2013年12月の俳句


つつましく生きるも良しや枇杷の花

季題は枇杷の花。花軸にかたまって咲く目立たない淋しい花とあります。しかし美味しい実を実らせるのですから。





全集を並べる書痴(しょち)や漱石忌

季題は漱石忌。12月9日です。夏目漱石は子規や虚子と親交が深く俳人でもありました。ユーモアがあってウイットに富んでいます。書痴とは書物の収集に熱心な人のことです。



面痩せる乙女の恋に冬の雨

先生曰く、「へぇ〜K子さんの句ですか。確か女のお子さんはいらっしゃらないのでは?」と。「いえいえ私の若かりし頃です」と答えましたら、教室中爆笑の渦。あらら、そんな時代もありましたっヨ! 
季題は冬の雨、寒くて小暗い雨音も静かな雨をいいます。



幼な子のあんよもどかし著ぶくれて

重ね着をした子はすこしおかしみがありますね。それもまた可愛い。ガンバッテここまでおいで。季題は著(着)ぶくれ。





雪吊をされ大松の男振り

兼六公園の雪吊は立派ですね。東京でもあちらこちらの名園で雪吊を行いますがほとんど飾りのようで、本場の雪国の方から観るとちゃっちいようです。季題は雪吊。