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西野神社 社務日誌

2006-12-29 年賀状

年末のこの時期、初詣の参拝者の受入れ準備などで神社は年間で最も多忙を極めますが、この時期に多忙を極めるのは何も神社だけではありません。年賀状の区分・整理作業などにより、今は郵便局でも年間最大の繁忙期を迎えています。特に年賀状が集中する都市の本局などでは、通常の人員だけでは人手が足りないため、学生を中心としたアルバイトを大量に動員して年末年始を乗り切ります。

ところで、そもそも年賀状にはどういった意味があるのでしょうか。言葉通り、それが年賀の挨拶状であるということは確かなのですが、なぜ、正月には葉書で年賀の挨拶をするのでしょうか。今日は、年賀状について簡単にまとめてみたいと思います。

伝統的な農村社会では、新年を迎えるとまず村人達は、各家々を回って旧年お世話になったお礼を述べるとともに新年の挨拶をすることが慣例となっていました。そして村の中での挨拶が終わると、今度は隣の村や遠くの親戚の家などへも挨拶に行き、それを迎え入れる側では、酒・肴・雑煮などを供して訪問者をもてなしました。しかし、世の中が変化しサラリーマンが増えてくるようになると、そうそう正月をのんびりと過ごすことはできなくなり、また、付き合いの範囲もかつての村落社会を中心としたものから、勤務先の関係者や取引先のお得意様といった広範囲に渡るようになってくると、全ての付き合いの範囲を回って年始の挨拶をすることは事実上不可能になってしまいました。そのため、本来なら相手を訪ねて年始の挨拶をすべきなのですが、それができなくなったため、それに代わるものが段々と利用されるようになっていきました。それが、年賀状です。

年賀特別郵便制度の制定により年賀状が生まれたのは明治36年で、この制度は戦時中に一時廃止されたことがあるものの昭和23年にはまた復活し、翌24年からはお年玉付き年賀郵便葉書の発売が始まりました。しかしこの頃はまだ、今程には年賀状は盛んには利用されていなかったようで、当時の年賀状は、縁の遠くなった親戚や年始回りに行くことのできない遠隔地の親戚などに出すだけのものであったので、一概には言えないものの、一般の家庭に配達される年賀状はだいたい10〜20枚程度であったようです。

しかし日本高度経済成長期を迎えるようになると、サラリーマンの数は益々増え、年末年始の休み中に年始回りを済ませてしまわなければ年始の挨拶をする機会がなくなってしまうため、そうした社会状況の変化に合わせるように、人々は年始の挨拶を年賀状で代えるようになっていき、そして、昭和20年代とは逆に、訪れて年始の挨拶をすれば済む様な距離にある人にも年賀状を出すようになりました。また、一年間のうちに新たな付き合いのできた人に対しては、ご機嫌伺い、近況報告、互いの無事確認なども兼ねた年始の挨拶状として年賀状を出すようにもなりました。そのため、現在の年賀状は、直接相手に会って挨拶をするという煩わしさが省ける反面、ひどく関係の薄いちょっとした知り合いにまで出すため非常に儀礼化したものになってしまっているのもまた事実です。

ところで、郵便局で取り扱う年賀葉書の数は戦後は年々増える一方だったのですが、実は、お年玉付年賀葉書の発行枚数は平成16年用の44億5,936万枚をピークに以降は減少が続いています。来年用の年賀葉書の発行部数はピーク時(平成16年)と比べて15%減の37億9千万枚で、4年ぶりに40億枚を割りました。パソコン利用者の拡大に合わせ、平成10年からはインクジェット用紙の年賀はがきも発行されていますが、これも平成17年の22億7,518万枚をピークに減少に転じています。日本郵政公社では、年賀葉書の利用者が減少した要因を「メールで年始のあいさつを済ませる人が増えているため」と分析しており、事実、携帯電話での年賀メールは前年比50%増(!)もの勢いで伸びているそうなので、今後、郵便物としての年賀状が増える見通しは極めて薄い状況です。時代とともにメール年賀派は確実に増えているので。

また、年賀葉書の利用者が減少した要因には、メールでの年始の挨拶が増えたこと以外にも、昨年施行された個人情報保護法の影響もあると云われています。個人情報保護法の影響を受けて、社員名簿やクラス名簿などを公開しない企業、小中高校が増えており、こういったことも、年賀状離れの大きな要因の一つになっていると見られているのです。

ちなみに、郵便局内での作業負荷の関係上、日本郵政公社では「元旦にお届けするためには、年賀状は出来るだけ12月25日までにお出しください」とアナウンスしておりますが、社会環境の変化などから投函のピークは年々遅くなる傾向にあり(今年は早めに書いたものの、私も例年はクリスマスが過ぎてから年賀状を書いていました)、今年のピークは明日(12月30日)になると予想されています。また、昭和48年から平成16年までは1月2日の配達業務は休止しておりましたが、2日の配達は昨年から復活しています。

(田頭)