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西野神社 社務日誌

2006-01-27 北海道の結婚式事情

先週は「神葬祭」や「他界観」など、人の死にまつわる話をしましたので、今回は逆にお目出度い話をしようと思います。というわけで、今日は結婚式の話です。単に「結婚式」と云う場合、一般には挙式と披露宴のいずれか、もしくはその両方を指しますが、挙式(神前結婚式)についてはまた別の機会に詳しく述べることにし、今回は主に披露宴(祝賀会と称される場合もあります)の話をさせていただきます。

現在、北海道で行われる結婚式の9割以上は、会費制結婚式といわれる形式のものです。しかし、この会費制結婚式は、北海道に生まれ育った者にとっては当たり前の形式ですが、全国的には大変特異な例で、道外では招待制(御祝儀制)の結婚式が主流で、会費制の結婚式はほとんど行われていません。

最近読んだ「民俗学がわかる事典」(日本実業出版社)という本に、著者の体験談として会費制結婚式についての興味深いエピソードが載っていました。20年程前の話らしいですが、著者の友人である札幌出身の男性が、九州の女性と結婚することになり、京都にて会費制の披露宴を行ったそうです。しかし、その当時京都では会費制の結婚式は全く知られていなかったので、招待された人たちは決められた会費を払い、そしてそれとは別に、ほとんどの人たちが相応のお金を御祝儀として包んだのだそうです。これには著者の友人夫婦も困り果て、結局披露宴が終わってから、御祝儀を別途にくれた人たちには会費を現金書留で送り返す羽目になったとのことです。これは、北海道では当たり前に通じることも、他の地域ではそうはいかない、という典型的な例といえるでしょう。

道外の人が、北海道の会費制結婚式に出席した場合、御祝儀と考えていた金額に領収書が出されることや、新郎新婦の両親が上座に座していることなどに驚くことが多いようです。確かに、全国的に主流の招待制の場合、双方の両親は、お客を招待するという立場(主催者)にあるため一番下座の席に座りますが、会費制の場合は発起人たちが主催者で、新郎新婦やその家族は周りからお祝いされる立場にあるため、招待制とは席の配置が全く逆になり、新郎新婦の家族が上座に座し、発起人たちが最も下座に座ることになるのです。

この「発起人」といわれる人たちの存在も、会費制結婚式の大きな特徴の一つといえます。会費制結婚式では、新郎新婦の同僚や友人たちが発起人となり、その発起人たちが、招待状の発送やプロフィール作りなど、披露宴に必要な準備のほとんどを行うのです。

また、会費制結婚式は出席者の金銭的な負担が少ないため、招待制の場合よりも出席者の人数が多くなるのも特徴で、200名を超える出席者が集まるということもよくあります。しかし、さすがにそれだけ多くの人たちが集まると、その全員が新郎新婦と顔見知りとは限らず、両親の職場関係の人や地域の人たちなど、大抵、当人たちとは直接的には繋がりのない人たちも多く出席しています。

しかし、本来は主催者も出席者も共に負担が少なく、全体的に招待制よりも簡素になるといというのが会費制結婚式の最大の特徴だったのですが、最近の会費制結婚式は、会費が1万円を超えるのが普通となり(平均的な相場は知りませんが、昨年私が出席した結婚式の会費は1万6千円でした)、出席者の人数も200〜300名となる場合もあり、全体的には簡素化とは逆方向の傾向が見られます。もっとも、その反動からか、あるいは最近のジミ婚傾向を反映してか、大勢の招待者を呼んだり発起人を立てたりせず、会費制といえども新郎新婦が準備をして数十人程度の小規模で行うという披露宴も一方では増えてきているようです。

(田頭)