パイドロス (岩波文庫)

パイドロス (岩波文庫)

 古書で購入。前半の恋するものへ身をゆだねてはいかんという反駁される議論はいかにも詭弁っぽくて面白い。
 その後の弁論術だとか、話し言葉の優位性だとかも、トピックとして掘り下げがいがある話ですな。
 でも、もっともらしく語ることって、真実そのものを把握していなくてもできそうな気がするんだが、ダメなのでしょうか。調子のいい詐欺師は、知識なんてなくても手練手管だけでなんとかしちゃうんじゃないの。そういう場合は、人間心理に対する洞察があるから、ある意味知識があると言うのかしら。
 神様の名前がズラズラ出てきてだるい部分もあるし、全体を通して的確にポイントをつかむのは難しい感じがするけど、対話編という形式もあるのか、プラトンは哲学の古典の中ではとっつきやすさは相当上位ランクだろうし、気合入れなくても割と楽しく読めますね。