2011-12-04 題詠100首百人一首
題詠100首百人一首
001:初(足知)
マフラーを髪にも巻いた寒がりのあなたを胸に仕舞った初冬
002:幸(新藤ゆゆ)
おたまじゃくしをすくうみたいに幸せな指のかたちに折りまげてみる
003:細(ちょろ玉)
黒板を君はメガネをかけて見る 僕は細めた目で君を見る
004:まさか(五十嵐きよみ)
ポケットの右には「まさか」左には「やはり」が同じ重さでひそむ
005:姿 (香澄知穂)
あてもなく君の姿を探す街スカイツリーの蒼い影立つ
006:困(月原真幸)
困ったら誰かにつながってるはずの小指の先を握って隠す
007:耕(浅草大将)
耕して拓く楽土の夢さへも荒れ野の果てに伯父は眠れる
008:下手(鮎美)
009:寒(新田瑛)
働いてはじめての冬寒冷地手当で買った赤い手袋
010:駆(北爪沙苗)
沈黙のをとこはかなしも子としてのわれもかなしく駆け抜けるのみ
ゼロサムのゲームなんだね 思いきり甘くして焼くジンジャーケーキ
012:堅(みずき)
帯紐の堅さに凛と伸ばす背 春のうららを踏みて祇王寺
013:故(生田亜々子)
何故なんて言わせやしない目の前で潰す真っ赤な絵の具のチューブ
014:残(小倉るい)
残りたる家に「解体OK」の赤ペンキあり5月の宮古
015:とりあえず(はこべ)
とりあえず手袋はめてコート着る 選びかねたる散歩のコース
016:絹(小夜こなた)
桜色の絹のストールなびかせて自粛ムードの春を闊歩す
017:失(牛 隆佑)
僕もまた誰かにとっての失ったものでありえて宙を漂う
018:準備(雑食)
お別れを告げる準備はあなたからもらった紅を引けば整う
019:層(揚巻)
再生の鐘鳴りやまずかなしみのどの層位にも浮かぶ小夜曲
020:幻(酒井景二朗)
幻のごとき命か日だまりにしづまる墓に酒を注ぎつ
021:洗(水風抱月)
洗い髪梳かせば黒き一条の悔恨絡め嗤う指先
022:でたらめ(音波)
くだらない話をしようでたらめな歌をうたおう陽が照っている
023:蜂 (さくらこ)
024:謝(今泉洋子)
一日中メガネはカギは探しもの ミニミステリーあふれる我が家
026:震(理阿弥)
水面にて羽震わせる蛾を深く沈める指に波動さみしい
ぬるい水を口に含んだ そういえば今日は誰とも話していない
028:説(行方祐美)
029:公式(みち。)
ととのった公式みたいな恋をして解答用紙を火あぶりにする
030:遅(廣田)
031:電(星桔梗)
電線に連なる鳥の淋しさをついばむように朝陽がのぼる
032:町(夏実麦太朗)
市は町をのみこんでゆき何ひとつ昨日と変わることのない空
033:奇跡(はせがわゆづ)
てのひらにたしかな奇跡をあたためてポケットでつなぐ夕暮れの帰路
034:掃(梅田啓子)
すじ雲の天女のころもに見ゆる日はゆうべの紅きはなびらを掃く
035:罪(晴流奏)
真っ直ぐな君の視線は罪作り僕の本音も知らない癖に
036:暑(中村成志)
昼つかた蟻には蟻の蔭おちて暑中お見舞い申し上げます
037:ポーズ(紗都子)
三日月のポーズで高く伸びゆけば真夏の空にふれるゆびさき
038:抱(三沢左右)
モノクロの写真の中で銃を抱く姿は遠く影を投げ出す
039:庭(西中眞二郎)
040:伝(原田 町)
のっぺらぼうの伝説ありしこの街にのっぺらぼうなビル立ち並ぶ
041:さっぱり (モヨ子)
夏草に似てさっぱりとした君とシャツを購う今日の名残に
042:至(南雲流水)
急行に乗り継ぐ人を見送れば風が流れる夏至のホームへ
043:寿(いちこ)
冷静な別れ話の延長に値段表記のなき寿司を食む
044:護(藤野唯)
だめなひとばかりを好きになるのだと気付く誰にも護られぬ午後
045:幼稚(穂ノ木芽央)
幼稚園バスのトーマスさみしげに最後の子どもを降ろしゆく春
046:奏 (鳥羽省三)
奏鳴は寂として果つ午後八時サントリーホールしはぶきの満つ
047:態(東雲の月)
酔った目の嬌態左に抱き寄せて鈍き指輪の閃きを知る
048:束(まるちゃん2323)
049:方法(千束)
皆同じ制服まとい息継ぎの方法さえも知らなかった日々
050:酒(おおみはじめ)
051:漕 (T-T)
真っ白なシャツを帆にして自転車を漕ぐ君の背がとけ込む夕焼け
052:芯(久哲)
尺と言う古い単位に包まれて花火の芯で眠る夏色
053:なう(湯山昌樹)
旨そうなうなぎのにおいさせていた店も跡継ぎなくて閉じたり
054:丼(砺波 湊)
丼の底にはちいさな龍二頭 互いの尾の先追いかけている
055:虚(飯田彩乃)
帰らざる日々を思へば八月の日付は淡き虚数で記す
056:摘(保武池警部補)
057:ライバル(不動哲平)
058:帆(オリーブ)
少年の白いTシャツ風はらみ帆船となる夏の自転車
059:騒(アンタレス)
静かなる海に人恋う夕暮れの砂浜に座し潮騒を聴く
060:直(伊倉ほたる)
嘘つきにも馬鹿正直にもなれなくてバジルをちぎる白いキッチン
061:有無(るいぼす)
062:墓(村木美月)
かなしいをちゃんと形にできたからお墓の前で笑ってみせる
063:丈(こはぎ)
ひとりです おやつを我慢しなくてもいいし昼まで寝ていてもいい
065:羽(ひぐらしひなつ)
066:豚(佐藤紀子)
故里の夏には父母が使ひゐき豚の形のピンクの蚊遣り
067:励 (草間環)
励ましの言葉飛び交う列島に背をむけている猫背のわたし
068:コットン(空音)
いい人の振りなんてもうするものか裂くように脱ぐコットンのシャツ
069:箸(新井蜜)
悔やまれること思ひだし箸を置く時報の後のニュース聞きつつ
070:介(猫丘ひこ乃)
介護する吾の腕(かいな)は母の背の震えにまじる寂しさも抱く
071:謡 (うたのはこ)
072:汚(奈良絵里子)
うわばきの汚れることが嫌だった 小学校の避難訓練
073:自然(詩月めぐ)
074:刃(吾妻誠一)
シェーバーの型番のメモ取り出して替刃を探す閉店間際
075:朱(横雲)
白梅の散りかかりたる朱唇佛手合わす君に梅散りかかる
076:ツリー(南野耕平)
077:狂 (南葦太)
まだ君の夏の帽子は出っぱなし壁の時計は狂いっぱなし
078:卵(ほたる)
ゆで卵つるりとむける幸運を今日の証と思う朝食
079:雑(ウクレレ)
絞られた形のままで雑巾は乾いて夢を抱き続ける
080:結婚 (tafots)
お互いの結婚式に呼べるほど仲良しのまま別れましょうか
081:配(桑原憂太郎)
プリントを配る動作も担任の物真似をする一つとなりぬ
082:万(砂乃)
万感の思いを込めて見つめれば娘が振り向く卒業の朝
083:溝(夏樹かのこ)
側溝の桔梗一輪あでやかに冴えて少女が自転車を駆る
084:総(ネコノカナエ)
「総持寺」と御詠歌に聴き掃除する祖父をおもった幼い夏の日
085:フルーツ(津野)
籠盛りのフルーツの色は鮮やかに白き部屋には白きカーテン
086:貴 (藤田美香)
安売りのボンボンチョコと缶コーヒー貴婦人みたいなため息をつく
087:閉(牧童)
閉された想い朽ち果て歳月の砂塵のなかに舞う忍冬(すいかずら)
088:湧(青野ことり)
目覚めれば秋はにわかに湧きあがり金木犀の香りで満ちる
089:成(野州)
090:そもそも(富田林薫)
そもそもと切り出した後の静寂のコーヒーカップにかすか秋色
091:債(睡蓮。)
092:念(コバライチ*キコ)
念仏を唱うる僧の広き背に西日の影が伸びて這いおり
093:迫(小林ちい)
早足で高ニの終りが迫り来る言葉にならない不安を連れて
094:裂(龍翔)
引き裂かれ弾けて飛んで転がったボタンの穴が君を見ている
ためらいと遠慮のまじる送信が遠いどこかで鳴らす着信
096:取(香村かな)
取得した資格の数と同じだけ諦めてきた恋もあるから
097:毎(船坂圭之介)
夜毎夜毎夢に顕つ(たつ)影遠くして亡妻(つま)かあらずかわが迷ひ居り
098:味(螢子)
099:惑(紫苑)
100:完(葵の助)
百人一首完成おつかれさまでした。
毎年楽しみにしています。(^_^)
投稿された数万首にもおよぶ全ての歌を読んで、
ゴール後数日のうちにまとめてしまう。
これはもう神業ですね。
百人一首、味わいつつ読ませていただきます。
麦
今年は、職場は変わらないのですが、今までとは全く違う内容の仕事を任され、短歌に目が向かない時期もありました。しかし、西中さんの選歌に勇気づけられて、何とかここまでやってきました。
そんな事情もあり、選歌いただくたびにご挨拶することは控えさせていただきました。ここで、一年分の「ありがとうございました」を申し上げます。
「百人一首」に選んでいただいたのは、正直「なう」を元のままの形では読み込めなかった、逃げの一首です。しかし、過疎化する我が町の、ある意味で食文化の中心であった店が、突然姿を消した、という感情も、出せたのではないかと思います。
しばらく充電をして、またお会いしましょう。
今年も歌をたくさん採って頂き、「百人一首」にも入れて頂きまして、
ありがとうございます。何よりの励みになりました。
「百人一首」の歌は自分でも気に入っている歌なので、とても嬉しいです。
今年はいろいろなことがありましたので、完走出来たことが今まで以上に嬉しいです。
来年もご一緒できますことを願っております。
お疲れが出ませんようにご自愛くださいませ。
早速にご丁寧なコメントありがとうございました。来年もよろしくお願い致します。どうか御元気で新しい年をお迎え下さい。(少し気が早過ぎるのかも知れませんが・・・)
いっぱいです。どんなにか励まされて夢中で突っ走ってしまいました。
西中さまの掲示板の重厚さ、緻密で精力的な選歌集、その完成度の高さには、ただ感嘆しております。
お心遣いの暖かさ、優しさに惹きつけられるのは、皆さまも同じと思います。どうぞこの感動がいつまで
も続くようにと願って止みません。お疲れが出ませんよう、どうかご自愛下さいませ。
選歌おつかれさまです。
題詠に参加して3年目、西中さまに取り上げていただけるのが、
何よりの励みとなって今年も完走できました。
ありがとうございます。
百人一首に入れていただけるのは完走したご褒美ですね。
重ねてありがとうございます。
西中さまの優しい声援に感謝、感謝です。
来年も完走めざしたいと思います☆〜
ご丁寧なコメントありがとうございます。至って勝手気ままな選歌、選定でお気に召さない点もあろうかと思いますが、これからもよろしくお願い致します。寒くなります折から、くれぐれもご自愛下さい。
また百人一首にも選んでくださりうれしく思っています。
来年もどうぞよろしくお願いいたします。
初めてコメントさせていただきます。私は今年、題詠に初参加した短歌初心者ですが、選歌でたびたび取り上げていただき、百人一首にまで入れていただけたことは、大きな励みとなりました。今後も短歌を楽しんでいきたいと思います。ありがとうございました。
よいお年をお迎えください。来年もご縁がありましたら、よろしくお願い致します。
毎年のことながら お疲れさまでした。そしてありがとうございました。
莫大な量で 本当に感謝です。
それに 今年はダメだと半分は諦めていましたので うれしさも一入です。
ご丁寧なコメントありがとうございます。これまでの皆様へのご返事で、ご返事に代えさせて頂きます。これからもよろしくお願い致します。
選歌ならびに百人一首選定お疲れ様でした。今年は数々の拙歌を選んでくださりありがとうございます。西中様はご謙遜なさいますが、あなたの見る目はこの百人一首をみれば一目瞭然!実は心ひそかに『西中さんのところの百人一首に残ること』が目標だったので、今年は嬉しく越せそうです。
最後になりましたが、良いお年をお迎えくださいませ。
久哲でした。
百人一首選定お疲れ様でした。
膨大な投稿数の中から選ぶという作業、私には到底出来そうにありません…。すごいです。大変な労力だと思いますが、完成を見ることができて本当に嬉しいです。
どれも素敵な歌ばかりで、もう一度色々な方の投稿歌を振り返ってみたくなりました。
最後になりましたが、拙歌を取り上げてくださってありがとうございます。また度々の選歌、本当に嬉しかったです。ありがとうございました。
師走に入りいよいよ寒さも厳しくなってきております。どうぞご自愛くださいますよう。
お邪魔しました。
私の歌も入れていただきありがとうございました。
今回が初挑戦でしたが、来年も完走に向けての楽しみが増えました。
百人一首の完成おめでとうございます!
私の歌もたびたびとりあげていただき、また百人一首にもいれていただき、ありがとうございました。頑張って完走したかいがありました。
今年は震災という大きな出来事があり、この百首にもその影が落ちているように感じました。(私がそう意識して読んでしまうせいでしょうか…忘れがたい百人一首となりそうです)
来年はどのような百首が選ばれるのか、また楽しみにしております。
昨年に引き続き今年も選んでいただきありがとうございます。そうそうたる歌の中に自分の歌があるのは気恥ずかしくも嬉しいものです。来年もしっかりと詠んでいきたいと思います。
しかも、親娘で百人一首の中に…。驚きと感激で涙腺が緩んでしまいました。
喜寿が近いとのことですが、この大変な労力は、ひとかたならぬ想いと、ご苦労かと…。
私は、老々介護の身ですが、ひと足先を、パワフルに生き生きと走っていらっしゃる
西中様という方を存じ上げ、私も頑張って生こうと思います。
西中様にパワーと感激を、短歌の心を戴き、心から感謝申し上げます。
ついつい長くなってしまい申し訳ございません。
最後に、くれぐれもご自愛の程、来年も佳き一年でありますようお祈り申し上げます。
年末も迫って参りました。どうかご母堂様、miki様、お嬢様、皆様お揃いで良い新年をお迎え下さい。
こんばんは。例年は「わたつみいさな」で参加しておりました者です。
ご無沙汰いたしております。
今年の題詠も、本当におつかれさまでした。
私は、相変わらず中だるみのラスト猛ダッシュ…で、まったく納得いかない走りとなりましたが、
百人一首の中に入れていただいたのを見つけたときは驚きました〜
ありがとうございます。
誰もしらない「藤田美香」の名前で、歌をとりあげていただけるということは
とてもうれしく、また励みになりました。
西中さん、どうぞこれからもぜひ!続けてくださいね!
選歌の記事だけでなく、いつも楽しみに拝読させていただいています。
それでは、また♪
本当にありがとうございました。おつかれさまでした!
短歌以外の記事もご覧下さっているとか、とても嬉しい話です。最近は短歌以外はほとんど書いていませんが、少々真面目に考えたいとも思っております。
どうかお元気で、良いお年をお迎え下さい。
百人一首完成おつかれさまです。
私の短歌も入れていただけるとは大変光栄です。
題詠中はこちらのサイトに選歌されるのがとても励みになりました。
また次回の題詠でお目にかかれることを楽しみにしています。
ひとまず、お礼まで。
来年もぜひお会いしたいものです。
もう忘れてしまっていた豚の蚊遣りの歌が入れていただいてあったので、うれしい驚きでした。
2012年も参加表明しましたので、またお会いできると楽しみにしています。