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2005-08-01 連城三紀彦

nippon53742005-08-01
恋文 (新潮文庫)

恋文 (新潮文庫)

隠れ菊〈下〉 (新潮文庫)

隠れ菊〈下〉 (新潮文庫)

ゆきずりの唇

ゆきずりの唇

秘花〈上〉 (新潮文庫)

秘花〈上〉 (新潮文庫)


 「連城三紀彦」さん、、、大好きですよ♪

 ●『恋文』は不思議小説である。

結婚十年目を迎えた夫婦。

ある日突然夫が家を出る。

結婚前につきあっていた女性が身寄りのないまま難病にかかり、あと半年の命だと知って、その女性のために生きようとしていたのだ。

夫は妻と離婚してまでその女性の最後を看取(みと)ろうとする。

身勝手な夫を妻は卑怯(ひきょう)だと思う。

しかし同時に、何気なく過ごしてきた夫との十年で、今初めて一人の男として夫を意識している自分に気づく。

病院での挙式のとき、妻は白い封筒を差し出す。

離婚届が入っていた。

「俺、こんな凄(すご)いラブレター初めて貰(もら)った……」。

「与えて求めないという無償の愛がテーマだったんです。

相手をよく理解して、相手のしたいことをさせるのが本当の愛ではないかと。

仏教でいう慈悲(じひ)ですね。

無償の愛が人間にどこまでできるか、そんなことをためしてみたかったのです。

人間の世界ではありえないことだと言われましたが、でも、多かれ少なかれ、そういう愛がなくては生きられないと思うんですね。

瀬戸内寂聴さんと対談したとき、『恋文』を読むと、作者は坊さんでしか生きられないと思った、と言われました」

連城さんの小説では、女性の芯の強さと比べて、男性はどちらかというと優柔不断(ゆうじゅうふだん)のように見える。

「そうです。

ぼくの両親がそうでした。

その後ずいぶん男女関係を見てきましたが、その例外というのは見たことがないですね。

今までは人生相談とかは一切やらなかったのですが、五十になって、やってもいいだろうと思って、去年あたりから始めたんです。

女の人の相談というのはまともに乗り気になれないんです。

女の人は相談してきても、結局は自分の好きなふうにしかやらない。

強いですよ。

長いこと恋愛小説を書いていまして、夫の浮気問題とか嫁姑の問題とか、そういうのは得意なんですが、人生相談ではいじめの問題が多いですね。

個人的にも相談を受けていまして、毎日いじめのことを考えているんです」

連城さんは名古屋大学非常勤講師で「文章表現」について教えているという。

「文章というのは頭で考えるものじゃなくて、感性で表現するものですよね。

目や耳、五感(かん)を全部使って書くものですね。

ぼくが教えられるのはそれだけです」

十一年前、剃髪(ていはつ)して京都東本願寺で僧としても一歩を踏み出した。

「祖父母の代までぼくの家は真宗の寺だったんです。

父が寺を嫌(きら)って出てしまったんです。

でも、家には大きな仏壇(ぶつだん)があって、目が覚(さ)めると母が大きな声でお勤(つと)めしていたんですね。

そんなことで仏教が体にしみとおっていたのでしょう。

坊さんになることが自然だったという感じです。

深い縁を感じます。

小さな庵をむすんで、いろんな人の相談にのってみたいと、そんなことを思っているんです」

人は誰でも「綻(ほころ)び」をもっている、と連城さんはいう。

自分の綻びをどこかで感じている人は人の綻びにも寛容になれる。

綻びをもたざるをえない人間の悲しみと、その綻びをゆるす著者のまなざしの優しさが、読む者をして心のカタルシスをひきおこす。

そこが連城ファンにとってはたまらない魅力なのである。

 ● れんじょう みきひこ

作家

1948年愛知県生まれ。

早稲田大学政経学部卒業

在学中、「変調二人羽織」で「幻影城新人賞受賞。

81年、『戻り川心中』で日本推理作家協会賞受賞。

84年、『宵待草夜情』で吉川英治文学新人賞受賞、同年、『恋文』で直木賞受賞。

96年、『隠れ菊』で柴田錬三郎賞を受賞。

著書に『私という名の変奏曲』『暗色コメディ』『飾り火』『前夜祭』『落日の門』など多数。

『戻り川心中』は萩原健一主演で映画化された。

 ● オンライン書店「BK-1」

http://www.bk1.co.jp/author.asp?authorid=110001090730000


(注) 一連の写真での紹介は、「はまぞう」「BK-1」を試しているので、、

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