題詠100首投稿(001〜010)

 ここ数年参加しているネット短歌の会(注)への投稿である。投稿は、100の題につき1首ずつトラックバックして進めるのだが、1日に1首では効率が悪いので、投稿した後でまとめて整理し、ある程度まとまったものを、改めてこのブログに載せることにしている。
 毎年スピードは速い方で、半月くらいで100題完走しているのだが、今年は少しゆっくり走りたいとも思っている。ただ、毎年勝手な選歌をすることにしており、自分が投稿する前に他の方の作品は読まないことにしているので、自作の投稿をしないことには選歌も先に進めない。そんなわけで、今年も結構早い完走になってしまうのかとも思う。
 ただし、今年はこれまでとは多少違う事情もある。実はこれまでは、新作以外に、未公表の在庫品も結構利用していたのだが、昨年11月に、「第三歌集・古希前後」を刊行した。その関係で、気に入った在庫品はかなり手薄になっている。このため、今年は新作が多くならざるを得ないので、これまでよりはペースが落ちざるを得ないのかなという気もしている。
(注)五十嵐きよみさんという歌人の方が主催しておられる会で、100の題が示され、これを2月から11月までの間に題の順にトラックバックして行くというスタイルの会。毎年、ある程度まとまったところで勝手な選歌集をこのブログに掲載し、終わったところで「百人一首」を作っており、今年も同じようにしたいと思っている。


001:初
また一人人の失せたる帰路にして二月初めの夜の風寒し
002:幸
気を揉みし終電やっと間に合いて坐りし我れの小さき幸せ
003:細
駅頭にたむろしている若者らいずれも細く長き足持つ
004:まさか
そのときはまさかと思いていしことがいつしか動かぬ前提となる
005:姿
夕暮れの川沿いの道行く女(ひと)の後姿に風吹き抜ける
006:困
発端はボタンの掛け違いやも知れず政治も社会も貧困となる
007:耕
 過疎なれば耕す人もなくなりし畑の続くふるさとの道
008:下手
捨て下手でガラクタばかり抱え込む息子はやはり我が血を引くか
009:寒
参道に小さき篝火燃えていて神楽見に行く夜の寒からず
010:駆
ぐっしょりとお尻濡らした若き娘(こ)が雨の列車に駆け込んで来ぬ