Theory U
就活を止めました。院をめざします。
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つくりました。ブログより更新が頻繁です。
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「なぜ」を問う前に「何」を問う
「なぜを五回問え」トヨタ生産方式で登場する言葉だ。「なぜ」という質問を五回問うことで問題の核心に迫れるという。スモール・ワールド現象にも通じる方法論かもしれない(西口敏宏『遠距離交際と近所づきあい』)
http://www1.harenet.ne.jp/~noriaki/link71-1.html
しかし、なぜを問う以前にしなければならないことがある。それは、そもそも問題が何であるかを問うということだ。「なぜ」がWhy?を問う質問なら、What?を問う質問である。
たとえば「なぜ勉強ができないのだろう?」と悩んでいる人がいるとする。その時にはまず「そもそも勉強ができない、とはどういうことか?」を考えるのだ。テストができないことなのか?作文が書けないことなのか?数学の問題が分からないことなのか?歴史の用語が覚えられないことなのか?具体的にどういう場面で「なぜ勉強ができないのか?」という疑問を持ったかをつぶさに、広範に想像してみるのである。その上で問題を特定して、なぜ「英文法の問題で正答を導けないか」を問うのだ。
どうして「何」を問うことが問題解決に有効となりうるのだろう。それは、問題が鮮明になるからであると考える。問題を明晰に理解できるから、どこを「カイゼン」すればいいかがより一層明らかになるということだ。問題が曖昧なまま「なぜ」を繰り返しても誤った方向に考えが向けられる恐れがある。
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試しに訊いてみようか。生きていることはつまらないって悩んでいる君、じゃあ、生きているとはどういうことなのか、わかっているのかな。生きていることはつまらないって君の言う、その「生きている」とはどういうことなのか、本当にわかっているのかな。
闇雲に「なんで?」を問うても答えが出ないときもある。そんなときはまず「どゅこと?」を問うことである。
方法記憶と読書
昨日の記事では大学受験生のころ、最も参考にしたWebサイトを再検討した。
http://d.hatena.ne.jp/nijiku/20090202/1233575305
端的にまとめれば、勉強はじっくり(考えて)繰り返せ、というのが、同Webサイトの主張のこのブログにおける修正案である*1。
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本書の中では「方法記憶」という概念が登場する。
「知識記憶」と「経験記憶」の二つの記憶について説明してきました。しかし、皆さんの脳の中にある記憶の種類は、この二つだけでしょうか?(略)もう一つ大切な記憶がありますね。(略)たとえば、自転車の乗り方や服の着方などの記憶です。つまり、ものごとの「手順」や「やり方」です。(略)こうした記憶は「方法記憶」と呼ばれています。
方法記憶をつかった勉強方法は数あるが、たとえば、論理や理屈でものを覚えることもその一つである。いいかえれば、記憶は「失敗」と「繰り返し」によって形成され強化されるものなので*2、じっくり考えること(=論理や理屈で考えること*3)を繰り返せ、ということになる。昨日の主張は、脳科学の観点からも補強できそうだ。
しかし、試験勉強や受験勉強は締切りや「よい点数をとらなければ」というプレッシャーからじっくり考える余裕をなくしがちである。当の私も「理屈」では本書の主張を理解していたつもりだったが、実際には「あまり考えず」勉強していた。「勇気を持って、ゆっくり行け」は北京五輪での北島康介選手だけでなく、上達したい人すべてへのエールといえるかもしれない*4
丁寧に読むこと、繰り返すこと
大学受験生のころ、最も参考にしたサイトである。
http://www.geocities.jp/nagare_basi/study/stdy_mokuji.html
詳しくは、サイトをみていただきたいが、主張されていることをまとめると
読むことを繰り返すことで理解が深まる
ということである。たとえば、
わからん科目は教科書を10回読むことである。ここで大切なことは、5回目までは、わかろうとか覚えようとか思わずに読むことだ。ここが第一のポイントである。
http://www.geocities.jp/nagare_basi/study/stdy2/stdy2_1_1.html
という記述がある。筆者は、とりあえず繰り返すことを主張する。
受験生時代、法則なるものを探していたので*1何も考えずに真似した。はじめに取り組んだのは日本史である。二週間に一度、教科書一冊読むようにしていた。もちろん、これだけが要因ではないだろうが、テストでは点数が取れるようになった*2他の科目でも真似した。倫理、英語、数学、生物、ある程度まではとれるようになった。
おそらく試験勉強では記憶によって解ける問題が多く占める。それゆえ「目を通す」ことだけでもそれなりの点数が取れるのであろう。本質的に理解していなくても「問題」は解けるからである。
しかし「繰り返す」だけでなんとかやっていけるのは、おそらく試験勉強までである。研究・論文執筆となると話は別だ。自ら新たに理論を構築せねばならない。他人の真似ではなく、オリジナルをつくろうとするとき「ただ繰り返す」だけでは難しいだろう。なぜなら、ただ繰り返すだけでは表面上の文字を「覚える」ことに終始してしまう可能性があるからである。これは実際に自ら体験した上での反省でもある。
おそらく、オリジナルなものをつくる時に求められるのは何度も「ざっと」繰り返すことではない。じっくりと論理を追うことである。哲学者で大阪大学総長の鷲田清一氏は、対談本『哲学個人授業』の中で「研究する本は1ページ目から一文一文順番に読んでいく」といった旨のことを書かれていた。読み飛ばししない、そういう読み方である。
もちろん「ワンランク上の勉強法」に書いてあるように「繰り返すこと」で理解が深まることもある。ここで大切なのは、ゆっくり読むことと繰り返し読むこととのトレードオフを理解しておくことである。どちらか一方だけでは不十分なのだろう。どちらも理解を得るための<読み>には必要である*3。ゆっくりを繰り返せ*4。本質的な理解はあっさりとは得られない。
*1:詳しくはhttp://d.hatena.ne.jp/nijiku/20090128/1233099056
*3:体験では、大学受験での現代文は「ゆっくり」とした読みを繰り返すことでできるようになると思われる
*4:http://www.nhk.or.jp/professional/backnumber/060314/index.html
詰将棋が強くする
昨日の記事「感想戦が強くする」を書いてから気づいたことがある。実は、将棋チャンピョンが最も重要視していた練習は、詰将棋だったのだ*1。
http://d.hatena.ne.jp/nijiku/20090131/1233413592
詰将棋は、基本的に退屈である。じっと、問題文と向き合う。ああでもない、こうでもないと考える。中級者以上になってくると、盤に並べるわけでもないので頭の中で駒を動かす*2分からないとすっきりしない。実戦で指していた方がよっぽど「楽しい」。
しかし、プロ棋士は詰将棋を重要視している場合がよく見られる。たとえば、羽生善治氏は「詰将棋」の本を持ち歩いているという*3。サラリーマンから将棋棋士になられた瀬川昌司氏の『後手という生き方』にもこういう記述がある。
後手という生き方―「先手」にはない夢を実現する力 (角川oneテーマ21)
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詰め将棋を一問解いたことによって、どのくらい自分の力がつくかというと、それはほとんどあるかないかのプラスにしかばらないだろう。けれども小さいことの一つ一つを投げださないでやっていくことが、結局はプロとしての本当の実力を積み上げていくことになる。(略)
他の勉強についても同じことが言える。棋譜を並べるというのも基本的なトレーニングの一つだが、これもただ並べているだけだと「指の運動」に終わってしまう可能性もある。苦しくとも、他人が指した一手一手の意味を考えながら「脳味噌に汗をかいて」並べることで、同じ一局を並べるにしてもその効果はまったく違ってくる。
突然「いい企画」を考えろ、といわれても何も浮かばないのは当然である。日頃からニュース・新聞・雑誌から世の中のトレンドを読み、顧客のニーズは何か?という「詰将棋」を解いているからこそ、企画書をつくるという実戦の場で優秀な作品が出来上がるのだろう。「私のすることにとっての<詰将棋>は一体何なのか」と問うことは上達のきっかけになりうる。
*1:わざわざ感想戦の話を取り上げたのは、ただ闇雲に量をこなせば強くなる、というわけではないことを示唆するためである。「実践、実践」だけでは上達しないということだ。
*2:例えばこんな問題である:http://blog.livedoor.jp/tobio1952/
*3:NHK:http://www.nhk.or.jp/professional/tool/080226/index.html
感想戦が強くする
将棋を指していた頃がある。半年ほど集中して取り組んだ*1。
「どうしたら将棋が強くなるのか?」当時、たまたまクラスにいた将棋の県チャンピョンに聞いたことがあった。彼曰く、「上達のコツは、実戦と感想戦と詰将棋」という(重要度は、実戦<感想戦<詰将棋らしい)
実戦とは、文字通り試合をすることである。インターネットのおかげで基本的にいつでもできるようになった。感想戦とは、試合のあとにその試合の一手一手を対戦相手(時には観戦者も含めて)と検討することをいう。「ここまでは定跡通りだね」「この時、この手をさされたらどうしようかと思った」「あの筋は読めなかった」等など<反省的対話>をする。そうやってフィードバックを繰り返すことで徐々に強くなる、という理屈である*2。
感想戦に似たこととして、記録をつけることが挙げられる。セルティックで活躍中の中村俊輔選手は毎日サッカーノートと呼ばれる記録をつけ続けているそうである*3。プロゴルファーの片山晋呉選手も同様のノートをつけているということだ*4。
では、どうして「振り返る」ことが上達につながるのだろうか?ひとつの仮説としては、自分の行為を修正する役割を担いうるから、といえよう。これはやってはいけない。これをやるとうまくいく。そうやって試行錯誤を繰り返す中で、正解に辿りつく、というわけだ。言葉で<意識>することが重要なのだろう。何も考えずに、うまくいったとしても再現が難しいからだ。
過去を振り返って「しまった。俺はなんて馬鹿なんだ」と振り返ることは「ネガティブ思考」ととられ忌避されがちである。後悔先に立たず、という言葉もある。しかし「うまくいった人」を観察していると、反省することが強さの原動力となっている場合がまま見られる。過去のネガティブさと向き合える人は、ポジティブな未来を得ることができる、とでもいえようか。
*1:ちなみに「はてな」取締役の梅田望夫氏も将棋ファンだそうである
*2:将棋上達論 http://www.shogitown.com/book/consi/04progress.html