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はるるの勝手に独り言

2017-11-19 いつの間にか増えている

 カズオ・イシグロの『忘れられた巨人』は、毎晩少しずつ読んで、先日読了しました。

 メタファー豊かな小説ですが、今の日本の状況に身を置いて読むと、かなり身をつまされるというか、いろんなことを考えさせる小説でした。民族的、国家的な記憶とか、和解とか、民族的な対立とか。

 読み終わって小説を本棚に戻す際に、別の著者の本が最近本棚に増えているなあと改めて実感して、それは誰かというと、ブレイディみかこさん。

 我が本棚に並んでいるのは、以下の本たちです。

 最近新書で出た『労働者階級の反乱』を読みたいなと思いつつ、まだ買っていません。

 あと、ファンでもないし、『いまモリッシーを聴くこと』は読まなくてもいいわよねえと思い、こちらは確信的に購入せず。

 この人が描くイギリスと、自分が今年見たイギリスは、階級が違うということなのか、少し風景が違っていると感じています。が、私が一緒に旅行したイギリス人はそろって労働党支持者で、彼女たちの感覚はブレイディさんが描きだすイギリスとつながっていて、興味深いです。

 そういえば、このところ往復書簡集を二冊読んだのでした。

 一冊目は梨木香歩と師岡カリーマ・エルサムニーのお二人による往復書簡『私たちの星で』。

 二冊目はぐっと大御所のお二人で、澤地久枝とドウス昌代の間で交わされた『海をわたる手紙』。

 

 どちらの本も魂が養われ良い時間をいただいたという思いがしました。ドウスさんの私的なこととか、初めて知ったことも多々あり。(そもそも、この人がピーター・ドウスの奥様だと知らなかったよ。)

 また、本を読む過程で、いろいろそれまであまり考えなかったこと(イスラーム世界のこととか)や、興味は持っていてぼちぼち読んではいたけど、深く向き合ったことないなということ(日系アメリカ人のこととか)を改めて考えました。

 そして何といっても、この人たちの本を読もう!という気にさせられました。梨木さんの本だけはほとんど全部読んでいますが、他は澤地さんの本を数冊購入したものの積読状態で、残りのお二方の著作は読んだことがありません。(澤地さんに関しては、共著は何冊か読みましたが。)

 ドウス昌代さんの書かれた本が気になったのですが、全部絶版だと分かり、いささかがっかり。(英訳されたものでアメリカで出版されたものは全て購入できるみたいなのですが。英訳も読んでは見たいですが、きっと難しいだことでしょう。)

 図書館で探して、いつか読みます。と言ってると、その「いつか」は来ないんだけども(^-^;。

 

 『ブリエアの解放者たち』、『日本の陰謀―ハワイ・オアフ島大ストライキの光と影』、『水爆搭載機水没事件―トップ・ガンの死』など興味あります。

 師岡カリーマ・エルサムニーさんの本では、『イスラームから考える』を読んでみたいです。

 私はカトリックなので、欧米を中心に他の地域(中東・アジア・アフリカ・南米)を含むキリスト教世界については情報も知識もそれなりにあるし、自分の中の世界把握もキリスト教世界を通して行っている部分があります。

 しかし、イスラームという要素は私の中ですっぽり抜けているので、その視点から世界を見たらどうなるのかについて、往復書簡を読みながらすごく興味が湧きました。

 

イスラームから考える

イスラームから考える

 ではでは。

 はるる

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2017-10-30 台風が来る日はイシグロを読もう

 というわけで、仕事も何も投げ出して、カズオ・イシグロの最新作…ではなく、

デビュー作『遠い山なみの光』を買い、日曜日に再読しました。

遠い山なみの光 (ハヤカワepi文庫)

遠い山なみの光 (ハヤカワepi文庫)

 昔、英語で読んでみたのですが、粗筋はともかく、細かい所は全然読めてなかった

なあと痛感した次第。

 こんな風に、原爆が影を落としていたなんて、全く読みとれてなかったです。

 今回、翻訳で読み返してよかった。

 のですが、娘の自殺の話が地下水流のように話の底を流れていて、これが辛かったのも、事実。

 この後、仕事に区切りをつけたら、読みますよ、『忘れられた巨人』を。

 もう購入はしていて、本棚に飾って横目で眺めている状況ですから。

 


 最近『私たちが孤児だったころ』も読み返して、やはりすごい作家ではないかと思い、

ちょっとイシグロ読みたい熱にかかっています。

 本屋でイシグロ研究本も立ち読みして(しかも立ち読みが一冊で終わらなかったので、

本屋側からすれば買いなさい!と仰りたかったのでは)、日本を題材にした最初の二冊、

特に『浮世の画家』の翻訳で論争があったとか、そういうゴシップめいたものだけが

印象に残っているという状態で、雨が降る中、家に戻り、購入した『遠い山なみの

光』を一気読みしたのでありました。

 立ち読みしたのは、こちらの二冊。

カズオ・イシグロ―境界のない世界

カズオ・イシグロ―境界のない世界

 すみません、購入するほどのイシグロファンではなくて。

 はるる

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2017-10-08 さらに読書

 前回書こうと思っていて忘れていたこと。

 大したことないですが、『メッセンジャー』の〈村〉はアメリカ合衆国のメタファーで、〈境界〉を閉じるかどうかという話は、現在のトランプ政権のもとのアメリカを予言していたかのような話だなあと思ったということ。

 そして今は、いきなりこの四部作から離れて、津島佑子の遺作『半減期を祝って』を読んでいます。やはり表題作は衝撃的でした。


半減期を祝って

半減期を祝って


 3・11から30年後、独裁政権のもとにあるニホンは、「高貴なヤマト人種」が優遇され、アイヌ人、オキナワ人、トウホク人が差別されるという社会を作りあげ、ASD(愛国少年団)に所属している子供たちは、トウホク人を襲撃する「翡翠の夜」という事件を起こし…というディストピア世界がこの短編小説の背景です。

 

 ううむ、『ギヴァー』シリーズに続いて、またもやディストピア小説を読んでしまった。

  

 (前略)いや、とっくに深刻な変化が起きていた。「ASD]を作った現政権はオリンピックの熱狂の余波から生まれたのではなかったか。変化は思いがけないところからはじまった。そして、その変化はもう、だれにも止められない。

 今まで、なにも気がつかないふりをしてきた。気がつきたくない。なにかに気がついたところで、どうすることもできないのだから。

 このところの政治の動きの中で、自分も無力感に苛まれ、「気がつかないふりをしてきた」のではなかったか。

 この部分を読んで、刃を突き付けられた気分になりました。

 この短編小説、何かの書評で評価が高かった記憶があり、読んでみたいと漠然と思っていたのですが、中川成美氏の『戦争をよむ』を読んでいて、最後に紹介されていた、この『半減期を祝って』についての説明文を読んだとき、矢も楯もたまらず読みたくなって図書館で借りて読んだ次第。(ああ、こうやって仕事がおろそかに…。)

 


 こうなったら、ディストピアつながりで、中村文則『R帝国』も読もうかしらん。

 

R帝国

R帝国

 はるる

 

 

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2017-10-06 読書の秋

 イギリスから帰国後は仕事に追われ、あのイギリスでの寛いだ日々は何であったかと思うほどでしたが、その忙しさの合間に仕事に必要な本以外の本を、何冊か読みました。

 イギリスから帰って英語の勉強にかこつけて、昔読んでいたく感動した Lois Lowry の The Giver を再読。

 

 ついで、この日本語訳(『ギヴァー 記憶を注ぐ者』)が出ていたので図書館で借りて読んでみたところ、今やこの話は四部作にまで発展していると知り、続編を読みたくてたまらなくなって、翻訳が出ていた第二作目『ギャザリング・ブルー 青を蒐める者』と第三作目『メッセンジャー 緑の森の使者』も借りて、立て続けに一気読みしました。

 第一作目の主人公が続編に顔を出していて、その後を知ることができたという点では嬉しかったですが、作品の出来という点で言えば、やはり一作目が最も水準が高くて、薄気味の悪い偽りの快適さに満ちた世界の描き方や主人公の心の変遷や最後の旅の部分などがとてもうまく描かれていて、成功していたと思います。(さすが、ニューベリー賞を受賞しただけはある。)

 第二作目もうまくまとめていましたが、第三作目が、頑張っているけど、一番落ちるという印象ですね。最後の部分がちょっと失敗しているかなあ…。

The Giver (The Giver Quartet)

The Giver (The Giver Quartet)


ギヴァー 記憶を注ぐ者

ギヴァー 記憶を注ぐ者


 でも、四作目があるので、まだこの四部作への判断を下すのは早いわけで、私は今、英語で四作目を読むか、翻訳を待つか、迷っております。

 完結編だから読みたいなあ。けど、日本語ほど英語は早く読めないし、隅々までよくわかって読むという英語力ではないし(^-^;。

 と、そんな時に入ってきたのが、今年のノーベル文学賞受賞者がカズオ・イシグロに決まったというニュースでした。

 カズオ・イシグロは好きな作家で、おお、この人の作品ンならすべてとは言わないが、何冊か読んだぞ!とテレビの臨時ニュースを聞いて一人興奮してしまいました。

(これまでのノーベル文学賞受賞者の作品で事前に読んだことのある作家は、大江健三郎以外にいなかったので。)

 イシグロさんの作品で一番好きなのは、『わたしを離さないで』かな。これは英語で頑張って読み、日本語でも読みました。

 

Never Let Me Go

Never Let Me Go


わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)

わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)

 これは文庫になるのを待っていた『忘れられた巨人』を買いに走るべきかと思っていたら、今月、早川書房から文庫が出るのですね。嬉しい!出たら、読みます。

 

 というわけで、読書の秋の夜に読む本は決まった。

 吉野朔美さんがご存命なら、イシグロ作品を全作読破していらしたので、きっと「吉野朔美劇場」で何か描いて下さったろうにと、ちょっと故人に思いを馳せました。

 『吉野朔美は本が大好き』のカズオ・イシグロの部分を読み返してみよう。

 

吉野朔実は本が大好き (吉野朔実劇場 ALL IN ONE)

吉野朔実は本が大好き (吉野朔実劇場 ALL IN ONE)

 はるる 

 

 

 

EmmausEmmaus 2017/10/08 08:22 はい、カズオ・イシグロはノーベル文学賞受賞のニュースで初めて知りました。長崎出身だということで親しみを感じて(子供の頃長崎に四年いました)、現在kindle版の「日の名残り」を読書中です。翻訳者の土屋政雄も面白そうですね。

はるるはるる 2017/10/08 20:37 『日の名残り』もいいですよね!心に沁みる世界でした。土屋政雄さんのことは全く知りません。翻訳者の方について思いを致したことがないです、そういえば。

EmmausEmmaus 2017/10/08 22:06 訳者のあとがきを読んで面白かった。カズオ・イシグロとの出会い。とか。

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2017-08-24 ただいま、イギリス旅行中

 イギリスに来て2週間。主にスコットランドを中心に数日ずつ滞在しています。

 アイオーナ島、エディンバラ、グラスゴーと移動し、今はイングランドのノーリッチに滞在中。

 ケルト系キリスト教の中心地だったアイオーナ島は行きたかった場所だったので、訪れることができて大満足。お天気もよくて、恵まれた旅でした。

 エディンバラとグラスゴー、どちらも良かったですが、個人的により好きなのはエディンバラです。旧市街は本当に魅惑的で、すっかり気に入りました。

 New town(という名前ですが、作られたのは18世紀。ジョージアン様式で統一された街並み)との対比も面白くて、歩いていて飽きませんでした。

 グラスゴーは工業都市という感じで、グラスゴー大学とその周辺は素晴らしかったですが、街自体は特段に言うことなしという感じでしょうか。

 ただ、ここは何といってもチャールズ・レニ・マッキントッシュが設計し、内装から家具からすべてを手掛けた(かつ彼の奥さんマーガレットがデザインした素晴らしいインテリアがある)家があちこちにある場所なので、マッキントッシュ三昧の二日間を過ごし、満足しました。

 今日からノーリッチに滞在。

 ここは私にとっては何といっても、ノーリッジのジュリアン(Julian of Norwich)の町です。到着したのが夕方だったので、今日は彼女のいた場所に行くことができませんでしたが、明日は午前中に行くつもりです。

 

はるる

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