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西島建男の読書日記

2013-10-01

国分功一郎『来るべき民主主義』

国分功一郎『来るべき民主主義


 東京小平市に住む哲学者の国分氏が、たまたま小平市雑木林480本を伐採し、200世帯以上の民家を立ち退きさせ、200億円の税金を使う巨大道路(都道328号線)建設の説明会に行き、なにかおかしいと実感したところから、この政治哲学の書が書かれた。この半世紀前に作られた道路建設を見直す住民運動に参加していく国分氏の行動や運動の在り方が、素直に書かれていて好感を持った。2013年5月、東京都初の住民直接による住民投票が行われたが、投票率が50%に達しないため不成立になる。

 住民の声が何故行政に届かなかったのかの考察が、この本の主題である。国分氏は近代政治哲学のいう議会制民主主義による立法府が統治に決定を下すのは建前に過ぎず、実際には行政機関が決定しているのに、民衆は行政権にほとんど関わることが出来ないことに疑問を持つ。そこから行政権にどう住民が関われる「制度」を、決定プロセスを複数化したものとして提案している。「制度」が多いほど、人は自由になれる。(フランス哲学者・ドゥールズの言葉) 

 住民投票の直接請求のハードルが高すぎると国分氏は見る。その上直接請求の要求に多数の署名を集めても、議会が否決すれば実施できない。(東京都民脱原発住民投票)さらに、小平市のように市長と議会が、投票率50%を超えないと開票さえ出来ないという成立条件をつける。国分氏が賛成しているのは我孫子市市民投票条例のように、投票者の総数の三分の一に達したら、市長、市議会は賛否いずれにしろ尊重するというルールである。さらに住民である外国人、未成年にも生活に影響を与えるから投票権を持たせることを提案している。私も賛成である。国分氏は審議会の活用も提案していて、行政主導ではなく、住民も参加し、専門家も賛否同数の人を選ぶルール化を提案している。

 「来るべき民主主義」は哲学者ジャック・デリダの言葉だそうだが、国分氏は議会制民主主義に強化パーツを足して補強することにより、民主化は進むという。私が面白かったのは、付録に付けられた都道328号線の建設理由として、いまある府中街道の交通量が2030年に22%増加するという東京都が作成した交通量増加の予測が、いかにいい加減かを綿密に指摘した点である。(幻冬舎新書

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