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2015-04-15

[][]TPPでコメ輸入枠増加へ!?

最近TPPのことをまったく触れなくなった当ブログですが、忘れているわけではございません。

ただ、しっかり記事読んでまとめたり考えたりする時間と体力と気力が取れなくて、昨年1年はお休みをしていました。

が、結局休めば休んでしまうだけで、何にも自分にプラスにならない!ということに気付いたので、今年度は毎日更新はしないものの、なるたけちょこちょこ(自分の勉強というのも含めて)更新していきたいと思います。

引き続きよろしくお付き合いください。


さて、再会一発目はやや古い情報になってしまいましたが、4月3日の北海道新聞から、Twitterで活躍中の「にゃんとま〜」さんの転載を頂戴しました。


コメと言えば言わずもがな日本農業の基幹であり、最も普遍的で重要なものなんですが、現在非常に危機が訪れております。

昔はコメ1町作ってればとりあえず食うに困ることはなかったと言われていたようですが、近年は「作れば作るほど赤字」なんてことも言われていて、2010年だったかのコメ農家の時給(平均所得を平均労働時間で割ったもの)が179円という、ブラック企業も真っ青(というのもヘンな表現ですがw)の低賃金労働だったわけです。

なんでそんなことになるかというと、少子高齢化で胃袋は減るわ、その減った胃袋に入るのは主食のコメよりも主菜の肉や油脂が多くなるわ、さらに主食のコメもパンやパスタに攻め込まれるわでコメ消費量が単純に減ったこと、それに追い打ちをかけるように、1995年のGATTウルグアイラウンドによってコメの貿易が自由化され、記事にもある「MA米」が入ってくるようになったことが挙げられます。


加えて、昨年安倍政権が発表した「減反廃止」のインパクトが大きく、26年産米はそれ以前と比べてもかなり値段が下がっています。

聞いた話では、今まで地域の稲作作業受託をしていた三セク的企業が「赤字にしかならないから」と今年は受託を取りやめる方針を決定、その地域では飲食業をやっている私の友人(農業は完全な素人)にまで「田んぼをやらないか?」なんて話まで出るほど切羽詰っている様子。

(カッコつきの)「農協改革」とやらで「岩盤規制」を廃して「農家の所得倍増」なんて謳ったところで絵に描いた餅(それもヘタクソな)でしかなく、そもそもその目標とされる10年後だか20年後には農家そのものがいなくなっちゃうよ、なんてことも夢幻ではなくなっている気さえします。


そしてそんな中、TPPでは許されざる「譲歩」が行われている、というのが今回のニュースです。

そもそも2012年の衆院選に挑むにあたり「TPP反対」を訴えて農村票を得た自民党政権でしたが、「重要5品目は守る」などと言いながらズルズルと交渉に参加。

政府主催の説明会や市民側の要請で何度か開催した意見交換会でも「何を持って『守る』というのか」という質問には答えず、こうして自分たちで勝手に線を引いてどんどん譲歩しては危なくなっているわけです。


まあそもそも、日本政府がTPP協議に参加する、となる前に日米事前協議が行われており、実はその時点で(自動車や保険分野など)かなりの部分で譲歩を約束しているのではないか、そしてそれをその場で発表すると13年参院選、14年衆院選、15年統一選といった一連の選挙で不利になることから、その前後で他のニュースに紛れるようにして小出しに発表しているのではないか、とも言われています。


今年秋からはアメリカが大統領選モードになるため、GW周辺にも(日本側の大型譲歩と共に)TPP妥結が報じられるのでは、とも言われる一方で、それは市民側を騙すための誘導であり、そこを乗り越えてしまえばTPPは漂流する、という見方もあります。

いずれにしても、未だ全く予断を許さない状況ながら、私たちの暮らしが脅かされる可能性だけが日増しに高まっている、というのがTPPの現状なのではないかと私は見ています。

今後も国内外含め、情報取集&共有に努めたいと思います。


『コメ輸入枠 自ら「10万トン」 TPP協議 日本、提示後に撤回 米側の要求高める』北海道新聞2015年4月3日


 環太平洋連携協定(TPP)交渉の日米協議で浮上している米国産主食用米の特別輸入枠をめぐり、日本政府が一時、枠の規模を年間10万?とする案を米国側に提示し、その後撤回を申し出ていることが2日、複数の関係者への取材でわかった。米国側は撤回を認めず、交渉を優位に進める材料として使っており、日米協議が難航する最大の要因になっているという。(解説4面)= http://twishort.com/L5bic

 関係者によると、特別枠では関税を通常より大幅に低くするかゼロにする。日本が米国やタイなどから無関税で輸入している「ミニマムアクセス(MA、最低輸入量)」の年間77万トンの枠外に設けるため、特別枠設定で日米が合意すれば、日本のコメ輸入量が増える。

 日本が米国に「10万トン枠」を提案した具体的な時期は明らかになっていないが、昨年秋よりも前の日米協議の場とみられる。ある関係者は「幹部クラスの交渉官が交渉の早期決着を図ろうと考え、独断で提示したようだ」と話す。

 日本はMA米の枠外で輸入するコメに1?当たり341円の高関税をかけて生産者を保護するなど、通商交渉ではコメを最も慎重に扱う米農産物と位置付けている。国内では過剰生産が響いて価格が下がっており、10万?の特別輸入枠が実現して安い輸入米が増えれば、コメ生産者に悪影響を及ぼしかねない。

 日本政府は、10万?の特別枠は正式提案ではないと釈明し、その後の協議で米国に撤回したいと申し出た。しかし米国側は撤回に応じず、さらに高い条件をのませようと、提案を大きく上回る17万5千?の特別枠の設定を求めている。同時に、枠を小さくする条件として牛・豚肉の関税大幅削減を要求するなど、日本に揺さぶりをかけている。

 日本が劣勢に立たされている現状に、日本政府関係者は「10万?枠の提案が米国につけいる隙を与えた」と厳しく指摘する。日本は妥協案として年間5万?程度までの輸入枠ならば政府備蓄米の買い入れを増やすことで対応できると考えているが、米国が受け入れるかどうかは不透明。コメで大幅に譲歩すれば、コメや牛・豚肉など重要5農産物の関税保護を求めた国会決議に抵触するとの批判も呼びそうだ。



『日本、米にコメ輸入枠提示 「聖域」危機招く失策』北海道新聞2015年4月3日


<解説>環太平洋連携協定(TPP)交渉の日米協議で、日本政府が米国産主食用米に年間10万?の特別輸入枠の新設を一時提案したことは、明らかな失策だ。日本は撤回を申し出ているが、米国が無条件で応じる可能性は低い。コメ輸入増への道筋をいわば自ら付けてしまったことになり、国内生産者が反発するのは避けられない。(河相宏史、高橋俊樹)=1面参照=http://twishort.com/M4bic

 かつて日本はコメの輸入を厳しく規制し、ほとんど受け入れていなかった。1986〜93年の関税貿易一般協定(ガット)ウルグアイ・ラウンド交渉で、米国などから輸入自由化を求められた際も、国内生産者は「一粒たりとも入れるな」と激しく反発した。95年に「ミニマムアクセス(MA、最低輸入量)」枠によるコメ輸入を始めたのも、長く激しい議論の末だった。

 コメは今も「日本の食文化象徴」とみなされており、輸入が増えることに対する国内の抵抗感は根強い。TPP交渉でも、コメは乳製品や牛・豚肉などを含む重要5農産物のうち、最も慎重に扱うべき「聖域」と位置付けられている。

 日本側は10万?枠の撤回を申し出た上で、特別枠を5万?程度とする妥協案を検討している。ただ、この5万?でさえ、全国農業協同組合中央会(JA全中)の万歳章会長が「国会決議が守られたとは言えない」と批判するなど、国内生産者の反発を招いている。

 米国側は10万?を上回る17万5千?の輸入枠の設定を求めるなど、日本側の失策を交渉材料としてフル活用しており、日本政府は国内生産者と米国との間で板挟みになっている。政府関係者は「コメの問題について米国や国内生産者との間で妥協点が見いだせなければ、TPP交渉は簡単にはまとまらないだろう」とみている。

2015-04-04

[]TPP投資条項リーク文の解説(AMネット・武田事務局長より)

昨日分でお知らせしていましたTPPの投資条項リーク文、市民と政府の意見交換会実行委員会所属の九州大学・磯田先生が抄訳してくださり、同所属でNPO法人AMネットの武田かおり事務局長が解説をしてくださいましたので転載します。

さすがの両名、非常にわかりやすい内容になっています。


まず磯田先生の抄訳ですが、こちらからダウンロードできます。(PDF、4頁)



武田さんの解説は以下。


*******


本当に大騒ぎしないとやばい、TPP。

特に問題視されているのが「投資」の「ISD条項」。

よく分からないですよね。今さらですが少し解説。


要するに、企業が商売しようと思ったら「投資」の始まり。

その「企業の商売」に法律や規制が邪魔してると思ったら、「企業が国を訴える」ことができるのが「ISD条項」。(略しすぎ?)

そして訴えられて負けると、巨額の賠償金を税金から支払うことになる。

(訴えることができるのは企業だけ。国は企業を訴えることができない)


国ごとの気候風土、歴史、事情があるからこそ、国ごとに法律があり規制がある。

(確かにそれは問題があるかもしれないけれど、それは国ごと地域ごとに変えるべき。その面倒臭い手続きこそが民主主義。)


でも、企業がなにか商売始めるときに、いろいろ政府の規制とかがあるとめんどうだから、世界中一緒のルールにしよう、国ごとの規制は非効率だからやめろ、と言ってるわけです。

確かに効率的です。特に、世界中で商売しようなんていう多国籍巨大企業からすれば。


2年ぶりにリークが出て、私たちが危惧していたことが、本当に書かれていたことが分かってきました

(あくまでリーク分のみですが、これまでは状況証拠からの推測。これは実際のテキストなので意味合いが違う)。


(1)「国民の公衆衛生,安全,環境等の公共福祉目的は対象外」と言いながらも抜け穴がたくさん。

・「外国投資家に与えている全面的な権利と齟齬をきたさない限りにおいて,公益保護を立法化してよい」

法律決めるかどうかは各国政府の特権じゃ…??

逆に言えば、外国投資家の利益を失うなら、公共目的の公衆衛生関連の法律すら訴えられるということ。私たちを守る法律が作れない。


・「結果的に」外資企業に不利となれば、企業は政府を訴えることができる。

(例えばCO2排出基準が,技術的理由で外資企業に不利に作用した場合)

想定外で海外企業が不利になっても訴えられるんですよ?あり得ますか?

リスク行政、利益は企業に、と言われる所以です。

(たとえばそれで公害がでたら、医療費などの費用負担するのは行政=税金です)


(2)国内・地域ビジネスの支援,雇用創出,経済発展のための施策もISD条項で訴えられる対象に。

地元を優遇して公共工事や物品調達や、地産地消というのも対象に?

納税すらほとんどしてない多国籍企業と、地元密着の中小企業とどちらが経済&雇用効果があるか?

間違いなく中小企業ですが、地元中小企業を優遇すれば自治体は訴えられる可能性が。

持続可能な、地域循環型経済とは真逆の方向。


(3)「投資」の定義があまりに広範囲。

・2012年リークでは「政府調達(公共事業など)、補助金、政府助成」は対象から外す、というのも選択肢にあったけど、選択肢から削除。

これがないと、持続可能な社会なんて無理じゃないの…??

地方に行けばいくほど、自治体が生み出す経済効果は大きい。

もちろん大都市でも有効&必須。長くなるので今回省略。


(4)そのほか

TPP発効前のものまでが訴訟の対象になるらしい…!怖すぎる。

金融取引税や金融危機防止規制も対象。

アメリカは公共サービス(発電・送電、上下水道、電気通信等)も対象に入れろと執拗に迫っているとか。

あと、中小企業も海外進出してるんだから、と同じように訴えられるわけではありません。

超専門的&高額費用がかかるので、実質的に訴えることができるのは多国籍巨大企業だけです。


…問題が多すぎて、書き出すと終わらない。まだまだあるんですけどね。書ききれません。

興味ある方はリンク先をダウンロードして印刷して読んでみてください。大き目の文字で4ページです。


*******


以上です。


例えば(2)なんかは、鳥取県でも「産業振興条例」があったり、諸々の発注もよほどの条件がなければ県内企業にするようにしているはずですが、そういうのがなくなって大手だろうが外資だろうが関係なく入ってこれちゃうってことなんですよね。

「そもそも遠くから来る分高くなるだろう」というのは間違いで、グローバル競争の基本は『競争のあるところでは安く、ないところで高く』なので、体力のある大資本業者は、県内業者が生き残っている間は多少赤字が出ても安く入札して他の事業者を干上がらせていき、その後競争がなくなれば適正価格より高くとり続けることでしょうね。


コメでもなんでも、自由化によって一度安くなるように見えても、その後どのような状況になるか、ということを考えていないと後で取り返しのつかないことになります。

特に大きく影響を受けるのは地方ですから、地方からこそ声を上げていかねばなりませんね。

2014-04-23

[][]「日豪経済連携協定(EPA)の大筋合意に関する声明」(大学教員の会)の読み解き

TPP参加交渉からの即時脱退を求める大学教員の会」さんが、先の日豪EPAの大筋合意に関して声明を出されました。

難しい言葉だけどわかりやすく、非常に重要な指摘であると思ったのでSNSでシェアしたところ、一般の方にはやはり内容が難しいよね、という反応が返ってきたので、簡単にですが読み解きをしていきたいと思います。

細切れにしていますが引用部分が元々の教員の会の声明で、それ以外は偽百姓の個人的見解となりますのでご容赦ください。


2014年4月16日

日豪経済連携協定(EPA)の大筋合意に関する声明

TPP参加交渉からの即時脱退を求める大学教員の会


 日豪政府は4月7日、焦点となっていた牛肉の関税に関して、冷凍牛肉については現在の38.5%を18年かけて段階的に19.5%まで引き下げ、冷蔵牛肉については15年かけて23.5%まで引き下げることに合意した。これに伴い、輸入牛肉が急増した場合に国内畜産農家を保護するセーフガードとして、輸入が一定枠を超えた場合に関税を元の38.5%に戻す緊急輸入制限措置が採用された。これと同時に、大筋合意では、オーストラリア向けの日本車に対する5%の関税が中小型車については協定発効と同時に撤廃され、大型車については3年かけて撤廃されることになった。

 牛肉の関税引き下げをめぐる今回の日豪合意をめぐって農業団体の間では、「ぎりぎりの交渉を粘り強く行った結果」と受け止める団体と、「国民、農業者への裏切り行為」と厳しく批判する団体に分かれている。

しかし、日豪EPA交渉が開始された2006年12月に採択された自民党農林水産物貿易調査会決議、衆参農林水産委員会決議に照らせば、牛肉の関税をほぼ半減させる今回の合意が、「米、小麦、牛肉、乳製品、砂糖など重要品目は除外または再協議の対象となるよう、政府一体となって交渉すること」、「万一、我が国の重要品目の柔軟性について十分配慮が得られないときは交渉の中断を含め、厳しい姿勢で臨むこと」とされた決議に反することは明らかである。

 これに対して、政府内には上記決議にある「除外」の定義は前もって確定したものではなく、交渉の中で決められるものであると解釈し、関税率の引き下げは関税の撤廃と違って「除外」に含まれるかのような答弁が国会でされている。しかし、こうした解釈は、「聖域」の切り売りを余儀なくされるに至っても、政府が交渉中断の道を選ばず、「初めに妥結ありき」の姿勢で交渉にのめりこんだつけといえるものである。それを後知恵の修辞ではぐらかそうとするのは姑息で無責任な物言いであり、国民を愚ろうするものである。

初段は改めて、合意内容について振り返っています。

この点について単純なプラスマイナスに話を振るのは適切ではないのですが、理解のためにということで敢えて分けますと、

<日本にとってマイナスとされる内容>

○牛肉輸入関税の削減(冷凍は約半分となる19.5%、冷蔵は23.5%)

→十数年かけてと言っているが、最初に大きく下がるのが通例であり、輸入牛肉の価格が大きく下がるであろうことは明らか。(詳しくは次の引用参照)

 これについては二段目にあるように、自民党農林水産物貿易調査会決議および衆参農林水産委員会決議に反することだ、と糾弾されています。

 「決議」というのはわかりにくいかもしれませんが、ものすごく強引に言うと「こういう風にしましょうね」という約束事項みたいなものです。

 これ自体に法的な拘束力があるわけではないのですが、「決議をした」ということそのものが国民との約束になるわけですから、それを破る、あるいは有耶無耶にするというのは政治家としてあるまじき行為である、ということは重々認識されるべきかと思います。

 (ちなみに約束をしたのは自民党調査会および衆参委員会であり政府ではないですが、いずれも与党議員が中心であることは間違いなく、これに違反するのであれば離党、あるいは不信任決議による内閣交代を迫る、という対応が当然求められるものと私は考えます)

 また三段目では「関税引き下げなら問題ない」とする政府の「決議違反」に対しての詭弁を非難しています。当然です。


<日本にとってプラスとされる内容>

○輸入牛肉が増えた場合に、輸入量が一定を超えたらそれ以上は高関税にできる仕組み(セーフガード)を導入。

 現状の輸入量から大きく上回る場合はこれが発動する。

→セーフガード発動後は現在と変わりませんが、裏を返せば今までの輸入分については関税分価格が下がることを意味しています。

 そうなると、

  輸入量が一気に増えるわけではないので需給バランスは変わらない

  →だから国産は守られる

 という論理は破たんすることとなり、実際は

  輸入肉の価格が下がる

  →国産との価格差が拡大

  →相対的に国産が『高く』なることで買いにくくなる

  →国産肉も値段を下げなければ売れなくなる

  →結果として国産牛肉市場の価格崩壊に繋がる

 というわけですね。


 また、関税収入(国税)も減少することになります。

 この点についてはあまり報道がなされていませんが、TPPと合わせると決して少なくない額の税収減につながります。

 税収足りないから消費税も上げたのにね。

 ちなみに輸出企業には消費税分を還付する「輸出戻し税」なるものがあります。

 当然、輸出を多く行う大企業ほどこの額が大きくなります。


自動車輸出関税の撤廃(中小型車は即時撤廃、大型は3年で撤廃)

 →これが今回の目玉のようです。他の報道を見てもこれが大きく扱われています。

 ただし豪州の経済規模はさほど大きくなく、元々5%の関税が撤廃されることに為替変動(円安〜円高)以上の効果が果たしてどれほど期待できるのか、という疑問符は付きますよね。

 それからもう一つ、「関税が撤廃されれば輸出が増える→国内生産が拡大して雇用確保・収入増加に繋がる」という論もありますが果たしてそうでしょうか。

 日豪EPAにも投資の自由化条項が含まれており、投資が自由化されるということはすなわち「工場の海外移転をしやすくなる」ということでもあります。

 はてさてそうすると、「資源のない日本に資材を輸入して、高い人件費で加工し、原油高で燃料費の上がる船便で輸出する」ことと「人件費の安い国に資材を運び加工し、そこから輸出する」ことと、どちらが経営的に合理性が高いのでしょうね。

 さらにそこに、「邪魔な環境規制や労働規制、その他不都合なことはISDS条項で訴えて潰してしまえ」が加わると…。

 このことが日本経済の復権につながるとは、僕にはちょっと考えられません。


 セーフガードというが、半減される関税率が適用される輸入数量枠は年を追うごとに増加していく仕組みになっている。また、今回採用されるセーフガードは数量ベースであり、安い輸入牛肉に引きずられる形で価格が下がった場合の保護にはならない。さらに、15〜18年かけた段階的引き下げといっても、初年度に一気に6%(冷蔵用)あるいは8%(冷凍用)も引き下げられる仕組みになっている。これでは「農家にとって生殺しにされるようなもの」(2014年4月9日、「盛岡タイムス」)と言っても過言ではない。

 また、それぞれ影響が及ぶ分野が異なる自動車の輸出関税と牛肉の輸入関税をバーターで交渉し、為替変動で無に帰す程度の自動車関税の段階的撤廃を得るのと引き換えに、食の自給、安全と直結する牛肉の関税を半減させる道理はどこにもない

先に挙げたこととも一部重複しますが、「セーフガード」の実態について述べられています。

○半減される関税率が適用される輸入数量枠は年を追うごとに増加していく

 →セーフガードは初年度には冷凍195,000トン、冷蔵130,000トンで発動します。

  (合計は325,000トン。これは2013年実績286,546トンをやや上回る数量。)

 これが 5年目には冷凍201,700トン、冷蔵136,700トンの338,400トンとなり大幅に増加する予定で、さらに10年後には冷凍210,000トン、冷蔵145,000トンの計355,000トンまで拡大される予定です。

 つまり「現在輸入している以上の量の牛肉について、低関税で輸入しますよ」ということなので、実質的にセーフガードがそこまで機能するものになるとは思えません。

 なぜなら…下に続きます。


○価格が下がった場合の保護にはならない

 →前段で述べた通り、安い外国産牛肉が出回ることで国産牛肉にも値下げ圧力が生まれることは必至です。

 少なくとも値上げ圧力は生まれないでしょう。

 しかしながら、畜産業界は今でも既に青息吐息のところが多いです。

 大きな原因はアベノミクスによる円安により、飼料価格が高騰していることです。

 こちらは関税の問題ではないので、いくら貿易を自由化したからといって飼料が安くなるわけではなく、むしろ国際価格変動に振り回されることになるでしょう。

 また、環境問題がクローズアップされてきていますから、今後畜舎の環境整備も必要になるかもしれません。


○初年度に一気に6%(冷蔵用)あるいは8%(冷凍用)も引き下げられる

 →これにより、畜産農家の経営は一気に厳しくなるでしょう。

 「生かさず殺さず」というよりは「殺さないギリギリの範囲」での営農を余儀なくされ、最終的には農業参入の規制緩和で外国資本に農場が乗っ取られていく、なんて未来も有りうるかもしれません。


○為替変動で無に帰す程度の自動車関税の段階的撤廃を得るのと引き換えに、食の自給、安全と直結する牛肉の関税を半減させる道理はどこにもない

 →何をメリットで得て何を失うのか、きちんと精査することが必要です。


 さらに、今回の日豪大筋合意でわれわれが懸念するのは、それが目下進行中のTPP交渉に波及することが避けられないという点である。BSE問題で日本市場での牛肉のシェアが落ち込んだアメリカはTPP交渉で失地回復を目指している。それだけに、日米交渉でアメリカはオーストリア向けの関税を上限とみなし、それを大幅に上回る税率引き下げを求めてくるのは明らかであり、今回の日豪合意は、そうした市場開放圧力に対して防御の役割を果たすはずの国会決議を政府自らが放棄したに等しい。

 現に、オバマ大統領の来日を控えた日米交渉でアメリカは牛肉関税の撤廃、少なくとも一ケタ台までの引き下げを要求していると伝えられている。しかし、この局面でも政府・与党内ではアメリカ向けの関税をオーストラリアと合意した水準内にととどめれば国会決議に違反したことにならないという解釈が早々と台頭している。こうした議論は国会決議のドミノ的違反を身勝手な解釈で釈明しようとするものであり、許されない。

ここはもうそのまま、現状になっていますね。

TPPにも先に挙げたものと同じ「決議」がありましたが、それをなし崩し的になかったものにしてしまおうというのが今政府が取っている対応です。


われわれは政府と国会に次のことを要求する。

1. 2006年12月の自民党決議、衆参農林水産委員会決議に明確に反する日豪EPA協定には署名すべきでない。国会は大筋合意を白紙に戻すよう、政府に働きかけるべきである。

万一、政府が協定に署名したとしても衆参両院は国会でこの協定を承認してはならない。

2. 目下の日米交渉やTPP交渉では、牛肉ほか重要農産物の関税は除外または再協議するとした昨年3月の自民党決議、衆参農林水産委員会決議は厳守すべきである。オーストラリアと合意した水準の範囲内なら、これら決議に反しないなどというこじつけの解釈で決議違反を糊塗するのは許されない。

3. 関税以外の分野も含め、交渉の進展状況を国会と国民に向けて直ちに公開するよう求める。それなしに、いかなる国といかなる合意を交わすことにもわれわれは絶対に反対する。

4. 関税以外の分野も含め、衆参農林水産委員会と自民党の決議で示された諸項目は日本にとって最低限の聖域である。これさえも切り売りしなければならない状況に至っているTPP交渉から直ちに脱退するよう求める。

以上

ということで、これらの要求です。

1.日豪EPAは決議違反なので署名するな、

2.TPPでもなし崩し的に合意するな、決議を守れ、

3.交渉状況を公開しろ、

4.こんな交渉状況ならTPPなんて辞めてしまえ、

ということです。


以上簡単でしたが、偽百姓的読み解きをお送りいたしました。

最新情報が溜まってきています。

頑張って更新しますー!

2014-04-11

[][]日豪EPAとTPPにおける牛肉関税の扱いについて

TPPと日豪EPAについて。

日豪では20前後、TPPではまさかの牛肉一桁台後半との報道もあり、それはデマだと甘利担当相が言ったとの報道もあり。

仮にこれが本当ならもはやブッチギリで決議違反、公約違反ですからね。

セーフガードでお茶を濁したと思ったら大間違い。

それは何故か、以下解説。


1.「関税下げるけど今までの輸入量超えたらセーフガード出すから問題ないですよ」

→これは関税収入要らないよ、と言っているのと同義で、日本国にとっては貴重な税収を失うわけです。消費税を上げるほど困ってるはずなのに。これで儲けるのは輸入商社です。


2.93年の米騒動を忘れたか。

→冷夏で米不足に陥った同年、それまでコメに関しては輸入制限していた日本はタイ米を緊急輸入。

それにより国際マーケットが不安定になり、その責任を取らされる形で翌年に食管法廃止、ミニマムアクセス米の導入となったわけです。

牛肉についても、一時的には輸入量が増えないとしても、輸入肉の価格は確実に下がるし、それによって少なくない畜産農家が廃業に追い込まれるでしょう。

そこにきてBSEのような“災害”が起こって「緊急輸入」→セーフガード撤廃、という筋書きがないとも限らないわけです。


3.世界に対する影響

→関連してもう一つ言うなら、米豪牛肉輸入が増加すれば、それぞれの生産量が増える。すると当然必要な穀物飼料も増える。

ただでさえ穀物市場は不安定で、「食べられない」ための飢餓が世界中に蔓延っているというのに、未だ穀物生産余力のある経済大国日本がそれをするという罪は大きいと思います。


要はその辺りの想像力があるか否かという話で、それがないとウマい話にコロッと騙されるわけですね。

もちろんその辺り想像して伝えるべき立場にも関わらず、政府公報となってしまっているマスメディアの劣化という面もあり、そこを穴埋めすべきNGOサイドの弱体化というのもあるかもしれませんが。


以下関連報道。


10日朝、TBSが「牛肉関税1ケタ台も検討」と報じる

TPP関係閣僚が極秘会談、牛肉関税1ケタ台も検討

TBS系(JNN) 4月10日(木)6時28分配信

http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye2170618.html


 24日の首脳会談を前にヤマ場を迎えている日米のTPP交渉。交渉妥結に向けた安倍政権の最終方針を、4閣僚が極秘で協議しました。焦点の牛肉の関税を1ケタ台にまで下げる案も検討しています。

 「議論は深まった。しかし、まだまだ距離感はある」(甘利明 TPP担当相)

 大詰めを迎えているTPP交渉で9日、甘利担当大臣とアメリカのフロマン通商代表が11時間に及ぶ会談を行いました。会談では、アメリカは牛肉などの関税を原則撤廃するよう改めて要求し、意見の隔たりが埋まらなかったため、協議を10日に持ち越しました。

 その後、東京都内で、菅官房長官と甘利TPP担当大臣、林農林水産大臣、それに茂木経済産業大臣の関係4閣僚が極秘で会談。会談では、フロマン通商代表との閣僚協議の経過を報告したうえで、安倍政権として24日の日米首脳会談に向けた最終的な方針を協議したもようです。

 安倍政権としては、牛肉の関税についてアメリカが要求してきた撤廃は避け、オーストラリアと合意した20%程度から大幅に引下げ、1ケタ台とする案も検討するほか、豚肉の関税も大幅に引下げ、乳製品は低関税での輸入量を増やすなどの方針で最終調整を進めています。(10日04:46)


これに対し甘利大臣が10日午前に「具体的な数字は出ていない」と反論

1桁台に引き下げ「話ない」=甘利担当相、米産牛肉関税の報道否定−TPP閣僚協議

http://www.jiji.com/jc/zc?k=201404/2014041000176


 甘利明TPP担当相は10日、環太平洋連携協定(TPP)交渉の日米協議をめぐり、日本側が米国産牛肉に対する関税率(現行38.5%)を1桁台後半に下げることを検討しているとの一部報道について「一切そういう話、具体的な数字は出ていない」と述べ、否定した。2日目の日米閣僚協議開始前に記者団に語った。

 甘利氏は牛肉関税をめぐる日米協議について、「米国は従来、(原則関税撤廃という)TPPの原則論を言っているだけで、具体的な数字がどうこうはない」と指摘。具体的な関税の引き下げ幅をめぐる議論には入っていないことを示唆した。(2014/04/10-09:32)


午後には交渉が進展していないとの記者会見を行った。

米国とのTPP交渉、依然としてかなりの距離感がある=甘利担当相 2014年 04月 10日 16:28 JST

http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPT9N0MZ05R20140410


[東京 10日 ロイター] - 甘利明TPP担当相は、来日中のフロマン米通商代表部(USTR)代表との環太平洋連携協定(TPP)をめぐる交渉のあと、記者団に対して、一定の進展はあったが、それぞれの分野で落としどころがみえていないとの認識を示した。

◆米国とのTPP交渉、依然としてかなりの距離感がある

◆一定の進展あったが、それぞれの分野において落としどころ見えていない

◆双方の立場や事情について、率直な意見交換はできた

◆日米首脳会談は一つの節目になる、最終着地点ではない

◆日米首脳会談までの大筋合意、まだなんとも言えない

◆今後も事務レベルでの作業を日米で続けていく

◆来週以降、米大統領訪日までにどういった作業するか未定


北海道庁が、先日の政府説明会の概要をHPにアップしています。

答えにならない答え、という印象ですが、やらないよりはマシ。

こういうのを積み重ねていくしかないと思います。

<全体>http://www.pref.hokkaido.lg.jp/ss/ssa/ssk/TPP.htm

<当日概要>http://www.pref.hokkaido.lg.jp/ss/ssa/260325hokkaidosetsumeikai.pdf

2014-04-06

[][]米議会、TPP交渉に悲観的見方―日本抜きの合意

さて、本当にお久しぶりになってしまいました。

いやはや、投稿したい(しなければならない)記事は結構溜まっているんですが、自身の体調が良くないこともあって早めに寝る日も多く、なかなか更新できません。

しかしまあ良くないなーと思ったら早めに寝られるようになったということは良いことじゃないか、ということで、その分密度の濃い記事をお伝えできるように頑張ります。


と、言っておいてなんですが、今日はウォールストリートジャーナルの転載記事のみです。

TPPが進まなくなる中、日本政府は日豪EPA(経済連携協定)に力を入れ出していますが、こちらも畜産業を中心に国内農業、食品製造業への打撃はかなり大きいと言われています。

一方で農産物の関税を撤廃しない日本に業を煮やしたアメリカは、日本抜きのTPP合意も視野に入れ始めた、というニュースです。

また、既にわかっていた話ではありますが、自動車分野も本来であれば日本が得る数少ない利益分野のはずだったにもかかわらず、いつの間にか(というか日本の利益が無くなったのは参加前の事前協議で確約済みなのですが)「日本の自動車市場を開くにはどうするか」という話になっている、という点もあまりマスメディアでは語られていないように思いますね。

今月下旬にはオバマ訪日がありますから、そのあたりまでどのように動くか、注視が必要です。



米議会、TPP交渉に悲観的見方―日本抜きの合意も

http://jp.wsj.com/article/SB10001424052702303348104579480152385295612.html


 米下院歳入委員会は3日、フロマン米通商代表部(USTA)代表を招いて通商政策に関する公聴会を開催した。席上、歳入委メンバーらは、環太平洋連携協定(TPP)交渉について、停滞している新多角的貿易交渉(ドーハ・ラウンド)と同じ道をたどるのではないかと悲観的な見方を示した。

 米政府当局者はTPP交渉について、昨年中の合意を目指していたが、今では2014年中の合意を目標としていると話すようになっている。だが、2月に閣僚会合が開催されて以降、各国高官による会合は開かれていない。

 自由貿易協定推進派の民主党議員団を率いるロン・カインド議員(ウィスコンシン州)は「TPPはもう1つのドーハ・ラウンドになる恐れがある」と懸念を表明する一方、TPPの崩壊は「是が非でも」避けなければならないと訴えた。ドーハ・ラウンドは、12年前から交渉が続いている。

 サンダー・レビン歳入委民主党筆頭理事(ミシガン州)も、「TPPは極めて重要な段階にある」、「残っている重要問題のリストは暗唱できないほど長い」と述べた。ホワイトハウスは、4月下旬に東京で行われる日米首脳会談までに、TPPの対日交渉で一定の進展を示すよう圧力を受けている。

 米国が対日交渉で、自動車と農業分野のさらなる市場開放で日本から譲歩を引き出せるかどうかが、難航しているTPP交渉を活性化させ、TPPへの政治的支持を勝ち取るカギとなっている。

 通商交渉をめぐる米国内の政治状況が交渉を難しくしている面もある。上下両院の民主党指導部は、合意への障害を取り除く法案の年内採決に反対の立場を表明している。加えて、下院歳入委の通商協定支持派でさえ、米政府は交渉をまとめられないのではないかと危惧するようになっている。

 デービッド・キャンプ歳入委員長(共和、ミシガン州)は、米政府が年内にTPP交渉を妥結させることはできるかもしれないが、その場合日本を除外せざるをえなくなろうとの見方を明らかにした。

 同委員長は公聴会後記者団に対し、「日本が合意するつもりがないのならば、日本抜きで交渉を進める時が来ているのかもしれない」と語った。日米両政府は来週東京でTPPに関する実務者協議を開催する。日本のメディアによれば、フロマン代表はオバマ大統領の訪日前に、TPP交渉の打開を図るために訪日する可能性がある。これについて、USTRの報道官はコメントを避けた。

 フロマン代表は公聴会で、「今度は日本側がマウンドに立つ番だ」と述べ、ボールは日本側にあるとの認識を示した。