発声練習

2014-04-18

[] Amazonの値引きがダメで、生協の値引きが大丈夫な理由

著作物には独占禁止法の例外として、出版社が書籍や雑誌などの小売価格を決めることができる「再販制度」が適用される。

アマゾンは2012年から10%還元を始めた。これに対して緑風出版などは、10%もの還元は事実上の大幅値引きにあたり、小売価格を維持する再販契約に違反すると主張。サービス停止を申し入れてきたが受け入れられないため、5月から出荷停止に踏み切る。期間は半年間で、自社の出版物にサービスが適用されなくなれば解除するという。

大学関係者は生協の組合員であることを示せば書籍が生協で値引きされて売っているのを知っている。

それではなぜ生協では本を1割引で買うことができるのか。独占禁止法第23条5項では、共済組合や生活協同組合は再販契約を遵守する義務を負わないと規定されている。「教科書販売」の販売主体は大阪市立大学生活協同組合だ。そのため我々は割引の恩恵を受けることができるのだ。

THE KINGDOM POST:大学生協の本はなぜ安い? 〜書籍の再販制度を問い直す〜より)

当該条項

(5)第一項又は前項に規定する販売の相手方たる事業者には、次に掲げる法律の規定に基づいて設立された団体を含まないものとする。ただし、第七号及び第十号に掲げる法律の規定に基づいて設立された団体にあつては、事業協同組合、事業協同小組合、協同組合連合会、商工組合又は商工組合連合会が当該事業協同組合、協同組合連合会、商工組合又は商工組合連合会を直接又は間接に構成する者の消費の用に供する第二項に規定する商品又は前項に規定する物を買い受ける場合に限る。

  1.  国家公務員法
  2.  農業協同組合法
  3.  消費生活協同組合法
  4.  水産業協同組合法
  5.  特定独立行政法人の労働関係に関する法律
  6.  労働組合法
  7.  中小企業等協同組合法
  8.  地方公務員法
  9.  地方公営企業等の労働関係に関する法律
  10.  中小企業団体の組織に関する法律
  11.  国家公務員共済組合法
  12.  地方公務員等共済組合法
  13.  森林組合法

公正取引委員会:私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和二十二年法律第五十四号)より)

法律に基づくならば、農協の販売所で農協の組合員に本をうる場合は値引きして売ることができるのね。

[] ラジコンヘリによる空撮で気をつけること

こういうまったく知らないことを学べるのがWebおよびはてなブックマークコメントの良いところ。

ガジェット通信:「死人が出ていたかも」マルチコプターを飛ばして夜景を空撮し墜落事故 映像をアップし批判殺到ブックマークコメント

上のサイト

[] 塾の教育技術は高いのか?

そもそも、私には武雄市だからという偏見があるのを前提としていただいて、以下のエントリーをお読みください。

一般的に学校と学習塾に求められているものは違うので、その違いを勘案した上で塾の教育技術が一般的に高いのかはちょっと疑問な点がある。

違い 学校
生徒の選抜 されていない(小・中学校) 経済的・環境的にされている
教育対象 全人的 勉学(特に5教科)のみ
学習範囲 指導要領に定められた範囲すべて 重要な点に集中(特に受験関連)
教える人数 20〜40人 〜20人(?)

塾の強みは教える人数や学習範囲について選択と集中を行えるところにあるというのが私の認識。そして、学校の弱みが選択と集中が行えない点にある。「選択と集中」が行えるかどうかは個々人の授業技術にもよるが、その多くは前提条件によっている。学校に期待されている役目から考えると、そもそも選択と集中は馴染まない(選択と集中は公教育の役割ではないと思う)。

塾の強みを考えるとき、学校において塾のノウハウで一番適合するのは「あぶれた生徒」へのフォローの部分。授業が簡単過ぎて上にあぶれている生徒、授業がむずかし過ぎて下にあぶれている生徒。この部分へのフォローはまさに塾の強みが生きる。ただし、フォローをする人員を保持できなければ、塾のノウハウを入れても意味がない(教育バウチャー発行して塾にお願いしたほうが良い気がする)

もちろん、学習塾の方が指導要領に縛られない代わりに授業方法を試行錯誤しつつブラッシュアップするのが容易であることから、非常に優れた授業方法を確立している可能性も高い。これを導入するのは良い話。でも、この場合はその授業方法が本当に有効なのかが問題となる。

ぜひ、上記のようなことを区別して良い環境を作ってほしいところ。

関連

塾に通っている子供の成績がよいのは「勉強を見ている大人が一緒にいるから」という可能性もある。

――では、学習時間に影響する要因は、何ですか?

中室:親の関与です。図1、2は、親の関与の仕方と子供の学習時間の関係を示しています。関与の仕方は、(拔をしたか確認している∧拔を見ているJ拔する時間を決めて守らせているな拔するように言っている――の4通りですが、母親の関与で最も効果が大きかったのは「勉強する時間を決めて守らせている」でした。一方、「勉強するように言っている」は女の子に対してはマイナスです。つまり母親が同性の子供に「勉強しなさい」と言うと、逆効果なのです。

父親の関与で最も効果が大きかったのは「勉強を見ている」でした。総括すれば、子供の横について勉強を見てやるか、勉強時間を決めて守らせるかのいずれかでなければ、子供の学習時間は延びません。父親と母親では、関与の効果に差がありますが、父親の役割がかなり重要であることが明らかになりました。これは少し意外でした。

――どのような政策的含意が導き出されますか。

中室:親の能動的な関与が、子供の学習時間に影響を与えることがわかりました。しかし、関与者は必ずしも親である必要はなく、親せき、祖父母、あるいは他人でも同程度の影響が得られるのです。

現在、全国で「放課後教室」が開かれていますので、そうした場に子供の横について勉強する時間を守らせる大人をボランティアなどで配置できれば、学習時間を延ばす効果が期待できます。また塾に通えば確実に勉強時間は延びますから、塾に対する行政の補助も有効な政策になり得るでしょう。

2014-04-17

[] パーソナルデータとビッグデータを区別して

ビッグデータは、従来の情報技術では扱えないほど量が大きいデータのこと。良くビッグデータの特徴として3V(Volume:大量のデータ, Variety:さまざまな種類のデータ, Velocity:発生頻度や更新頻度が高いデータ)が挙げられている。ビッグデータの定義の中には「個人に関わるデータ」というものは入っていない。

一方で、最近のビッグデータのビジネス利用に関する報道では「ビッグデータ=個人に関わるデータ(パーソナルデータ)」という扱いが多い。一番、金になるビッグデータがパーソナルデータであるわけだけど、区別して扱ってほしい。

「ビッグデータ=パーソナルデータ」という認識が増えるとパーソナルデータの扱い方に関して慎重にすべきだという意見がビッグデータ処理技術の研究開発に対しての懸念と誤解されてしまい議論が紛糾してしまう。

例えば、以下の日経新聞の記事の「ビッグデータ」部分を「顧客データおよび利用状況データ」に書き換えるとイメージがかなり変わる。

地理情報や気象情報などのパーソナルでないビッグデータを活用する時と、顧客データおよび利用状況データなどのパーソナルなビッグデータを活用する時では考えるべきことが異なるので、ぜひ、気をつけてほしい。

IIJはビッグデータの分析などに使うクラウド環境を構築する。富士通総研はブログなどから収集した24万人分の消費者行動データを参加企業に提供する。データセクションもツイッターなどの分析データを出す。

コンソーシアムには弁護士も参加しており、個人の情報を守る共通ルールを設ける。政府のガイドラインにも準拠する。

専門組織の名称は「データエクスチェンジ・コンソーシアム」。ビッグデータ分析のデータセクション(東京・渋谷)と、インターネットを使ったマーケティングを手掛けるデジタルインテリジェンス(同)が母体を設立した。IIJや富士通総研などが運営する。

設立後も参加企業を広く募る。業種や事業規模などの条件は付けない。

ビッグデータ活用が盛んな米国では複数の企業がデータ交換を手掛け、顧客企業の間で新たなビジネスやサービスが生まれている。

これまでは企業が自社のビッグデータを他社に売却し、利用者の反発を買ったこともあった。専門組織では顧客離れが起きない共通ルールを設け、ビッグデータを事業に生かす。

日本経済新聞:ビッグデータ活用で300社連携へ IIJなど中心に, 製品開発や販促で専門組織より)

ブログやTwitterは自分で公開している情報なのでそれを収集されるのはいたしかたいないけど、それを各企業内部が保持している顧客データや利用状況データとマージされるのはさすがに気持ち悪い。ぜひ、企業間でデータをやりとりするときにはどういう風に匿名化されているのか、また、渡すデータはどういう内容なのかをオープンにして欲しいところ。

追記:NHKは区別している

いわゆるビッグデータのうち、利用価値が高いとされる個人に関わる情報、「パーソナルデータ」の利活用を考える政府の検討会が開かれ、携帯電話の位置情報などが対象データに当たると定義され、個人が特定されないよう保護していくとする事務局案が示されました。

ビッグデータのうち個人に関わる情報は、「パーソナルデータ」と呼ばれ、新たな産業の創出など企業にとって利用価値が高いとされている一方で、ほかの情報と組み合わせることで個人が特定されるおそれがあります。

「準個人情報」の例示としては、パスポート番号や免許証番号のほか、IPアドレス、携帯端末ID、顔認識データなど個人情報端末に与えられる番号で継続されて共用されるものや、遺伝子情報、指紋など生体・身体的情報、移動や購買履歴などを挙げている。個人情報に該当するか判断が困難なグレーゾーンの拡大に対応するため、これらの利用では現行法にある本人同意や通知などを求める義務を課すのは妥当ではないとしている。

まてまて!パスポート番号や免許証番号は完全に個人を特定できる情報だろう!それと移動や購買履歴を同格に扱うのはさすがにさすがでしょ。

2014-04-16

[] 論文の書き方は瑣末な問題ではない

論文の書き方のルールだとか、都合のいいデータだけそろえる科学者がやってはいけない初歩的心得違いだとか、得意げに既存社会の正しさを並べ立てている。

福島民報: 菊池哲朗の世相診断 【小保方さんの騒ぎ】オヤジたちが情けない(4月16日)より)

他者が検証できる形で情報を提供するというのは、「〜科学」「〜工学」の基本理念です。どうして、これが基本理念であるかといえば、大前提として以下の考えがあるからです。

  • 人は間違える
  • 人は自分のみたいものしか見ない
  • 今の人類の測定技術には限界がある

悪意を持っていなくても、上記の理由により公開された情報は正しくない可能性があり得ます。さらに、悪意をもって情報を公開する人もいるのですから、常に他者が検証しやすい形で情報の公開を強制するのは当然の戦略です。

論文の書き方というのは、研究者界隈のつまらないローカルルールに見えるでしょうが、上記の「他者が検証しやすい形で情報の公開をする」という観点から洗練されてきたものです。今回のSTAP細胞の例は、「他者が検証しやすい形で情報の公開をする」という研究者の根本的な使命を果たしていないことに対して、多くの人が批判をしているのです。

いくつかの例外があるかもしれませんが、「〜科学」「〜工学」の分野では、他者が検証しやすい形で情報の公開をしていないものについて「ある」とは認めないという立場をとっています。これは私たちの日常からすると厳しい要求です。この要求に耐えられるように情報公開を行う術を学ぶという機関が大学院です。

この要求に耐えられるように情報公開を行う術を学ぶという機関が大学院であるのにも関わらず、それを学ばせていなかったからこそ、多くの人々が「大学院は本当に教育をまともにやっとるのか?」と疑念を抱くようになっています。

そして、STAP論文の共著者たちが論文についてちゃんとチェックしていなかったことについても「ちゃんと共著者やっているのか?」と疑念を呈されており、かつ、その責任を説明していないにも関わらず、問題はすべて小保方さんにあるとしているのにも「そんなわけないだろう」と批判されているという状態です。

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