2011-03-01から1ヶ月間の記事一覧

題詠100首選歌集(その17)

大震災以来、重苦しい虚脱感とともに、これまでの自分の存在が虚構の上に成り立っていたような、奇妙に現実感の乏しい日が続く。その感覚を歌にするには、自分自身の力量不足を感じるほかない。 選歌集・その17 005:姿(138〜162) (新井蜜) 姿見…

題詠100首選歌集(その16)

選歌集・その16 004:まさか(157〜182) (祢莉)まさかまた会えるだなんて思わずにいたから今日はジャージ着ている (佐田やよい)ぼた雪がまさか四月の青空に君の行方を追うように降る (牧童)一瞬に揺れる想いも凍てつきてまさかアネモネ造花の…

題詠100首選歌集(その15)

選歌集・その15 015:とりあえず(78〜103) (五十嵐きよみ)動揺をごまかすためにとりあえず空咳をして言葉を探す (砂乃) 春までは襟足寒き日が続く薄手のマフラーとりあえずする (尾崎弘子)「とりあへず」と名付けたドキュメントフォルダに見な…

題詠100首選歌集(その14)

震災後、題詠100首の投稿が伸びない。震災の深刻さ、加えて原発事故に対する不安などから、なかなか短歌モードになれないのだろうと思う。選歌している私とて同様だが、気持を紛らわせるということもあって、やっと貯まった在庫の選歌をしたところだ。 事…

地震の御報告など

今回の大地震、東北地方の惨状は予想を遥かに超えるもので、心の痛むところだ。題詠100首の投稿も、ほとんど増えていないようで、「選歌集」をまとめる数にはなかなか到達しない。選歌集を載せる際に、地震の感想も書こうかと思っていたのだが、皆様それ…

題詠100首選歌集(その13)

去年のブログを覗いてみたら、3月10日で、選歌集その12、題は46までとなっている。それと比べれば、今年は少しペースが速いようで、ご同慶の至りだ。 選歌集・その13003:細(150〜174) (美亜) さよならを伝えることも出来ぬまま佇む我に降…

題詠100首選歌集(その12)

選歌集・その12 004:まさか(132〜156) (伊倉ほたる)やわらかな嘘はそぉっと包み込む まさかが目覚めてしまわぬように (三沢左右) 君の言う「まさか」は僕の当然で、でも分かり合う、そんな距離感 011:ゲーム(78〜102) (五十嵐きよみ)…

題詠100首投稿(091〜100)&完走報告

題詠100首投稿(091〜100) 091:債 今となれば赤字国債の是非などが議論されたる時なつかしき 092:念 とりどりの記念切手を貼り合わせ昨日の礼の手紙を出しぬ 093:迫 帰路いまだ五時過ぎなるに宵闇は迫りていつか秋の深まる 094:裂 山は裂け海はあ…

八百長・タニマチ・土左衛門(スペース・マガジン3月号)

例によって、スペース・マガジン(日立市で刊行されているタウン誌)からの転載である。 [愚想管見] 八百長・タニマチ・土左衛門 西中眞二郎 大相撲の「八百長」が話題になっているが、相撲に関連して誕生した言葉はいろいろある。 まず、当の「八百長」で…

題詠100首投稿(081〜090)

題詠100首投稿(081〜090) 081:配 秋葉原メイド喫茶の女の子我を無視してチラシを配る 082:万 このところ違和感あるは国歌斉唱 万歳三唱 サイレンの音 083:溝 露天風呂の排水溝に紅き葉のひとひら落ちて流され行けり 084:総 総(ふさ)飾り付けた…

題詠100首選歌集(その11)

選歌集・その11 006:困(105〜129) (青野ことり)眉を寄せ息で応える困惑を隠さぬままに 終日くもり (竜胆)洋盃の中にてこほり鳴る音といささか似たる君の困惑 (藍鼠)困惑をかくしきれないまなざしがかわいくてまた、隠れ鬼する 007:耕(10…

題詠100首投稿(071〜080)

題詠100首投稿(071〜080) 071:謡 新しき歌謡曲とも縁遠く古き歌のみ歌うスナック 072:汚 排ガスに黒く汚れし雪の土手を両脇に見てバス走り行く 073:自然 われこそは自然発生派無手勝流 至って無精なる歌詠みなるぞ 074:刃 立ち並ぶ高層ビルの稜線…

題詠100首選歌集(その10)

3月に入ったが、寒い日が続く。走者の方々もまずまずのペースで進んでいるようだ。 選歌集・その10 001:初(152〜176) (水絵)気まぐれな冬将軍の置き土産 子等のはしゃぎて初雪の朝 (拓諳) 触れあつたふたりの指のぬくもりをこわさぬように初…