JR雑感(スペース・マガジンより)

 先日冒した大チョンボの完結編である。日立市で発行されている「スペース・マガジン」というミニコミ誌に、毎月コラムを書かせて頂いており、それをこのブログにも転載しているのだが、先月、この「JR雑感」を、2月号に既に載ったものだと錯覚して転載してしまった。ところが、これは3月号掲載予定で送稿していたものであり、全くの私の勘違いだったので、あわててこのブログから削除した。やっと3月に入り、同誌の3月号も発刊されたので、あらためて転載するものである。いささかお粗末な勘違いで、これも老化現象の現れかと苦笑しているところだ。


[愚想管見]  JR雑感                    西中眞二郎

 国鉄の分割・民営化から随分月日が流れ、「JR」という名前も定着して久しい。もっとも、同じ時期に「国電」を「E電」と呼ぼうという動きもあったようだが、さすがにこれにはムリがあり、間もなく取りやめになったのは賢明だったと言うべきだろう。
 不採算路線の切捨てをはじめとする大きな問題はさておき、以前に比べて、気の利いた車両も増えたし,キメ細かい気配りも目に付き、改善された面も多いが、他方、気に入らないこともいろいろある。思いつくままにいくつか触れてみよう。
 多くの方はご存じだと思うが、ジパング倶楽部という組織があり、65歳以上の人は、会員になれば料金が3割引きになる。これは我々高齢者にとってはありがたい制度である。ただ気に入らないのは、東海道・山陽新幹線の「のぞみ」が利用できないことだ。「のぞみ」が限られた「優等列車」だった時期には当然のことだったのだろうが、いまや、新幹線の主流は「のぞみ」であり、かつて主流だった「ひかり」は、東京からの場合だと新大阪止まりが多い。大阪より西に行く場合には乗り継ぎが必要になり、「ひかり」は随分不便になったし、そもそも「ひかり」の本数自体随分減った。「のぞみ」が優等列車でなくなった現在、せっかくの制度の有効活用のためにも、割引の対象に加えて欲しいものだと思う。それに、会員の多くは当然「ひかり」を利用するだろうから、「のぞみ」に比べて「ひかり」が混雑するという結果も招いているのではないだろうか。
 以前の駅名表示の看板には、多くの場合、その駅の所在市町村の名前が下の方に書かれていた。私のような地理好き、旅行好きの人間にとって、「もう○○市に入っているのか、それともその手前の△△町なのか」といったことは、知りたいことの一つである。ところが、最近の新しい駅名看板には、それが書かれていない場合が多く、この点私には大いに不満が残る。先日九州に旅行したら、九州の駅の看板には地名が書かれていたし、また、そのほかの地域でもたまに「○○市」といった表示が目に入ると、少し得をしたような気すらする。もっともそのようなことに興味を持っている人は少ないのかも知れないが、格別費用が掛かる話ではないと思うし、是非復活させて頂きたいものだ。駅名の看板と言えば、特急列車がかなりのスピードで駅を素通りする場合、駅名の看板を読み取ることは難しい場合が多い。昔、ホームのはずれに大きな字で駅名が表示されていたケースもあったように記憶しているが、このようなことも考えて頂ければありがたい。これらは、私鉄の駅の場合も同様だ。
 最近の傾向で気に入らないのは、列車内のトイレが男女別になっているものが出て来たことである。昨年4月号の「トイレ考」でも触れたことだが、男女別にすることに特段の実質的な意味があるとも思えないし、「限りある時間とスペース」を有効利用するためには、あえて男女別にする必要はないのではないか。目の前に空いているトイレがあるのに、それを背にしてイライラしながら待つというのは、どうにも納得できない。
 現在の体制になって、全体としてはかなり改善されていると思うだけに、だんだん欲が出て来て、細かい注文も付けたくなるところだ。(スペース・マガジン3月号所収*)