Art Site Horikawa-II

徒然なる思いも含め書く事を積み上げ、アートの発想、構想力を鍛える。

トラウマの整序(1972/2017)

1972年2月の連合赤軍による浅間山荘事件の後、山岳アジト等での内ゲバリンチ殺人事件の全容が明らかになった。同世代の若者による凄惨な事件でいまだに記憶に新しいです。あの頃、大した学習もせずに時代の風潮に流され「赤軍」や左翼系に「よい社会をつくってくれる」などの思い込みでシンパシーを感じていた自分がいて、大義ない些細なヒステリー的理由で殺された前途有望な若者たちの無念な死に心を痛めた次第。その同じ頃に新潟市を舞台にした小西反軍闘争でも内ゲバ事件があり知人、友人が被害にあった。この左翼内のセクト争いは刑事事件があっても通報せず被害届も出さないと聞いた。官憲の介入を阻止するというのが理由。
これらの事件を経て、アートの無力さを痛感したが「アートをあきらめる」方向ではなくアートを歩み続けることしかできなかった。しかし、アートする事は悩ましいばかりで展望ある発想ができなかった。
その頃につくったのが径15cm〜30cmくらいの石を針金で際限なくグルグル巻くという作品で大小10個くらいつくった。その作品からその後何も生まれてくるものがなかった。最初から意味を喪失していた作品だったと2014年ギャラリー湯山での個展の際に巻いた針金を取り外し「石を石に返した」。その込み入った針金を用いてハート型(猪目」に整形。タイトルを「トラウマの整序」とした。本日、まだ残っていたもう一つの針金を同じ形に整形。タイトルは「トラウマの整序1972/2017」とした。
45年かかって出来た作品ですが、その作品生成の意味を共有してくれる人は誰もいないでしょう。自分だけで理解している作品という作品の立ち位置に一人で拍手。

1972年当時撮影。リンゴ箱に作品を入れて内ゲバで無念の死を遂げた同世代を追悼。この作品のうち一個だけ残して後は解体したために現存していない。

「トラウマの整序1972/2017」

2014年にもほぼ同じ内容でブログ「堀川紀夫のアート日記」で記事にしたと記憶している。重複した内容についてはご容赦を。

興味のある方下記をごらんください。
http://d.hatena.ne.jp/niigata-art226/20130712/1373622547