レバレッジメモ:イノベーションと企業家精神(1st draft)

イノベーションと企業家精神 (ドラッカー名著集)。まだ消化不良気味なのでこれを載せてしばらく休んでからまた読もうと思う。ドラッカー本人の赤い本のいいところは実例が豊富なところだけど、それを引用しだすときりがないのでバッサリ切り捨てた。

ハイテクの発明発見によるイノベーションはリスクが大きい。しかしベル研やIBMのように体系的にマネジメントすればさほど大きくはならない。
イノベーションが資源を創造する。原油ボーキサイトはかつて地力を損なう厄介者だった。
経済において購買力に勝る資源はない。割賦販売の発明により突如農機具購入のための購買力という資源が生まれた。
コンテナというアイデアは船舶の生産性を4倍高めた。
教科書の発明により教師の生産性が何十倍にもなった。
イノベーションは技術に限らない。モノである必要すらない。新聞、保険、割賦販売、徒弟制度、政府と近代国家
日本が行った創造的模倣戦略こそきわめて成功確率の高い企業家戦略
19世紀における技術市場の最大の偉業は発明の発明。天才のヒラメキによる発明から、体系的な開発研究部隊による発明へ。イノベーションにも同様の体系化が必要。
イノベーションの7つの機会: 予期せぬ現象、現実と理想のギャップの存在、ニーズ、産業構造の変化、人口構造の変化、物の見方の変化、新しい知識の出現。これは信頼性と確実性の高い順。新知識に基づくイノベーションは目立つが信頼性が低い。それより日常業務における予期せぬ成功や失敗に対する目立たない分析の方がリスクが小さく、リードタイムが短い。
マネジメントが報酬を支払われるのは判断力に対してであって無謬性に対してではない。
テスト機器の予期せぬ成功が意味していたのは、単にその製品が別の用途に使われたと言うことではなく、ニッチ市場の終焉
農家にはテレビを買う資金力はないと思われていた、が、実際には買おうとし買った。東芝や日立が大都市の百貨店でテレビを売っていた時、松下は農家を1軒1軒訪問販売した。
消費者の行動の不合理をこぼすかわりに、それまでの「消費者行動に関する自明と思われていた考え方」に合致しない現象が進行中であると結論した
需要が増えるなら業績も伸びねばならない。そうならないのは「業績ギャップ」。高炉から電炉。
間違った、成果を期待できない分野に注力して競争している「認識ギャップ」。船舶の高速化から、コンテナ船による積み下ろし時間の削減へ。
価値観ギャップ。経済的合理性では買わないものも、買うことがある。松下とテレビ。マイカー。金を儲けない投資。
生産者が亭橋していると思っているものを買っている顧客はほとんどいない。彼らに取っての価値は別。生産者が示す典型的な反応「消費者が不合理で品質に金を払おうとしない」これが価値観ギャップの存在
プロセスギャップ。大部分簡単なのに一箇所だけ難しい。そこを解決。
ニーズ:プロセスニーズ、労働力ニーズ、
プロセスニーズ:出版物の発行部数が大きく伸びたのに、植字には熟練の植字工が必要だった→植字機が5年で普及、植字というプロセスギャップ
労働力ニーズ:15年後の電話交換手の需要を予測すると、女性全員が電話交換手になる必要がある→2年で自動交換機を開発したAT&T
知識ニーズ
開発研究は小さく絞るほど効果が出る。日本の視線誘導標
ニュースの需要、しかし日刊できるほどない→週刊誌タイム
5つの前提:完結したプロセス、欠落が1箇所だけ、目的が明確、目的達成に必要なものが明確、「もっとよいものがあるはず」という受け入れ態勢の浸透
3つの条件:何がニーズか明確、必要な知識が手に入る、ユーザの価値観に一致する
産業構造の変化:
急速な成長:規模が二倍になるまでに構造が劇的に変化する
単純でなければならない
認識の変化をイノベーションの機会にする上で模倣は役に立たない
技術によるイノベーションのリードタイム。「科学革命の構造」30年
知識によるイノベーションはピースが全部揃わないと死産になる
イデアによるイノベーションに手を付けるべきではない。博打。
天才のヒラメキによるイノベーションは再び行うことも教えることもできない。
機会の分析、使う人が利益を見出すようになるにはなにを考えなければいけないか、焦点を絞り単純に、スモールスタート
こりすぎてはいけない:普通の人が使えるように。多角化してはいけない:エネルギーの集中が必要、エジソンでさえ電気の分野だけ。未来のために行ってはいけない:現時点で実現できないアイデアは天才ダ・ヴィンチのスケッチと同じ。天才でない我々のアイデアメモに不滅の価値はない。
一点集中であること。強みを基盤としていること。経済や社会を変えること。
生産的でなくなったものの廃棄を制度化すること。組織の衛生学。ライフサイクルがあることを前提とすること。どういうイノベーションをどういう領域でいつまでに行う必要があるか明確にすること。
公的機関がイノベーションを行えない理由:予算、「顧客優先」ができない、実現不可能な完全性を求められる
企業家戦略

  • 総力戦略

 総力による攻撃。成功した時の成果は大きいがギャンブル性も高い。市場の支配を目指す。

  • ゲリラ戦略 創造的模倣戦略 柔道戦略

 弱みへの攻撃。
 創造的模倣戦略:新しい製品を作ったものの顧客を奪い取るのではない、彼らが生み出したのに放置した市場を相手にする。ハイテクのイノベーションを最初に行う者は市場指向であることが殆どない。自らが生んだ需要に答えられない。
 柔道戦略:製品は生産が難しいことに価値があるのではない。顧客は自分にとって有益なものに対価を払う。真空管ラジオとトランジスタラジオ。ソニーが5年で市場を手に入れた。日本企業は柔道戦略でなんども勝利してきた。
 市場の良い所取りや創業者利益は、数年後戦うはめになる新規参入者への補助金に他ならない。
 柔道戦略を使われる隙:NIH、市場のいいところどり、価値の誤解、創業者利益、多機能化
 柔道戦略の成功する状況:トップ企業が予期せぬ自体を見過ごしているとき、トップ企業が古典的独占体(いとこ取り、価格を高く、など)、市場や産業の構造の変化

  • ニッチ戦略: 関所戦略 専門技術戦略 専門市場戦略

 限定された領域で実質的な独占を目指す。競争を避ける。
 関所戦略:避けて通れない関所を占有する。市場のサイズ以上に成長できない。一夜で需要が消滅することも起こりうる。為す術はない。
 専門技術戦略:高い専門技術で競争を受け付けない。常に最新であり続けなければならない。時に専門技術が一般化してしまう。ニッチに適応する種は外部環境の変化に適応できない。
 専門市場戦略:サービスによる専門知識ではなく市場に対する専門知識。トラベラーズチェック。最大の敵は自分自身。専門市場が大衆市場化すると競争が発生する。 

  • 顧客創造戦略: 効用戦略 価格戦略 事情戦略 価値戦略

 効用戦略:郵便を手軽にすることで郵便を今まで使っていなかった目的に使えるようにした
 価格戦略コピー機を売らずに、コピーを売る。カミソリの替刃を売る。
 事情戦略:電力会社がメンテナス費用を出せないので交換用ブレードに上乗せ
 価値戦略:顧客に取っての価値を提供。「利益は賢さの違いからではなく、愚かさの違いから生まれる。」他のものが何も考えないから、わかりきったことをするだけで利益が上がる。マーケティングの初歩。

ローテク、ミドルテクにおける広範な企業家経済を基盤とすることなくハイテクを持とうとすることは、山腹ぬきに山頂を持とうとするようなもの
小さな寸劇にほかならないハイテクベンチャーにばかり関心を持ち、他の分野のイノベーションを鼻で笑うような社会では、ハイテクに強い人も安定した大組織に職場とキャリアを求めるようになる
イノベーションとはより優れた経済的な財やサービスを創造すること