飛行場を名護市辺野古へ移設する政府・安倍内閣方針について

  読売新聞 「評価する」44% 「評価しない」38%

  共同通信 「支持する」47・8% 「支持しない」43・0%

 読売、共同とも単発の質問ということもあってか、記事では論評や分析を示していませんが、読売新聞の昨年12月の調査では「評価する」と「評価しない」が拮抗していました。読売調査で6ポイント差、共同では4・8ポイント差ですが、差が付いたことの要因としては、この間、政府と沖縄県が法廷での対決に入ったことが本土でも繰り返し報じられたことや、宜野湾市長選で安倍政権が支援した候補が、県内移設反対を掲げた候補を破り再選されたことなどが考えられるのではないかと感じています。

※参考過去記事 「辺野古移設『評価する』『評価しない』が拮抗・読売世論調査」2015年12月13日

 http://d.hatena.ne.jp/news-worker/20151213/1449933700


 憲法改正については次の通りでした。

▼憲法改正

 ・参院選改憲勢力が3分の2以上の議席を占めることを

  毎日新聞 「期待する」40% 「期待しない」46%

 ・参院選後に憲法改正を進めることに

  共同通信 「賛成」37・5% 「反対」50・3%


 そのほか、これまでの記事と重複もありますが、備忘を兼ねてまとめておきます。

内閣支持率

  読売新聞 支持56%(前回調査比2ポイント増)不支持34%(同2ポイント減)

  毎日新聞 支持51%(前回調査比8ポイント増)不支持30%(同7ポイント減)

  共同通信 支持53・7%(前回調査比4・3ポイント増)不支持35・3%(同2・9ポイント減)

▼甘利氏の口利き・資金提供疑惑

 ・甘利氏の説明は十分だったか

  毎日新聞 「十分に説明している」20%、「説明は不十分だ」67%

 ・甘利氏は今後も説明責任を果たすべきか

  読売新聞 「果たすべきだ」71% 「そうは思わない」24%

 ・辞任は当然か

  読売新聞 「当然だ」70% 「必要はなかった」23%

  共同通信 「当然だ」67・3% 「辞任する必要はなかった」28・5%

 ・安倍首相任命責任

  毎日新聞 「重い」42% 「重くない」46%

  共同通信 「ある」46・8% 「ない」50・1%

 ・安倍首相の対応

  読売新聞 「適切だった」57% 「適切でなかった」28%

▼その他

 ・毎日新聞

   軽減税率の導入について 「評価する」52% 「評価しない」40%

   慰安婦問題を解決する日韓の合意について 「評価する」65% 「評価しない」25%

   合意によって慰安婦問題は解決すると思うか 「解決すると思う」19% 「解決するのは難しい」72%