Twitter等で↓の「この利休にまっ茶ラテを作れと!」画像が流れてくるのをたまに見かけることがある。
ほりのぶゆきの漫画『東京お侍ランド』(ウェブ漫画サイト『モバMAN』連載。最近連載が終了した)の「千利休 リキュバ遺文」という回の1コマである。このコマが確かに面白いのだが、このコマだけが一人歩きしているのを見ると「これだけだと『茶人千利休がまっ茶ラテを作るよう命令された』って認識されるのでは…?」とモヤモヤするので、このコマのある『東京お侍ランド』「千利休 リキュバ遺文」の話の流れを箇条書きで説明してみた。
- 豊臣秀吉が千利休に茶室を作れと命じる
- 利休はスターバックスならぬ「リキューバックス茶室(リキュバ)」を作る
- 利休が秀吉に特製ラテを振舞う。秀吉「うまい!」
- 秀吉が妙案を思いつく。利休「この利休にまっ茶ラテを作れと!」
- カフェの道と茶の道といたずらに混ぜ合わせろというのですかと反論する利休
- これは東洋と西洋をひとつにする理想の第一歩だと力説する秀吉
- 利休、まっ茶ラテの先を行くまっ茶フラペチーノを作る。秀吉「あっぱれじゃ!」
- リキュバが海外進出、しかしまったく売れず失敗。
(2015年12月2日追記:概要だけでなく全文テキスト起こしを行ってみた)
1頁目
秀吉「茶の道を極めたその方にふさわしい最高の茶室を作らせてやろうと言うておるのじゃ。ありがたく思うのじゃな。それとも金では不足か?」
利休「不足ですな…もしお許しいただけるならそれ以上の茶室を作ってみせます。」
秀吉「おもしろい!ただし、このわしが黄金の茶室以上と認めねばその場で腹を切ってもらうぞ。」
利休「かしこまりました。」
(RIKYU BUCKS 茶室)
秀吉「なんじゃこりゃ?」
利休「リキューバックス茶室でござります。」
2頁目
利休「ま、私は勝手にリキュバと呼んでおりますが。どうぞ野点ならぬオープン茶室の方へ。」
秀吉「リキュバぁ!?な…なんじゃそれは?茶ではないな。香りが違う。」
利休「リキュバ特製のラテでございます。是非ご一献。」
秀吉「わ、わ、なんか色がドブっぽい、やめろーっ。」
利休「ここは是非天下人としてのチャレンジ魂でなにとぞ一口、利休の新たな試みにございます。」
秀吉「うまい!」
3頁目
秀吉「これが堺の商人にとり寄せさせたエスプレッソマシーンか…時代は日々進んでおるのう。」
利休「茶の道は茶のみにこだわっていては前には進めませぬ。」
秀吉「待てよ、利休!わしもひとつ妙案を思いついたぞ!」
利休「ほう…天下人のひらめき。実に興味がありますな。」
秀吉「茶の道はカフェの道…さらに進めば二つの道はまた重なる。つまりじゃ…」
利休「何と。この利休にまっ茶ラテを作れと!」
4頁目
利休「この利休、まだカフェの道は足を踏み入れたばかり。そのような半端者に……一旦は見切った茶の道といたずらに混ぜ合わせよと申されますか。」
秀吉「わからん奴だな!!これはわしの理想。東洋と西洋はやがては一つに…そのはじめの一歩としての試みじゃ。」
利休「しかし…秀吉様!!単純なれど難しい試みかと思われます。この利休に今しばらく時間をいただけますか。」
秀吉「わかった…よき結果を待っておるぞ。」
利休「まっ茶ラテをさらに進めたまっ茶フラペチーノでございます。」
秀吉「あっぱれじゃ!」
5頁目
秀吉「何い!リキュバが、海外進出!」
秀吉の部下「利休めは太閤様のお墨つきをいいことに日本全土にチェーン店展開を成功し、すでに大陸に数点出店した模様。」
秀吉「うぬぅ…図に乗りおって〜何より許せんのはこの秀吉より先に、大陸にその足跡をつけた事じゃ!!」
秀吉の部下「でもそれが全然ウケなくてその影響でチェーン店すべてつぶす事に。」
秀吉「で…毒ラテ飲んで自殺?地道に茶道やってりゃよかったのに。最近多いねこういうの。」(終)
この話における利休は茶道に見切りをつけてカフェの道に入ったという設定。「この利休にまっ茶ラテを作れと」は「この(カフェの道に足を踏み入れた)利休に(茶の道を混ぜ合わせた)まっ茶ラテを作れと」の意。和⇒洋ではなく洋⇒和である。
ほりのぶゆき作品の単行本の殆ど(全部?)は電子書籍化されており*1、「東京お侍ランド」も各種電子書籍サイトで求める事が出来るので興味を持った人はぜひ、どうぞ。
- 作者: ほりのぶゆき
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