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西野神社 社務日誌

2006-01-13 数え年

1月の元日から2月の節分にかけての時期、つまり丁度今の時期ですが、神社には、厄祓の御祈祷を受けに来る方が多いです。この時期は、家内安全、星厄消除、八方除などの御祈祷も多いですが、件数としては、やはり厄祓の御祈祷が最も多いです。

その厄除とは、厄年に当たっている人が厄を祓うために受ける御祈祷のことで、よく知られているように、男性は25歳、42歳、61歳、女性は19歳、33歳、37歳が厄年とされており、特に男性の42歳、女性の33歳は昔から大厄といわれております。

ところで、この厄年というのは全て「数え年」での年齢であり、私たちが日常使っている「満年齢」ではありません。最近は満年齢を基準にして七五三詣十三詣などに来られる方もいますが、本来は、七五三詣や十三詣などは数え年を基準にして行うものですし、厄年、七五三詣、十三詣、年祝等に限らず、基本的に神事に関連して使われる年齢は、全て数え年、と思って頂いて差し支えありません。

満年齢の考え方は、今でこそ最も一般的な年齢の数え方として定着していますが、満年齢が広く普及し一般に定着するようになったのは戦後のことで、歴史としてはまだ新しく、それまでの長い間、私たち日本人は数え年を最も一般的な年齢の数え方として使い続けてきました。そのため、日本の長い歴史に基づく伝統・文化・信仰を基盤に成立している神社神道においては、実生活においてはともかく、神事においては、今でも数え年を標準的な年齢の数え方として使っているのです。

厄祓の御祈祷では、祝詞のなかでその方の年齢(数え年)を奏上しますし、そもそも満年齢を基準に考えて厄祓を受けに来た人の中には、数え年では厄年に当たっていないという人もいますので、厄祓の御祈祷の受付をするときには、一応「数え年で何歳でしょうか?」と当初は訊くようにしていました。しかし、満年齢の考え方が根強く定着してしまっているせいか、自分の数え年をすぐには答えられない人が意外と多いため、最近は、何年に生まれたのかだけを訊き、その生年を元にこちらの方で、その方の数え年を確認するようにしています。

しかし、自分の数え年を知ることは全然難しいことではありません。別に複雑な計算が必要なわけでもありません。数え年には零歳という概念がなく、生まれるとすぐに一歳になります。そして、自分の誕生日毎に年齢が一歳加算されていくという満年齢では当たり前の概念がなく、年齢の加算は全て正月に行われます。つまり数え年の概念では、日本人は全員1月1日に、皆一歳、同時に歳をとるのです。ですから、単純に、自分の満年齢に1もしくは2を足すと、その人の数え年となります。

では、1と2のどちらを足せばいいのかというと、その年に既に誕生日を迎えている人は1を、まだ迎えていない人は2を足せばよいのです。それだけのことです。ですから、今日は1月13日ですから、1月1日から今日を含めた13日までの間に誕生日を迎えた人は自分の満年齢に1を足し、まだ誕生日を迎えていない人(1月14日〜12月31日の間に生まれた人)は、自分の満年齢に2を足せば、その人の数え年になるということです。このため、数え年の考え方では、1月1日に生まれた場合は2歳になるまでに丸1年かかりますが、12月31日に生まれた場合は、生まれた日が1歳で、その翌日には2歳になる、という計算になるのです。

そもそも、なぜ昔の人たちは、今とは明らかに異なる「数え年」という概念を使っていたのかというと、それは一言でいうと、日本においてはお正月というのは、各家庭で歳神(としがみ)様を迎えてお祀りし、新たな年の五穀豊穣と家族の幸せを祈る、という大切な行事なので、そのお正月に合わせて家族皆が1歳づつ年をとるのが相応しい、と考えられてきたからです。古来より日本では、歳神様をお迎えすることが一年の始まりであると考え、そのためお正月には、歳神様に来て頂くための目印や依代として門松や〆飾りなどを飾り、歳神様へのお供え物として、鏡餅を飾ったりしてきました。

数え年とは、お正月に各家庭に訪れるこの歳神様の御霊を頂くことによって1つ年をとるという考え方であり、歳神様への感謝の気持ちを込めた年齢の数え方、とも言えます。なお、歳神様については、今月3日のこの社務日誌に詳しく記させていただきましたので、そちらも併せて御参照ください。

現在普及している満年齢の概念は明治以降にできたもので、日本では明治5年、「年齢計算ニ関スル法律」が施行されたことにより、新たに「満年齢」という年齢の数え方を使用することになりました。これは、明治5年11月9日の詔書によりそれまで用いられてきた太陰太陽暦(旧暦)が太陽暦(新暦)に改めれらたことを受けて、年齢の数え方も合わせて変えたのですが、しかし、その後も一般には数え年が使われ続けられました。

現在のように満年齢が完全に定着するようになったのは、前述のように戦後になってからのことで、昭和25年1月1日施行の「年齢のとなえ方に関する法律」で、「数え年によって言い表わす従来のならわしを改めて、満年齢によって年齢を言い表わすのを常とするように心がけなければならない」と示され、その法律の施行により、一般にも満年齢が定着するようになったのです。

神社に来て初めて自分の数え年を知った人は、満年齢よりも1歳もしくは2歳、歳が上ってしまうため、大抵「え〜!もう○歳なの〜!」とか「数え年って、嫌な数え方だなぁ!」と言い、困惑した表情や迷惑そうな表情をする方が少なくありませんが、神社では、日本の伝統的な考え方を継承していくという意味から、今でも「数え年」の概念を尊重しています。

(田頭)