『生ゴミはよみがえる』菅野芳秀

土はいのちのみなもと 生ゴミは よみがえる

土はいのちのみなもと 生ゴミは よみがえる

「土」という物質が、何でできているのか、考えたこともなかった。

畑の土に、食べた野菜の生ゴミを微生物で発酵させた堆肥をすきこむ→堆肥で豊かになった土壌から、おいしい野菜が実る→野菜を人が食べる→野菜の生ゴミを集める、・・・最初に戻る。

このように、かつてはぐるぐる巡っていた野菜と土の関係が、ある時期から断ち切られるようになったという。
野菜の生ゴミは「燃えるゴミ」として焼却、畑には化学肥料。土の成分は出て行くばかり。比例して野菜の栄養素は年々減り続けているという。

このままではどんどん土がだめになる、と著者を含む3人のお百姓さんが始めた、生ゴミ回収運動。町中を巻き込んで、いまや、「レインボープラン」と呼ばれる一大事業となる。

生ゴミ」入れに、たばこの吸い殻をいれようとしたお父さんに、小学校5年生の男の子が「お父さん、そんなところに捨てたら、もどってくる野菜がたばこくさくなるからやめて」と言った、というエピソードは、著者じゃなくとも、はっとする。土は、わたしたちの生きる世界の一部なんだ。

行動の伴う環境論。お題目ばかりの環境運動とちがって、実りがあって、希望がある。

本書を読んで、あわてて、洗濯石鹸を純石鹸に戻した。純石鹸なら、めだかも生きられる。合成洗剤の溶けた水にはめだかの生存時間、20分だとか。合成洗剤よりずっと泡切れがよくていいのに、新聞屋さんからたくさんもらったから、はやく使わなきゃ、なんて理由でじゃあじゃあ流していたよ。

しかし、大都市ではこんなプランは無理なんだろうか。いつか、日本中のゴミ分別が、「燃やすごみ」「燃やさないゴミ」「資源ゴミ」に加えて「生ゴミ」になる日がくるだろうか。そのとき、日本の農業は、日本の野菜は、日本の土はどうなっているだろう。nikkouは、将来おいしい野菜の実る国に生きていたいと思うんだけどね。