nicht seinの読書感想文

漫画やアニメ、同人誌の感想やらなんやらを細々と残そうかと。

それはいくら何でも言い過ぎだと思います

コミケの企業ブースでパワパフガールズZのイベントをやると少女漫画誌に掲載されたことに端を発して、サークルのみに負担がかかるコミケの現状に対する不満を述べているようです。
現在サークルの負担は

  • 参加費7500円

のみで、これは1年以上前から変わっていないはずです。

コミケでなにか事故が起きたら(当事者でなければ)その責任は(サークル参加者ではなく)コミケの主催であるコミックマーケット準備会に帰すでしょう。今回のパワパフガールズZのイベントに関してもそうならないようコミックマーケット準備会で色々対策をしているらしいです。*1
もちろん、サークル参加者も事故が発生しないよう、最悪の事態にならないように不審物のチェックやら、当日の健康管理などしなくてはいけませんが、別にこれはサークル参加者に限ったことではないです。

さて、サークル参加者の負担である参加費ですが、bolt69さんは

コミケの運営費のほとんどはサークル参加者が負担しています

と言い切っていますが、これはきっぱりと嘘ですw
"コミケ拡大会議レポート"には

毎回5〜6億程度の支出。サークル申し込み代金では賄えず、カタログ代捻出で少々の赤字。カタログ広告費用などでもつらいとのこと。スタッフ1人あたりの人件費(弁当代や装備代など)は2〜3万円(スタッフは無償ボランティア)。収支については複雑なため公開できない。

とあります。これが2005年度の話で、警備がきつくなってきている最近では増えこそすれ減ることはないでしょう。
コミケ70では約35000サークルが参加していますから、その参加費はだいたい2.6億円。半額にも満たない金額です。
ということで、bolt69さんの仰っていることは前提からして間違っていたりします。

では、この足りない金額をどこから捻出しているのでしょう?
上記拡大集会の質疑応答ではカタログ代やカタログ広告費を捻出しても赤字、とあります。しかし、コミケのように資産がない形態だと赤字では続けられません。どこかで黒を出さなければいけない。
結論的にはそれが企業ブースのわけです。まぁ、4Fだけじゃなくて各館の食料品店の出店なんかもあわせての話なんでしょうけど。
bolt69さんがどこから5万〜15万と聞いたのかは分かりませんが、わたしがスタッフの知り合いに聞いたところによると、4Fの企業ブースの出展はミニブースですら10万台ともっと高額でそれで警備代の埋め合わせをしているとのこと。

bolt69さんは企業ブースに対して営業的な宣伝を辞めさせたいのでしょうけど、そもそも企業は営利目的で参加しているのですから、これは現実問題としては難しいでしょう。


たしかに、「一般参加者」と「サークル参加者」が対等でなくなりつつあるというのはわたしも感じます。
ただ、わたしが危惧しているのはbolt69さんとはことなり、「サークル参加者」の負担が増える、というのではなく、「一般参加者」のお客様化が進んでいる、という方向ですが。
大規模になるとどうしてもそういうライト層は増えてしまうのはしかたないことですし、コミケの理念としてどんな層でも受け入れる(=お客様気分の参加者も受け入れる)というのがあるので、これは避けられないのでしょうし、本題ともずれるので置いておきます。


bolt69さんの文章にはコミックマーケット準備会に対する悪意が読み取れてしまって、どうしても書かずにはいられませんでした。
企業ブースのイベントに関して、参加者側が自主的に告知やら対処を行うのがいやだというbolt69さんの気持ちも分からないではないですが、憶測や根拠もない情報だけで一方的にコミックマーケット準備会を貶めるのはいかがなものかと思います。

また、コミックマーケットを中国になぞらえて米沢氏の独裁とか言っていますが、コミックマーケットの運営に疑問があるのなら、それこそ拡大集会に行って直接米沢代表に言えば良いわけです。*2米沢代表が嫌いだからと配布中止になったサークルなんて聞いたこと有りません。
コミケも中国も嫌いなのは分かりますが、この二つを同一視するのはいくらなんでも無理がありすぎると思います。

一応各項目に対して反論してみると

  • 米澤代表を中心にした独裁体制。
    • 拡大集会にいって意見を言える。目安箱やら申し込みアンケートなどもある。
    • 意見を言ったせいで落選したとか、えこひいきしてもらった、という事例は(少なくともわたしは)知らない。
  • 企業ブース導入による混乱
    • イベントなどへの対応は準備会側でも進めている
  • 参加費高騰によるサークルへの圧政。
    • 少なくとも一年以上前から変わっていない。他のイベントと比べても規模を考えればそんなもんか、と個人的には思う。
      • クリエイション 参加費3500円
      • コミティア   参加費4900円(椅子1脚のみ。追加で500円)
  • 著作権問題(笑)。
    • bolt69さんも認めているとおり、企業ブースはその対策にもなっていますw
  • 警備費の増加。
    • これは現実問題として増やさないと警察に怒られたり、なにか有ったときの対応に問題がでてきますが、中国の増大する軍事費とは関係ないと思います。*3
  • マチュアの頒布会ということを名目に社会的コストを負担せず。
    • 誰がどのような社会コストを負担していないというのかが、このセンテンスでは読み取れませんでした。
  • 大手とピコという格差社会の進行(笑)。
    • 最近は大手もおとなしくなった(というより企業ブースに流れた?)ようなイメージがあります。(実際、数千部以上刷る大手は減ってきているという記事をどこかで読んだことがあります)
    • また、昔みたいに大規模ジャンルというのが成立しなくなったのも一因かもしれません。
  • オタク文化は世界を支配する(笑)。
    • 一般へむけてのアピールは必要だと思われます。『3日間で50万人もの人が一ヶ所に集まる』というのは、コミケを知らない人にとっては恐怖の対象にもなりやすいです。
    • 「イタリアのビエンナーレっていうところで展示会をやっていたりするんだよ」と親をだまくらかすことも可能(w
    • で、コミケット準備会になんの関係があるのでしょうか?

明日も仕事なのに、こんな時間までなにやっているのやら……
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*1:http://www.sonymusic.co.jp/Animation/ppgz/news/main.htmlでの告知もその一環と思われます

*2:拡大集会はスタッフ参加者だけでなく、一般&サークル参加者も参加OKのはず

*3:個人的には中国は軍事費の増大よりも、政府が軍を抑えきれていないほうが怖かったりします