もうちょっと外から見えないように工夫すべきだけど、重要な口頭発表、特に、自分の母国語母語の発表でなければこれぐらい準備すべき。十分な経験を踏んでいる人は別として、口頭発表に慣れていない人は、これを「カッコ悪い」で片づけない方が良い。
この日、安倍首相は英語で演説を行ったが、ウォール・ストリート・ジャーナルは安倍首相が手に持った原稿を、大きな写真で紹介した。原稿には、「次を強く」など抑揚をつける位置や、息継ぎの箇所が赤ペンで書き込まれていた。
カナダ版のYahoo!ニュースに掲載されたロイターの記事には、「顔を上げ拍手促す」などの書き込みも見られる。
どのくらい原稿を読み上げる or 原稿にどんくらい詳しく書いておくかは別として、演説のときに原稿を見えるように用意しておくのは別にへんなことじゃない。たとえば、オバマ大統領もプロンプターと呼ばれる機械を使って原稿見ている。
聞き手に「ああ、あの人は原稿丸読みだな」と思われなければ、別に原稿見ていても問題ない。そういう意味で、安倍首相は下手だったのかもしれないけど、原稿を準備するのはとても重要。
特にまねるべき点は抑揚をつける位置や、息継ぎの箇所、そして、聴衆への身振りでのアピールも原稿に書いてあった点。これは本当に真似するべき。私も英語での学会発表に慣れるまでは原稿作ってこういうのを書いておいた。たとえば「ここで2拍おいてから、次のスライドへ切り替え」とか。
学ぶべきところを学び、学ぶべきでないところは無視するのが何事でも重要。安倍首相の今回の原稿は学ぶべきところで無視すべきところじゃない。なお、私はNHKの日本語訳しかみていないので発音や発表の仕方については何も言えない。
- NHK:安倍首相米議会演説 全文
- 安倍晋三の演説全文(英文 邦訳) 29日米議会上下両院合同会議
- "Toward an Alliance of Hope" - Address to a Joint Meeting of the U.S. Congress by Prime Minister Shinzo Abe
- Bloomberg:Japan's Abe Addresses U.S. Congress (Full Speech):スピーチの動画。
関連過去エントリー
追記:安部首相の留学の話
追記:このエントリー書いた理由
最初に引用したエントリーだけでなく、以下のように「振る舞いまで書き込まれた原稿を準備すること」自体を笑いものにする様子が見えたので。
米メディアが安倍首相を笑いモノにしているのは、安倍首相が英語で書かれた原稿をひたすら棒読みしただけでなく、原稿に日本語で「顔を上げ、拍手促す」「次を強く」などと、あんちょこが書かれていたからだ。「ウォールストリート・ジャーナル」などが、あんちょこペーパーを大きく報じている。アメリカ人記者たちは、「まるで中学生の英語スピーチ大会だ」と笑い合っているそうだ。素直に日本語でやればよかったのだ。
(日刊ゲンダイ:安倍首相の演説が笑いモノに「8割の米議員わからず」の声も より)
日本語の原稿であっても「顔を上げ、拍手促す」「次を強く」と書いてある原稿を用意すべき。まあ、日本語でやればよかったというのは私も思うけど。