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西尾泰和のはてなダイアリー

2010-08-06

利他主義のススメ

ネット上のまだあったことのない人のことを、人は簡単に裏切る。関係を継続せず、裏切ることによって別のコストが派生しないなら、正直に自分がコストを支払うよりも相手を騙して相手に払わせるほうが得だからだ。倫理的に見てほめられた行為でないことはもちろんだが、合理的ではある。

継続的に付き合っていく予定の人はあまり裏切らない。1回裏切ることで得られるリターンよりも、裏切らなければ得られたはずのものが裏切ることでその後得られなくなることのダメージの方が大きいことが多いからだ。

共通の友人のたくさんいる人もあまり裏切らない。なぜなら、1回裏切ることで得られるリターンよりも、一人を騙すことによってその友人大勢から憎まれるようになることのダメージがの方が大きいことが多いからだ。

お金は複製できないからゼロサムだが、知識は複製できるもんだ。お互いに与え合う利他的関係の方が、一方的に奪う利己的な関係よりもみのりが多いんだ。

一見さんが行う利己的行動で我々が損害をこうむることを本気で避けようと思うなら、一見さんお断りのコミュニティにするのが一番合理的だ。なぜそうしないかというと、そういうクローズドなものより、もっと誰でも参加できる自由なオープンなものの方がよい、という信念があるからだ。

無償の勉強会であっても、主催者は会場手配・発表資料の準備・懇親会の予約などなど、数多くのコストを支払っている。とても利他的なな行動だ。それに対して、そのコストを自分で支払わない、もらえるものだけもらって何も返さない、という利己的行動で返すのは、利他的コミュニティへようこそと差し伸べられた手につばを吐くようなものだ。短期的視点では得をしたと思っているかも知れない。しかし、自分が利他的コミュニティに入るチャンスを捨て、そして主催者の心を傷つけ今後また一見さんを利他的コミュニティに誘おうという気をなくさせる、二重に機会損失だ。


ご存知、僕は人間関係についてとても疎い。最近はとある詐欺師風の人に人間関係について色々教わっている。彼は非常に頭がよく論理的で、人間社会の構造について彼が提示するモデルは(時々僕の常識に著しく反することもあるが)現象をよく説明する。上で述べた内容は彼が教えてくれたおかげで最近やっと理解できるようになったモデルだ。彼は僕がこのモデルを理解しないまま無事に今まで生きてきたことに驚いていたが、それは僕が意識しないうちに利他的コミュニティの中に組み入れられていたからなのであろう。それは恵まれたことであったが、結果として「外」の世界は利己主義による不毛な奪い合いが蔓延しているんだということに気付かなかった。「世間知らず」だったんだ。たぶんこの文章で書いているようなことも「何を当たり前のことをいまさら」と思う人はたくさんいるのだろう。だが、それでも書く。過去の僕はこの情報を知らなかったからだ。自分の得た知識は、いるかも知れないまだ知らない人のためにブログに書く、それが僕なりの利他主義なんだ。

というわけでさ

詳しい話は聞いていないけど、一人3500円の懇親会費がドタキャンの人のせいで5300円になったとかいうのはゆゆしき自体だし、それをブラックリスト作成とかで回避できないかって考える技術者マインドもよく分かるが、おそらくそういうブラックリストに入っていない「初めて勉強会に申し込んだ人」は雲霞のごとくわいてでて、そういう人たちこそ後腐れなく利己的行動をするからブラックリストを作っても無意味なんだよね。

本質的な解決には、そういう一見さんたちを完全にしめだすしかない。でもそういう解決方法は取りたくないんでしょ?だったら、一見さんが全員ドタキャンしても懇親会費が4000円で収まるように一見さんの比率を1/8に制限するとかしかないんじゃないの。青天井に受け入れるからリスクも青天井に膨れ上がるんでしょ。


長々書いたことがすごく簡潔にまとまっていた。

nemo_kaz: 作るんだったらホワイトリスト QT @wats: 主催や参加者からするとそうは言ってられない RT @nemo_kaz 境界のないネット社会でブラックリストは無意味 RT @yamashiro: 今日の懇親会にくるって言ってたのにこなかった人(略)

http://twitter.com/nemo_kaz/status/20515741524

「境界のないネット社会でブラックリストは無意味」

結局この一言につきるんだよね。ブラックリストを作るのに見合うリターンはない。ブラックリストを作成することで場の雰囲気に与える、ネガティブな影響のほうが大きい。

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